漫画を描くことが「難しい」と思ってしまうのはなぜ? プロ漫画家が分析する理由と解決策

 各種アプリやウェブサービスの広がりにより“掲載”の場が拡大し、多くのクリエイターが世の中に漫画を届けることができるようになった昨今。「人気作家」への道は相変わらず険しいものだが、SNSで創作漫画を発表して人気を獲得し、商業連載につなげたヒット作も続々と登場している。同時に、「独学」ゆえの悩みを抱えたクリエイターが少なくない状況だ。

 そんななか、YouTubeチャンネルでプロ漫画家やイラストレーターがその技術や心構えを伝えるチャンネルが人気を集めている。「漫画」というジャンルでトップランナーといえるのが、元週刊少年漫画誌の連載作家・ペガサスハイド氏だ。解説のわかりやすさ・的確さとともに、読者から募った作品を添削する人気企画では相談者の個性に寄り添ったアドバイスが心地よく、自分では漫画を描かない人も楽しく視聴することができるのが特徴だ。視聴者からの信頼が厚く、チャンネル登録者数は15万人を超える。

 そんなハイド氏が、「漫画を描くのが難しいと思う理由~漫画家が提案する心の整頓~」と題した動画を公開した。タイトルの通り、漫画を描いてみたいけれど、難しそうで一歩踏み出せない、という人に向けた講座になっている。

漫画を描くのが難しいと思う理由~漫画家が提案する心の整頓~

 詳しくは動画を直接視聴してもらいたいところだが、ハイド氏はマインドマップを使い、丁寧に「漫画は難しそう」と思ってしまう理由を明らかにしていく。大まかな原因は大別して、「絵が描けない」「ストーリーが作れない」「コマ割りが難しい」。それでは漫画は描けなそうだ……と思ってしまうが、これらを掘り下げて整理していくと、解決すべき課題が見えてくる。

 例えば「絵が描けない」という人も「顔や正面の姿は描ける」人は多く、より細かく見ていくと「体が描けない」「背景が描けない」「漫画効果(集中線やスピード線など、動きをつけるもの)が描けない」など、具体的な問題が明らかになってくる。「ストーリーが作れない」という人も、描きたいものがあるから「漫画は難しい」に行き着くわけで、具体的には「描きたい世界が壮大すぎる」「まとめられない」「そもそも何から始めればいいかわからない」という課題を抱えているケースが多いようだ。そうした課題が自己確認でき、問題が整理されると、「難しそう」という漠然としたイメージは払拭されていく。

 それでは、実際に漫画を描いてみて「難しい」と思った人はどうか。こちらも細分化していくと、「描いてみた」にも、「ネーム(※“下描きの下描き”のようなもの)状態まで描いてみた」「原稿を描いてみた」の2パターンがある。「ネーム状態」にも、「最後まで描いた」人と、「途中で止まっている」人がいて、面白いのは、「途中で止まっている」人が「連載状態」に陥っている、という指摘だ。

 多くの漫画好きは連載漫画になじみが深いため、自然と連載作品のような大きな物語を構想してしまう。そうすると、描きたいものどんどん大きくなり、どこで区切りをつけ、物語を閉じればいいのか分からず、それが「難しい」という感覚につながるようだ。

 そして重要なのは、その人がなぜ漫画を描きたいと思っているのか、という根本的な部分を考えることだと、ハイド氏は言う。「趣味にしたい」のか、「漫画家になりたい」のか。「趣味」でも、「一人で楽しみたい」のか、「誰かに見てほしい」のか。一人で楽しみたいなら、「難しい」などと考えず、ルール無用、見よう見まねで楽しんで描けばいい。「誰かに見てほしい」と思っていても、SNSに掲載するなど趣味の範疇なら、ルールに縛られる必要はなく、やはり見よう見まねからスタートして気楽に描くことが推奨されている。

 動画本編では、「漫画家になりたい」人がどういった手段で夢を実現すべきか、というルートも提示されており、なるほどと頷かされる。「難しい」という漠然としたイメージを具体的な「課題」に分解し、解決策を導き出す動画となっており、これから漫画を描いてみたい、漫画家を目指したい、という人はぜひ参考にしてみよう。

■参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=SeSHWsiiAoQ

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