氷川きよし「いつ死んでもいいと思ってステージに立っている」 49歳の誕生日に届けた“初心と進化” 変幻自在のツアー東京公演

 氷川きよしが、9月6日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで『氷川きよし コンサートツアー2026-2027〜KIINA’S LAND2〜』を開催した。

 真っ赤な緞帳がゆっくり上がると、ステージ後方の丸いLEDスクリーンに氷川のシルエットが浮かび上がる。着物やスーツ、ドレス、そして最後は股旅姿。これは、2001年に行われた初のコンサート『氷川きよし チャレンジステージ in 中野サンプラザ』での演出をアップデートしたものだ。初心に戻り、進化したステージを届けたい。そんな意気込みが感じられるオープニング演出に惹き込まれていると、ひと際大きくなった歓声を受け、上段ステージに艶やかなブルーの着流し姿の氷川が現れた。1曲目は記念すべきデビューシングル「箱根八里の半次郎」。1コーラス歌い終えると「ようこそ!」と両手を広げながら笑顔で階段を降り、メインステージへ。客席との掛け合いもばっちりで盛り上がり、続けて「大井追っかけ音次郎」を披露した。

 最初のMCでは、「今日はお足元の悪いなか、命懸けで(笑)、お越しいただきまして本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです! 嬉しい!」と挨拶。また「自分のことなので恐縮ですが、今日で49歳になりまして。こんなに長生きできるとは思ってなかったんですよ。10代の頃はどれだけ生きればいいんだろうって感じだったから。だから今はこうして歌が歌えて、コンサートができて、とても嬉しい」と言葉を続けた。ユーモアを交えながらの飾らないトークでファンとの距離を一気に縮めていき、ここからは怒涛の股旅シリーズへ。「花の渡り鳥」からスタートし、エンターテイナーとしての氷川きよしを象徴するような「きよしのねずみ小僧」、明るく楽しい「旅でござんす おじゃる丸」と続いていく。「藤枝しぐれ」では物語を演じるように丁寧に歌唱し、「番場の忠太郎」ではファンの涙を誘う渾身の見せ場を作り上げた。

 次のセクションでは、人力車に乗って登場した氷川。キリリとした紋付き袴で「きよしの人生太鼓」、雷鳴や満月の演出も美しかった「白雲の城」などを情感たっぷりに届け、スパンコールが美しい黒のタキシードに着替えたあとは、何かとギスギスしがちな現代社会へのメッセージが込められた「ほど酔い酒」などを披露していった。

 途中のMCコーナーでは、今日が49歳の誕生日ということでケーキが登場。祝福の声援を受け、ファンからの質問に答えたりしながらアットホームな雰囲気で進行していった。そのなかで氷川は9月2日にリリースした『氷川きよし 美空ひばりを歌う』というアルバムの話題に触れ、自身が抱いていた美空ひばりの印象やリスペクトしている気持ちなどをトーク。少しだけモノマネを取り入れたりしてお茶目な一面も覗かせつつ、心を込めて名曲「川の流れのように」を披露した。短いMCを挟んで歌われたのは、阿久悠作詞の「でんでん虫」と、作詞を松本隆、作曲をGLAYのTAKURO、そしてアレンジを亀田誠治が手掛けた「白睡蓮」。ポップスとしての要素が強い2曲をアコースティックバージョンで届けたのだが、ボーカリストとしての表現の幅広さや、楽曲の世界観に向き合う真摯な姿勢をあらためて感じさせるような選曲だった。

 コンサートもいよいよ後半戦。パープルのロングジャケットがスラリとしたスタイルを引き立てるスーツ姿で上段ステージに登場した氷川は、軽やかな足取りで階段を下り、「紅ドレス」と「大丈夫」を披露。ここではコーラスのShin-Imayamaとサポートメンバーである俳優・川手祥太も揃いのシャツで氷川と並び、ステップを踏みながら会場を盛り上げた。バンド演奏による「恋、燃ゆる。」で空気を一転させたあと、美しいトレーンが印象的な黒いドレススーツで現れた氷川。まず同じ福岡出身のシンガーソングライターであり、これまでもいくつかの楽曲を提供してきた永井龍雲によるバラード「恋初めし」をじっくりと届け、「自鳴琴」では、主人公の心情を体現するように階段に倒れ込みながら全身全霊のパフォーマンス。惜しみない拍手が湧き起こるなか、本編は幕を閉じた。

 アンコールでは、ファンシーなリヤカーに乗せられたギフトボックスから登場した氷川。大胆なハイレグカットが印象的な衣装で「Party of Monsters」、「限界突破×サバイバー」というロックチューンを立て続けに披露した。会場中のペンライトが激しく揺れ、老若男女、ステージも客席も渾然一体となって盛り上がる。夏の大型野外フェスでも目にするような熱狂はそのままに、ラストはお馴染み「きよしのズンドコ節」。氷川きよしとして、またKIINA.としての垣根も取っ払った全力のステージでファンを魅了した。

 エンディングでは、“本日はありがとうございました! ずっと共に歩んで行きましょう”という氷川手書きの横断幕が登場。バンドメンバーたちと感謝を伝えたあと、ファンの歓声にユーモアを交えて応えつつ、「根性据えて、腹括ってやってますから! いつ死んでもいいと思ってステージに立っているので、皆さんも悔いなく、長生きしてください! 私のようにしぶとく生きてくださいね!」と晴れやかな表情で手を振っていた。

 『氷川きよし コンサートツアー2026-2027〜KIINA’S LAND2〜』はこのあと、京都、兵庫と続いていき、来年2月21日の群馬・メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎まで発表されている。初心と進化、演歌もロックも織り交ぜながら人々を魅了し続けていく"“KIINA’S LAND”。この先どんな展開が待っているのか、楽しみになる東京公演だった。

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