ライト文芸、“親しみやすさ”と“深いテーマ”で大人も虜に 幽霊との交流描く青春物語『君が、僕に教えてくれたこと』著者が語る魅力

 作家にとっては、いわゆる文芸賞を受賞してデビューするのとはまた異なる間口が広がっているのも、ライト文芸シーンの特徴だ。水瀬先生は、趣味で小説を書き、小説投稿サイトに発表していたところから、小説家デビューにつながったという経歴の持ち主。好きで書かれた作品が世の中に見つかっていく、そんな流れもライト文芸のいいところだと続ける。

「小さいころから物語を考えるのは好きでしたが、私が小説家になれるなんて思ってもいませんでした。“ちょっと書いてみようかな”と思って始めたのが10年ほど前。それからネットに投稿できることを知ってアップし始めました。今はコンテストも多くてネットで簡単に応募できるので、「落ちてもまた書けばいいや!」と軽い気持ちでトライできたのも良かったですね(笑)。

 私みたいに、小説を書くのが好きな人はとにかく続けてほしいですね。長く続けていれば私もそんなに多くもらうわけじゃないけど、感想をもらうことがあります。そうするとそれがたとえ1人でも“伝わったんだ!”って思ったら嬉しくて、それをモチベーションに続けられました」

 ライト文芸の読者は、活字の本を読み始めた中高生から物語を愛する大人まで幅広く、作家にとっても自分の好きな物語を多くの人に伝えるチャンスが広がっている。その中で、水瀬先生の『君が、僕に教えてくれたこと』は、生や死といった重いテーマをライト文芸という枠に上手く落とし込み、そこへ少年少女の物語を紡ぐことによって、主人公たちと同じ世代だけでなくその親の世代まで親しめるものとなっている。興味を抱いた方は、水瀬先生の優しい願いが込められたこの作品をぜひ読んでみてほしい。きっと想いに彩られた温かな青春を感じられるはずだ。

■作品情報
『君が、僕に教えてくれたこと』
著:水瀬さら
装画:フライ
発売日:2023年3月20日
価格:792円(本体720円+税10%)
『君が、僕に教えてくれたこと』特設サイト:https://kotonohabunko.jp/special/kimioshi/

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