『ONE PIECE』ワポルの活躍はあるのか? 退場には惜しい「バクバクの実」という楽しすぎる能力

※本稿は『ONE PIECE』のネタバレを含みます。「週刊少年ジャンプ」最新号を未読の方はご注意ください。

 「週刊少年ジャンプ」での連載が最終章に突入し、さらに大きな盛り上がりを見せている国民的コミック『ONE PIECE』。毎週のように、謎に包まれていた大物や、活躍が期待されていた人気キャラの新エピソードが描かれ、まるで長年追いかけてきたファンへの感謝祭のように、心が躍る展開が続いている。

 最新のエピソードのため具体的なネタバレは控えるが、そんななかでもしかしたら活躍するかもしれないのが、ドラム王国の元国王で、現在は世界政府に公認された「悪ブラックドラム王国」の国王として再起しているワポルだ。

 『ONE PIECE』に登場した悪役のなかでも、なかなか鮮烈な印象を残しているワポル。麦わら海賊団の船医・チョッパーの加入にまつわる感動的なエピソードのなかで登場し、利己的で卑劣な独裁者としての立ち振る舞いで、ヒルルクやDr.くれは、ドルトンなど愛ある人々の魅力を強調していた。もっとも「実はそこまで酷い人間じゃないのに、ドラム王国編のエピソードが美しすぎて割を食った」のではなく、私欲のために国民を苦しめる姿は、ちゃんと最低だった。

 しかし、ワポルは単に「極悪人」だから読者の記憶に残っているわけではない。彼が持つ「バクバクの実」の能力が面白すぎるのだ。

 ワポルはこの能力により、あらゆるものを食べることができ、食べたものの特性に応じて自身を変化させたり、強化したり、あるいは食べたものを合成することもできる。吸収&クラフトという汎用性の高い能力で、かつルフィもそうであるように、少年漫画の主人公キャラと親和性の高い「食いしん坊」というイメージはキャッチーであって、この能力だけで一作品できてしまうようなアイデアだと言える。

 だからこそ、コミックスを振り返って、可能性に溢れたこの能力がワポルともどもルフィによって空の彼方に吹き飛ばされたことを少し残念に感じていた読者も少なくなかったのではないか。それが最新のエピソードで、“やむを得ない事情”によって主要キャラクターと共闘する可能性が生じたことは、なんともワクワクする展開だ。

 とはいえ、ワポルの活躍は限定的になることが予想される。最終章のバトルの本筋に絡むにはあまりに小悪党で、少しでも改心すれば「憎めない悪役」として一定の登場機会はありそうだが、「バクバクの実の覚醒により巨悪に」のような展開も考えづらい。「世界政府に見放され、バギーの下について最終決戦に参戦」のような未来が見てみたいが、果たしてどうなるだろうか。

 いずれにしても、作中でもかなり楽しい部類の「バクバクの実」の能力が再び見られそうなのは、長年のファンにとって楽しみなところ。キャラクターがキャラクターだけに、ストーリーの緊迫感とは裏腹にコメディ要素が多くなりそうだが、次週以降の展開を期待して見守りたい。

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