ニューアカブームから40年、浅田彰『構造と力』文庫化で再ヒット 紀伊國屋書店店長「千葉雅也さんの解説で理解が深まる」
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紀伊國屋書店の店頭をつくる精鋭部隊
往年の名著を大量に仕入れ、ベストセラーにしてしまう紀伊國屋書店新宿本店のスタッフの慧眼も見事である。無類の本好きが多い印象だが、星さんによると、店員が自ら推薦したいと思った本のフェアを開催したり、売り場を作ったりしているそうだ。
「当店では売り場にいるスタッフの権限が強くて、フェアなどの展開は、すべて現場の担当者が決めています。『構造と力』も現場の判断で、一気に600冊搬入することに決まりました。私はちょっと多いんじゃないか心配しましたが、全くの杞憂でした(笑)。もし600冊を仕入れてなければ、年末年始の書き入れ時に在庫切れとなっていたと思います」
現場のスタッフは来店者との日々のコミュニケーションの中で、どんな本が本当に求められているのかを把握し、その経験知を判断材料にしているという。千葉雅也の解説を入れて文庫化した中公文庫の編集者、そしてその価値を見出してしっかりと販売する書店員。見事な連携が名著を再びベストセラーにした。
■書籍情報
『構造と力-記号論を超えて』
著者:浅田彰
解説:千葉雅也
価格:1,100円
発売日:2023年12月21日
出版社:中央公論新社