不倫は本当に悪しきことなのか? 『恋する母たち』が問いかける、人間の尊厳
発売されたばかりの第7巻では、慎吾との復縁を義母に求められた杏が、巧の住む金沢に身を寄せ、まりは丸太郎との子供を妊娠し、優子はしばらく連絡をとっていなかった赤坂から「結婚をする」と告げられる。物語はいよいよ終焉に向かうが、彼女らはどのような未来を選択するのだろうかーー。
7巻に“「息子がいても恋することがふしだらとは思いません」”というセリフがある。それは「息子がいても恋をしていいでしょう」という、“言い訳”として発せられたセリフではない。“妻”や“母親”という型に押し込められるのではなく、ひとりの人間として生き感じたことを主張しているように思う。
この作品を一度読み終えた人は、もう一度読み直してみてほしい。彼女たちにとってどの出来事も必然であったことを改めて感じ、3人の人生は“正しい”“正しくない”だけで語れるほど単純なものではないことを教えてくれる。
次作の第8巻は、スピンオフ編と銘打たれている。“母”以外の視点から物語を見つめることで、またあらたな視界が開けそうだ。そして、より“恋愛模様”に着目した内容が描かれているドラマでは、3人がどのような決断をするのか、期待したい。
■高城つかさ
1998年、神奈川県出身。【言葉と人生】をキーワードに主にエンタメ、暮らしを切り口に人生について考えている。好きな場所は劇場と本屋。
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■書籍情報
『恋する母たち』(ビッグコミックス)既刊7巻発売中
著者:柴門ふみ
出版社:小学館
出版社サイト
■ドラマ情報
金曜ドラマ『恋する母たち』
TBS系にて、10月スタート 毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:木村佳乃、吉田羊、仲里依紗
原作:柴門ふみ『恋する母たち』(小学館 ビックコミックス刊)
脚本:大石静
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
演出:福田亮介
編成:宮﨑真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS