二宮和也演じるノコルは家族に何を想っていた? 『VIVANT』小説版の心理描写で明らかに
俳優陣のアドリブ? ドラマと小説での違い
上巻では、ドラマで映像にはならなかった細かな情報が記されていることがあった。下巻ではその逆で、ドラマでは印象的だった場面が実は、小説には描かれていないということがあった。第6話で、野崎は上司である公安部長の佐野(坂東彌十郎)に、乃木の父・卓が「テント」のリーダーと思われ、組織のマークと乃木家の家紋が類似していることをもんじゃ焼き屋で報告する。野崎の報告と見せられた卓の写真に何かを感じ取った佐野は、食事をせずに席を立った。その後、ドラマでは野崎が不敵に笑った後、熱々のもんじゃ焼きを食べようとするのだが、下巻には「佐野のその反応に、野崎は思わず笑みを浮かべた」とだけ記されているのである。ここから察するに、もしかしたらもんじゃを食べたのは野崎を演じる阿部のアドリブかもしれない。ドラマと小説でこんな些細な違いを見つけるのも楽しみのひとつである。
ドラマは最終回を迎えたが、最後の場面で、別班の緊急招集の知らせである赤の饅頭が小さな祠に置いてあることや未回収の伏線があることが指摘され、続編が熱望されている。もしそれが実現したとしても、私たちがテレビの前で楽しめるようになるのはまだ先のことだろう。それまで、ドラマとこのノベライズ本で何度もワクワクドキドキし、時には分析と考察をしながら待っていたいと思う。