アニメ化で注目の『虚構推理』、ミステリとしての斬新さとは? 文芸評論家に聞く

漫画版の『虚構推理』

「2010年代後半はドナルド・トランプ大統領がアメリカ合衆国大統領に就任するなどして、ポスト・トゥルースやオルタナティブ・ファクトといったキーワードが出てきた時代です。真実よりも説得力のある嘘がネット社会に影響を及ぼすという『虚構推理』の構造は、現実への信頼が失われていく時代の潮流を先どりしたような作風でもありました」

 特殊設定ミステリとしての魅力もさることながら、城平京の生み出すキャラクターも面白く、漫画化や映像化に向いた作品だったという。

「マンガ原作者でもある城平京はライトノベル的な素質を持ち合わせた作家で、ビジュアルが目に浮かんでくるようなキャラクターを生み出すのも巧みでした。巨大な鉄骨を手にして暴れ回るアイドルの亡霊・鋼人七瀬などは、まさに漫画やアニメで表現するのに打って付けのキャラクターでしょう。人気が出るのも頷けます」

 特殊設定ミステリブームのきっかけとなった『虚構推理』は、アニメ界でも新風を巻き起こしているようだ。

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