『ONE PIECE』ゾロが船長を立てる理由とは? “鬼の副長”の武士道精神

 船長が威厳を失うということは、つまり“船長の不在”を意味する。例のゾロのセリフは現代社会においても言えることだ。トップが不在の組織は、必ず崩壊する。こういった考え方を貫くゾロを見ていると、新選組の“ナンバー2”であった土方歳三を彷彿させる。彼は組織のトップである近藤勇の顔を立て、組織を維持するためならば内部での粛清も辞さない男で、“鬼の副長”と呼ばれていたのはよく知られていることだ。ゾロの場合は……まあ、「ちょっとゆるい“鬼の副長”」といったところか。抜くところは抜いて、筋を通すところは必ず通す。彼の武士道こそ、いま私たちに必要な精神なのではないだろうか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

関連記事