清水ミチコが語る、“三人のおしゃべり”の秘訣 「ひとの話を聞くことが昔から好き」
YouTubeはすごく向いていると思った
――毎回、ゲストの方の本や、ドラマやバラエティ、映画や舞台、ラジオなど、すごくいろんな情報を収集されていますよね。
清水:そうでもないんですよ。知ったかぶりですよ、知ったかぶり(笑)。興味がある人たちについてはたまたまよく知っていることもありますが、阿川佐和子さんが対談する際、相手の作品を8割以上は読みあげてから挑むと聞いて、びっくりしたことはありました。私は絶対にしないし、できない(笑)。ただ、昨年~今年はコロナ禍で仕事が減ったので、インプットはたくさんできましたよ。
――コロナ禍でYouTubeも始められましたが、これまでやっていなかったことが不思議なくらい、清水さんにピッタリの場所ですよね。
清水:私も自分ですごく向いていると思ったんです。今までは何かやって拍手もらうとか、レスポンスがあるのが当たり前でしたが、コロナ禍でそれがピタっとなくなってしまい、すごく寂しいなと思ってYouTubeを始めたんですよ。実際にやってみて気づいたのは、残り方が違うということ。お客さんの目の前だと一瞬で消えていく反応が、YouTubeだとずっと残るし、言葉で書いてもらえるのも、嬉しいんです。それに、誰も知らないようなマイナーなモノマネも、これまでずっとやりたくてしょうがないのに抑えていたものを、YouTubeによって爆発させられる感じがして、幸せです(笑)。
――テレビやラジオ、ライブ、エッセイ、鼎談など、多岐にわたるご活躍ぶりですが、力配分はどうしているんですか。
清水:もともとはライブを一番大事にしてきたんですが、鼎談は自分にとって新たな勉強にはなっていますね。ピン芸人は、自分の好きなものを出していくことが多いですが、鼎談を通して、人のパワーを借りる、人の言葉で自分が面白いことを言えるという経験もできますし。
――何か面白いモノを発見したとき、アウトプットの方法はどう振り分けているのでしょうか。
清水:すごく面白いと思ったら、文字にしないともったいないので、すぐ書けるようにスケジュール帳の横にメモしています。モノマネの場合は、まずテレビを見ながらちっちゃい声でやってみて、「イケるかも」と思ったら、家族に聞いてもらい、次にスタッフに聞いてもらう。その後は、ラジオでやる、ライブでやる、テレビでやる、かな。最近はYouTubeが先になっています。一番練られたものが出てくるのはたぶんテレビで、実験的なのはラジオかYouTube。最近は、まだできてもいない途中の段階の“なりかけモノマネ”として、河野太郎さんをやりました(笑)。政治家のモノマネは、見る人たちがなんだかスッキリするみたいで、ときどきリクエストで「俺はこいつが嫌いだから、こいつをお願いします」とかも言われるんですよ(笑)。
――今後さらに挑戦したいことはありますか。
清水:「ミミズ孔ポスト」というのを友達が作ったんですよ。発泡スチロールに通気孔をあけて、そこにシマミミズという魚のエサのミミズを置いて、土と生ごみを入れて新聞紙をかぶせるんです。そうすると、どういうわけか新聞紙がなくなっていくっていうんです。ミミズが赤ちゃんを産んでどんどん増えていくようで、ちょっとゾッとするでしょ? でも、生ごみは廃棄できるからなかなか良いらしく、私もコロナ禍のステイホームを利用してやってみたいなと思っています。
■書籍情報
『三人三昧 無礼講で気ままなおしゃべり』
清水ミチコ
発売中
価格:1760円(税込)
出版社:中央公論新社