『ちいかわご朱印』転売が問題視されるほどの大人気 「御朱印ブーム」なぜ人気が衰えない?
■『ちいかわ』の御朱印転売に公式が苦言
1月11日、講談社モーニング編集部が運営する『ちいかわコミック公式』のXが、フリマサイトなどで“護国寺×ちいかわご朱印”が転売されていることを確認したとし、「ご朱印は納経の証としてお授けするもので、ご本尊のご利益を頂戴することと同じ貴重な授与書です。礼を失する行為は慎んでくださいますよう、ご理解よろしくお願いいたします」と、注意喚起を行った。
昨年12月21日に発売された『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の単行本6巻の特装版に付属する「なんか光ってて旅したくなるご朱印帳」を持参のうえ、護国寺を参詣、500円を納めると、ちいかわの顔があしらわれた特別な御朱印を授かることができる。Xには御朱印を手にした人が続々ポストしているが、そのかわいらしさから評判を呼び、連日整理券が配布されるほどの人気を集めている。
御朱印ブームは2010年代半ば頃と比べるとだいぶ落ち着いたが、依然として人気は高い。京都の東寺や伏見稲荷大社、鹿苑寺(金閣寺)などは休日や観光シーズンになると御朱印コーナーに長蛇の列ができることもある。御朱印はいわゆる記念スタンプとは違う性質のもののだが、御朱印帳を埋めていくことは一種のスタンプラリーのような楽しみがある点が人気が衰えない要因だろう。漫画家の松山せいじも自身のXで御朱印帳が一冊埋まったことを報告していたが、芸能人にも御朱印集めを行っている人は多くいる。
■御朱印ブームが起きたきっかけは
さて、こうした御朱印、いつからブームが始まったのだろうか。記者が思うに、2000年代後半くらいではないかと推測している。
記者は建築巡りが趣味なのだが、初めて貰った御朱印は2004年、京都の仁和寺の御朱印である。確か、国宝の金堂の前に御朱印をいただけるスペースがあり、おばあさんが声をかけてくれて、「せっかくの記念だから御朱印でも貰っていかないかい?」と言われたのだ。記者はそれまで御朱印など存在そのものも知らなかったのだが、帳面代は1000円、御朱印は300円でいただけるとのことで、手書きでありがたそうだし安いから貰っておこうと思い集め始めたのである。
それ以降、いろんな寺院や神社で御朱印を貰ったのだが、旅行をしていると意外に簡単に集まるので面白くなってきた。ただ、当時は御朱印集めをしている若者はほとんどいなかった。ある有名な神社で御朱印を貰おうとしたところ、神職から「あんた20代? 若いのにこんなに年寄り臭いものをよく集めようと思うね」と言われたことがある。御朱印は主力のお守りやお札の陰でひっそりと書かれているものであり、もちろん転売を行う者などほぼいなかったように思う。
そんななか、若者が積極的に寺院や神社に足を運ぶようになったのは、2000年代半ばに江原啓之の著書がブームになり、パワースポットブームが起きたことが大きな要因ではないだろうか。パワースポットという言葉は秀逸であり、どこか近寄り難い雰囲気があった寺院や神社に若者が目を向けるようになったのだ。その中で、御朱印の注目度も上がっていったように思う。2010年頃には、御朱印帳を持った特に女性を見かけるようになり、記者は驚いた記憶がある。