『鬼滅の刃』“痣の発現”が意味するものは? 第189話、蛇柱・伊黒が示した“心の強さ”

 現実の人間社会であれば、状況のつらさを悪事でやり過ごすことや自身の欲する能力・地位・名誉のために良心を捨てて何らかの悪事に手を染める。鬼になるのは、そういったケースと重なる。しかし、悪への誘惑を拒否し、良心と悪徳の誘惑とのあいだでの葛藤の先には、「精神力を高めた自分」を実感できるのではないか(無論、そこでも良心と悪徳とのせめぎ合いが終わるわけではないが)。

 本作でいえば、人間は本来鬼と比較したら圧倒的に不利な存在。人間のまま鬼の強大な戦闘力と対峙、それに加えて鬼への誘惑とも戦わなければならない。しかし、それらを耐え抜き、痣を発現させることで戦闘能力は格段に上昇する。つまり、痣は克己の印としても考えられるのだ(痣者でありながら鬼になった巌勝はさながら堕天使のようだ)。

 無惨との死闘以降、様々なキャラの背景もいっそう色濃く描かれるようになってきた。その死闘の筋道は、ますます“人としての強さとは何か”を問うものとなりそうだ。

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