決算発表のスターツ出版、書籍好調で純利益が前年同期比268.5%増に マーケティング戦略が奏功か

 スターツ出版は5月11日、2023年12月期第1四半期の決算を発表した。売上高は20億5200万円(前年同期比45.9%増)、経常利益(非連結)は6億2200万円(前年同期比155.4%増)に拡大。四半期の純利益は5億1700万円(前年同期比268.5%増)となった。

 スターツ出版は、不動産会社のスターツコーポレーションの傘下にある出版社。書籍、コミック、雑誌の発売を紙・電子の両方で手掛けているほか、「野いちご」などの小説サイトの運営や、女性向けのWEBサイト「オズモール」での情報発信や施設予約サービスの提供、さらにはオンラインなどを含むイベント開催など多岐に渡る事業を展開している。

 特に書籍においては、異世界ファンタジーモノや、ライト文芸などに強みを発揮。いわゆる異世界ものの分野では圧倒的なインパクトのある扉絵やタイトル、そして出版点数の多さでコアなファンを獲得している。第1四半期は書籍やコミックの発刊点数が増加し、さらにはマーケティングの徹底によって読者ニーズに沿った商品展開を行ってきたと述べる。

 結果、女性向けのコミックレーベル「ベリーズコミックス」「noicomi」、男性向けの異世界ファンタジーノベル「グラストコミックス」「グラストノベルズ」、ライト文芸レーベル「スターツ出版文庫」のいずれにおいても順調に売上が伸びたと報告。特に、ヒット作『鬼の花嫁』が大きく売上に貢献したという。

 また、同社の自社メディアであり高いブランド力を誇る「オズモール」「オズマガジン」、さらにはSNSコンテンツ「東京女子部」などのPR・販促業務も順調で、売上に寄与したと発表した。

 それにしても、「オズマガジン」と異世界ファンタジーノベルを同じ出版社が手掛けていると聞いて驚く人も多いかもしれない。異なる分野でも事業の伸びを見せているのが、スターツ出版の強みとなっている。

 2020年から続いたコロナ禍はようやく2023年5月からコロナウイルス感染症が5類へと移行し、行動制限が緩和されつつあるものの、依然として先行き不透明な状況下にある。そんななかでもスターツ出版は「感動プロデュース企業へ」という経営理念のもと、「文化と笑顔の需要創造」を使命としつつ、事業を展開していくとのことである。今後の展開に注目していきたい。

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