【5月発売BLコミックレビュー】『放課後のエチュード』『焦がれて焦がして』……待望の続刊が熱い!

 毎月、筆者が「出会えてよかった」と胸に刺さったBL作品を紹介している「BLコミックレビュー」。今回は2022年5月に発売された作品のなかから2作品をピックアップした。

■2022年1月のレビュー
■2022年2月のレビュー
■2022年3月のレビュー
■2022年4月のレビュー

『放課後のエチュード(2)』
(昼寝シアン/ビーボーイコミックスデラックス/リブレ)

 とある芸術高校でバレエに打ち込む先輩と後輩の青春を描いた『放課後のエチュード』。バレエをするために生まれてきたかのような体躯に恵まれながらも、表現力に課題を抱えていた見延千裕と、表現者として他を圧倒する存在感を持ちながらもプロとして必要不可欠な身長に伸びる可能性がないと診断され、バレエダンサーの頂点に立てないことがほぼ確定してしまった一宮瞬。第1巻では、ダンサーとしてほしくてたまらないものを持つ見延と一宮の「ないものねだり」な関係性と、そんなふたりが舞台に立ち相手に見てもらう喜びをわかちあう様子が描かれた。

 ふたりのその先にあったのは、未来の共有だ。相手に見てもらいたい、認めてもらいたいという願いは、第2巻で「一番近くでずっと踊っていたい」という夢へと進化する。

 しかしそのふたりに立ちはだかるのが、ダンサーとしての圧倒的な実力差だ。一宮にロシアのバレエ団入りという“バレエ界のトップレベルへ挑むチャンス”が再来したのをきっかけに、見延は彼との間にある遠すぎる距離を改めて実感することとなる。

 一宮のバレエダンサーとしての未来を応援したいけれども、離れたくはない。一番近くで踊っていたいという夢も諦めたくはない……。そんな一芸を極めるために努力を重ね続ける若者たちの将来の選択というシビアな一面が、より鮮明に描かれるシリーズ第2巻。ふたりがどんな選択をとるのか、ぜひ注目してほしい。「好き」が溢れすぎているダンスシーンも必見だ。

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