『H×H』期待したい“冨樫先生監修スピンオフ作品”の展開 カイト、メンチからトンパまで、主人公に据えるなら?

 人気漫画『HUNTER×HUNTER』が12月26日発売の「週刊少年ジャンプ」新年4・5合併号より休載に入り、「週刊連載」を終えた。作者・冨樫義博氏の体調不良により、前回の休載は2018年52号~2022年47号までの3年11ヶ月。無理のない連載ペースで続けていく、という発表に安堵した読者が多かった一方で、以前から「冨樫先生は原作に専念して、体に負担がかかる作画は別の漫画家に任せたらどうか」という声が一定数ある状況だ。これは、読者が冨樫氏のストーリーテリングに絶対の信頼を寄せている証でもある。

 とはいえ、長期の休載を重ねてもその度に復帰を重ね、掲載ペースの見直しも行なっている経緯から考えても、「原作に専念」という選択肢はありそうにない。そのなかで期待したくなってしまうのは、休載期間中も作品世界を少しずつ拡張してくれる「スピンオフ」の展開だ。原作、あるいは原案・監修という立場で、人気漫画の作者がサブキャラクターのスピンオフ作品を同時連載するケースが増えているなかで、ありえない話ではないだろう。

 縦横無尽に伏線が張られ、思わぬところで過去のエピソードが掘り起こされる『HUNTER×HUNTER』のこと、本筋に大きく関わってくるキャラクターのスピンオフは難しいだろう。ギリギリのところを考えると、今後じっくり掘り下げられる可能性がさほど高くないように思える、「カイトの過去」に迫るものはどうか。自我を持つ念能力『気狂いピエロ(クレイジースロット)』という“相棒”の存在もあり、ゴンにとって憧れの存在でもあるカイトがいかにしてハンターになったか、というストーリーが描かれれば、本編の今後の展開にもうまくつながっていきそうだ。

 あるいは、ハンター試験編で印象的だった「新人つぶし」のトンパ。『カイジ』シリーズから生まれた『 1日外出録ハンチョウ』のような方向性で哀愁を感じる物語として展開することも考えられ、彼の目線から見た新人ハンターたちの姿も気になるところだ。同じくハンター試験編からなら、ルックスも美しいグルメハンター・メンチを主人公に据えた物語も読んでみたい。『トリコ』のように未知のグルメを探求する作品になるだろうか。

 最新の展開にも深くかかわっているキャラクターだが、闇落ちしそうなクラピカを支えているセンリツの物語も気になる。センリツはかつて魔王が作曲したという「闇のソナタ」を演奏し、体を蝕まれ、念能力に開眼した過去を持つ。『H×H』の良心ともいえるキャラクターであり、残酷な形で退場させられないためにも、より存在感を高めてほしい……と思ってしまう。

 バディものなら、ナックル&シュートorモラウ&ノヴ。それぞれに優秀なハンターであり、キャラクターも能力も秀逸だ。師弟関係ならウイング&ズシの修行旅もいいし、2体の念獣(ゴリラ)を操り、意外と知的でもあるゴレイヌも、『H×H』という世界のいい案内役になるかもしれない。みなさんは、どんなキャラクターのスピンオフが読んでみたいだろうか。

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