そして内通者候補議論で真っ先に名前がでる、最有力候補がA組16番の葉隠透だ。明るい性格が特徴である彼女の個性“透明化”は、たしかに極めてスパイ活動に適性がある。彼女であれば誰にもバレず、職員の情報を盗ることも容易いだろう。そして死柄木がデクに接触したショッピングモールに赴く提案者であったり、モノローグが少なかったりと他にも怪しい点が多い。その中で葉隠は怪しい部分が多すぎて、スパイと思わせるミスリードなのではという声も少なくない。しかし彼女には疑わざるを得ない、決定的な違和感がある。

　寝てる間も目視できず常に透明である彼女。それでは彼女は本当に自らの意思で透明化を解除できないのか。この問いの答えはおそらく「NO」だ。例えば梅雨ちゃんのように常に蛙のような形態をしている場合は個性“蛙”、切島のように硬く変化できる場合は個性“硬化”と、個性は「〜化」の有無で区別されている。そして葉隠の個性は“透明化”。つまり彼女は常に透明人間であるように見せかけ、本当は透明化を解除できる可能性が高いのだ。

　ただし、それに雄英が気づいていないのも不自然なため、やはり彼女はミスリードで読者も欺く形の隠密活動に従事している可能性もある。どちらにせよクライマックスでは、葉隠の素顔が描かれるのかもしれない。

　「ヒロアカ」の盛り上がりが最高潮を迎えると共に、内通者の存在も重要度を増している。内通者はオール・フォー・ワンと直接繋がっていると考えられていた。USJ襲撃事件でA組の個性を把握していなかった点で候補からA組生徒を省く考察も多いが、死柄木まで詳細が伝わっていなかった可能性もある。そもそもA組生徒の個性も把握できない人物では、“内通者”とは呼べずカリキュラムを盗むなど不可能だ。重要な局面の目白押しとなる今後は、原作の展開を見守りながら、内通者の正体にも注目してほしい。