【ゴルゴ13】さいとう・たかを亡き後の新連載『Gの遺伝子 少女ファネット』さいとうプロはレアな女性主人公をどう描いたか

巨匠たちが描いたスピンオフ作品

 スピンオフ作品はこれまでに多くの漫画家が手掛け、今や一つのジャンルになっている。手塚治虫氏も生前に『鉄腕アトム』のスピンオフ、『アトムキャット』を描いている。また、ゆでたまご氏の『キン肉マン2世』のように、スピンオフが本家に並ぶほどのヒットを飛ばした例もある。アニメの世界でも、先日、『ラブライブ!サンシャイン!!』のスピンオフとして『幻日のヨハネ-SUNSHINE in the MIRROR-』の制作が決まったばかりだ。

 こうしたスピンオフはファンにとって喜ばしいものである一方で、作者の死後に描かれた作品は賛否両論ある例が少なくなく、(タイトルを挙げるのは控えておくが)猛烈にバッシングされ、黒歴史として忘れ去られた例も少なくない。『ゴルゴ13』も熱狂的なファンが多い作品なだけに心配な面もあったが、『銃器職人・デイブ』も『Gの遺伝子 少女ファネット』も好意的に受け入れられているようだ。

 ただ、1話には1コマだけゴルゴの顔写真が登場するが、以前と若干、顔が違っている…? ような気がしてしまうのだが、余計なことは考えないようにしよう。一読して、安定したクオリティの作品を生み出すさいとうプロの凄みを感じずにはいられなかった。

意志を継ぎ、挑戦を続けるさいとうプロ

 筆者は生前のさいとう・たかをにインタビューをしたことがある。80歳を過ぎた高齢でも新しい作品を生み出す意欲は尽きることがなく、アイディアに満ち溢れた作家の鑑のような方だと感じた。そんなさいとう・たかをは、昨年、『銃器職人・デイブ』の発表の際も「連載開始から53年、単行本201巻が出たところで、また新しいことをやってみたくなりました。読者の皆様、どうぞお楽しみに」とコメントしていた。このコメントが発表された数か月後にさいとう氏は逝去してしまったのだが、最後まで挑戦心を忘れることがなかったとわかる。

 そんなさいとう・たかをの意志を受け継いださいとうプロの渾身作が、『Gの遺伝子 少女ファネット』なのだ。“Gの遺伝子”はもちろんだが、さいとう・たかをの遺伝子も継承されていると実感できるだろう。

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