『東京卍リベンジャーズ』場地圭介が担う“メンター”としての役割 その特異なキャラ立てを考察

物語自体が要求した悲劇

 結局、「血のハロウィン」の抗争中に致命傷を負った場地は、千冬の腕に抱かれながら、息を引き取ることになる。そして、“すべて”をタケミチに託すのだ。

 「マイキーを… 東卍を… オマエに 託す!!」(第61話より)

 これはなかなか思い切った演出だと思う。なぜならば、千冬とは違って、タケミチと場地とは、そこにいたるまでほとんど心の交流はないのである。

 それでもなお、場地にとっては、何か、漢として認められるものをタケミチの中に感じ(「オマエはどこか 真一郎君[注2]に似てる」という言葉でそれを表しているのかもしれない)、タケミチもまた、そんな場地の想いをしっかりと受け止めたというわけだ。

[注2]マイキーの兄。

 いずれにせよ、こうした、主人公とほとんど接点を持たないままに、鮮烈な死にざま(生きざま)を見せつけることで“何か”を遺すメンターもありうるのだということを、場地圭介というキャラクターを見て、知った。

 また、厳しい書き方をさせてもらえば、この“壱番隊隊長の死”という悲劇は、物語自体が要求したものでもあっただろう。

 だが、東卍を「一人一人がみんなを守るチームにしたい」という彼が遺した強い想いは、この先も、タケミチ、千冬、マイキーたちだけでなく、読者それぞれの心の中でも永遠に生き続けるのだ。そう――「ペヤング半分コ」の優しさとともに。


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