『美味しんぼ』栗田ゆう子は”あざとかわいい”? 山岡を困らせる小悪魔的一面を検証

待ちに待ったプロポーズで……

 山岡から「団社長の妹・ゆう子と料理人・立村の結婚がまとまったら結婚を申し込む」とプロポーズ予告を受けた栗田。無事に2人の縁談をまとめると、その帰り道で山岡は「で、次は俺の番なんだが。あ~まあその~」と口籠る。

 プロポーズを待っていたはずの栗田は「荒川夫人と三谷夫人から色々教わったわ。上手な断り方を」とまさかの対応。山岡はあっけにとられた後に肩を落とし、「そうだろうな。俺みたいな男じゃな」「幸せになってくれ。俺を断ったのは正解だよ」と呟き、早歩きで立ち去ろうとした。

『美味しんぼ』(43巻)

 ここで栗田が「どうして決めつけるの。まだ何も言っていないじゃないの」と声をかけ、「じゃあ俺が結婚してくれって言ったら、受けてくれるのかよ」と応じる山岡。「受けるわよ」と栗田が返し、2人は結婚することになった。(43巻)

 プロポーズの場面で「断り方を教わった」と言われれば、山岡でなくても「断られた」と思ってしまうもの。栗田が鈍感な山岡に終始想いを寄せていたのは明白だったのだが、それでも一度「断り方を教わった」とジャブを入れる。まさに小悪魔的な言動だった。

結婚直前に海原雄山との仲直りを促す

 大原社主の命令で披露宴が「究極のメニュー」の発表の場となった山岡と栗田。2人は岡星で作戦会議を行う。岡星夫妻、近城と二木、そして荒川と三谷も合流し食事をしながら「これは辛い仕事になるぜ」と呟く山岡。栗田は「もう1つ辛い仕事があるわ。海原雄山氏よ」「本当に後世にまでに残る文化遺産として究極のメニューを作るとしたら、海原雄山氏の協力を得る必要がある」と声をかける。

 栗田は「これが究極と言い切れるものを作るには海原雄山氏の協力を得ることが必要だわ。海原雄山氏は山岡さんより優れたものを持っているただ1人の人間なんだから」と山岡が最も忌み嫌う雄山への協力を求めていく意向を示す。

 これに山岡は「雄山なんかクソくらえだ。この期に及んで君がそんな事言いだすなんて裏切りだよ。結婚も考え直さなきゃな」と激怒する。この後も栗田は雄山の力を評価する言葉を続けた。

 山岡は「俺があの男にどんな気持ちを持っているか知っていながら今になってそんな事を言うなんて」「百歩譲って雄山の助力が必要だとしても自分が憎しみ軽蔑する人間に助力を受けるのはゴメンだ」「披露宴も究極のメニューもクソくらえだ」と言って席を立つ。

 栗田も「私、そんな心の狭い人と結婚するのはまっぴらだわ。私たちの結婚考え直しましょう」と話す。山岡も「そのほうがいいようだね。土壇場になって人の心を裏切る人間とは暮らせないよ」と話し、店を出た。

 この後、心に深い傷を負った経験を持つ岡星冬美が栗田の「配慮のなさ」を指摘し、栗田も「性急すぎた」と自らの非を自覚。結局雄山を頼り、雄山が紹介したキャベツのスープを2人で食べ、互いに反省することで、なんとか仲直りにこぎつけた。仲直りには漕ぎ着けたものの、山岡にとっては突然忌み嫌う雄山との協力や魅力を語られるのは、最も嫌なこと。栗田にも想いがあったのだろうが、山岡は「裏切り」と感じたようだ。

小悪魔的な行動も栗田ゆう子の魅力?

 意図しているか否かは不明だが、山岡にたびたび小悪魔的な行動を見せる栗田。しかしそんな奔放な一面を持つことも魅力であり、それが山岡を射止めた要因なのかもしれない。

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