『炎炎ノ消防隊』異能バトル漫画としての新しさとは? 能力を“炎限定”にしたことの画期性

 「週刊少年マガジン」が誇る、大人気ファンタジーバトル漫画『炎炎ノ消防隊』(講談社)。累計発行部数は1,500万部を突破しTVアニメ第3期も待ち望まれる本作には、従来のバトル漫画とは少し違った魅力が存在する。そこで本記事では『炎炎ノ消防隊』の秀逸さを、設定の魅力と共に紹介していく。

 突如として人の体から炎が発せられる「人体発火現象」。人々はいつ誰に起こるかもわからないその現象に、恐怖しながら生活を送っていた。

太陽暦佰九拾八年 東京ーー

 異国情緒あふれる街並みを走る電車内で、1人の男性の口元から突如として炎が発せられる。乗客が我先にと逃げ惑う中、不気味な笑みを浮かべる青年が1人炎を発した人間“焔ビト”に立ち向かおうとしていた。

 焔ビトはもとがどれだけ無害な人間であろうと、自我を失い攻撃的になってしまうのだ。立ち向かう姿勢を整える青年だが、その後ろから特殊消防官がやってくる。「危ないから下がって」と一喝された少年は、特殊消防官達の見事な仕事ぶりに見惚れていた。

 そんなとき、祈りを捧げるシスターの頭上に炎で紐が焼き切れた機材が落下してしまう。絶体絶命かに思えたシスターだったが、足から炎を噴射し彼女を助けたのは、イチ民間人であるはずの青年だった。そしてその青年・森羅日下部は今後自分が新人として世話になる、第8特殊消防官隊の面々に礼儀正しい挨拶を見せる。

 上官に連れられた森羅は、自身のホームとなる「第8特殊消防教会」を見上げていた。新設支部にしては古びた見た目の建物にガッカリする森羅は、第8特殊消防隊の大隊長・秋樽桜備のもとへ挨拶に向かう。自身の“緊張すると笑ってしまう癖”を突っ込まれた森羅は、過去に起こしたとされる事件を掘り返される。「ヒーローになるために消防官になった」と断言する森羅に、「消防官の1番の目的は人体発火の謎を突き止めること」だと話す桜備。こうして森羅は世界を恐怖の渦に巻き込む異常現象、そして自分の運命との戦いに身を投じるのだった。

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