倉田真由美「だめんずは鏡」自分の恋愛の価値観がはっきり見えてくる

 2021年10月から本格長編ミステリーである『凶母(まがはは)~小金井首なし殺人事件 16年目の真相~』を電子版として配信中の倉田真由美。2022年10月11日には15巻が登場。「怖いけど続きが気になる」とこれまでの作風とは異なる作品で人気を集めている。

 そんな倉田真由美のヒット漫画といえば『だめんずうぉ~か~』である。ダメ男“だめんず”ばかり好きになったり、のめり込んでしまう女性を、作者が自ら取材して漫画化した作品だ。倉田特有のコミカルなタッチでゆえに笑いを誘うが、なかには「これは自分も経験あるわ……」と、他人事とは思えないエピソードに苦笑したり、考えさせられた読者も多いのではないだろうか。

 10月11日に放送されたラジオ番組「おとなりさん」(文化放送)にゲスト出演した倉田真由美は、出世作となった『だめんず・うぉ~か~』について「自分自身がダメ男との恋愛経験があったっていうことがあるんですけど、人の話も入れていったら毎週続くんじゃないか」と連載当初のエピソードを話していた。

 2000年の連載開始から20年以上が過ぎても、「だめんず」という言葉は今でもニュースなどで取り上げられるほど影響力があり、もはや一般用語として定着している。

  倉田によれば、これまで取材した相手は1,000人を超えるという。ダメな男と言えば一般的には金遣いが荒かったり借金を要求してくる、顔が悪い、暴言や暴力で精神的に追い詰めてくる、不潔……などのイメージが連想されるが、そもそもどんな男が“だめんず”なのだろうか。

 「人によってだめんずの基準は違います。お金がないのが嫌という人もいるし、浮気だけは許せないという人もいる。対して、それらを許せてしまう人にとっては、その相手はだめんずではないんですよ。十人十色、本当に人それぞれなんです」

 漫画を読んでみると、「えっ、この男、そんなに悪い人じゃないよね?」と思えるパターンも、決して、なくはない(男性目線で読んでいるからなのかもしれないが……)。基準が人それぞれだからこそ、紹介される様々なエピソードを自分に当てはめながら、恋愛について深く考えるきっかけを与えてくれる作品、それが『だめんずうぉ~か~』なのかもしれない。

  では、倉田がもっとも苦手とするだめんずは、どんなタイプの男なのか。

 「束縛をする男が一番嫌いですね。束縛する人って、決まり文句のように『あなたを愛しているから』と言うけれど、そんなの、ぜんぶ我欲なんですよ。相手の自由と尊厳を尊重していない男だけは許せないんです」

 筆者の知り合いにも、相手を異常なほど束縛したがる人がいる。こうした例は極端と思っていたが、倉田によれば、意外に多く見られるらしい。

 「取材した中でもっとも衝撃的だったのは、『今、どんな奴といるんだよ』と1時間おきにメールで連絡してきて、しかもそのたびに写メを送ることを強要する男がいました。後ろに自分以外の男が映っているだけで、問題になるそうです。束縛男によくあるのが、スマホの盗み見です。私はそれはプライバシーを侵す行為で絶対にアウトだと思いますが、そんなの序の口と思えるほど、相手の精神面にまで土足で踏み込むような、危険なだめんずはいっぱいいます」

 だめんずと向き合うことは、自分の恋愛観を知ることにもつながる。また、相手に求めることや、許せないことを分析するのも意味のある学びの機会だと、倉田は言う。

 「恋愛に失敗した過去を振り返りたくない、嫌いな男のことなんて思い出したくない、という人も多いかもしれません。でも、過去の恋愛と向き合い、振り返りや分析を行えば、自分の人生にとって大切なことを知るきっかけになるんですよ。例えば、私は束縛が嫌だから、自由が一番大事なんだと気がついたのです。近年のコロナ騒動を経て、ますますその思いを強くしました。決して、だめんずと付き合った経験は無駄ではないんだよと、言いたいですね。その経験を生かして、幸せになればいいと思います」

 男性諸君、我が振り直すためにも『だめんず・うぉ~か~』を読んでみては。

関連記事