アソビシステム代表 中川悠介に聞く、KAWAII LAB.大ヒット以降の新たな戦略 海外とデジタル分野でどう動く?

きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPERらを輩出し、原宿発の「KAWAII」カルチャーを世界へ届けてきたアソビシステム。2027年の創業20周年を前に、同社はActiv8のグループ会社化やVOLVE CREATIVEなど複数企業との業務資本提携をはじめ、事業領域をさらに広げている。KAWAII LAB.やASOBISYSTEM USAを軸としたグローバル展開、アーティストやIPを起点にデジタルとリアルを横断するファンビジネスの革新などを通して、同社が目指す新たなカルチャーとは何か? 創業から20年で培った強みと、次の20年に向けて描く未来について、同社代表の中川悠介氏に聞いた。(編集部)
加速する資本提携や協業ーーデジタルとリアルで進めるファンビジネス戦略

ーー2027年に控える20周年に向けて、アソビシステムは多岐にわたる企業との協業や資本提携を積極的に行なっています。その中でも、Kizuna AIなどを手掛けるActiv8がアソビグループに参画したことはインパクトのあるニュースでした。
中川悠介(以下、中川):2025年にKizuna AIとエージェント契約を結ぶ以前からも、Activ8とはこれまで中田ヤスタカによるKizuna AIへの楽曲提供(2019年リリース「AIAIAI(feat. 中田ヤスタカ)」)にはじまり、CAPSULEのVRChatライブの制作、バーチャルプロダクションの展開など様々な取り組みを行ってきました。よりバーチャル領域に注力していきたいと考えたときに、パートナーとして迎えるには、大前提として“クリエイティブが強い”会社がいいと考えていて。Activ8が優れたコンテンツやIPを作る会社であることは、これまでの取り組みからもわかっていたので、今回の連携強化にも繋がりました。
ーーActiv8のほか、同じくIT関連企業では2026年5月にVOLVE CREATIVEとも資本業務提携を発表しています。
中川:VOLVE CREATIVEもIP創出や音楽制作で挑戦を重ねてきた企業です。Activ8然り、いずれも「クリエイティブであること」を大事にしている企業で、そこがアソビシステムと共通しています。僕が思うに、クリエイティブには無限の可能性があって、ものの考え方や見方ひとつでガラッと変わる。なので、考える人やチームが多いにこしたことはないんです。アソビシステムとして作るものと、他社と協力しながら作るもの、それぞれまったく異なるクリエイティブになるーーそんなモノづくりの在り方が、受け手側からするといい「味変」にもなるでしょうし、多様な発信にもつながっていくと考えています。
ーー協業の判断基準としてあるのは「クリエイティブであること」だと。
中川:それは大前提ですが、紐解いていくと結局は“人”かもしれません。その人と仕事をしたいのか、したくないのか。僕らはエンターテインメントを作っているので、イコール自分たちが楽しめないと意味がないんです。打ち合わせをして楽しい会話になるのか、一緒に汗をかいて仕事ができるのかーー企業の規模感に関係なく、そういうところが一番大事なのかなと最近は思いますね。
ーーそれぞれの企業には専門性や独立性があると思います。アソビシステムと各社が持つカラーのバランスは、ビジネスを進める上でどのように考えていますか。
中川:アソビシステムにすべて染まってもらう必要はないと考えています。組めるところは組んで、そうでないところは組まないという選択肢は当然あって、結果としてアソビシステムもグループにした会社も双方が伸びていく形が理想的だと思っています。あくまでも、アソビシステムの中にいろんなチームが増えていく、というイメージが強いですね。
ーー先ほど、バーチャルに注力というお話もありましたが、リアルとバーチャルのバランスはどのように?
中川:たとえばインターネットを介してアイドルを好きになったら、その流れでライブに行くのが当たり前だと僕は思っていたのですが、実際は人混みが苦手な人やライブ会場に行きたくない人もたくさんいると最近知りまして。ライブには行かないけれどネット上で好きでいてくれるファンも、ネット上の情報は追いかけずともライブには欠かさず参加するファンも、その両方に楽しんでもらう方法を考えることが大事な存在なのだと気づいたんです。
ーー最近はFRUITS ZIPPERを筆頭にKAWAII LAB.メンバーのキャラクターIPも生まれています。K-POPグループは、本人から独立したコンテンツを作ることが多いですが、そういった取り組みもバーチャルとの親和性が高そうですね。
中川:そういう展開も含めて、キャラクター化には新しいファンが増える可能性を感じています。先にキャラクターと出会って、「この可愛いキャラはなんなんだろう」と調べた先でFRUITS ZIPPERと出会う、という。今はまだ、既存のファンに向けたものという認識が強いと思うのですが、今後は可愛さ以外にも様々な要素をプラスしたキャラクターにすることで、新たなファンに興味を持ってもらえるような仕組みも作りたいと考えています。
ーーかつてPUFFYがアニメのキャラクターとしてアメリカでブレイクしましたが、そんな可能性もあるように思います。先ほどあったファンの属性の話で言うと、ここ数年のファンビジネスの変化についてはどのように捉えていますか?
中川:ファンの在り方や熱量は常に変化するものですし、これからはより細分化されていくのではないかと。ここ数年は好きなものを好きでいていい時代になっていて、お茶の間を介さずとも、小さなファンダムがたくさん生まれるようになりました。僕らがやるべきなのは、その細分化されたファンダムとお茶の間を繋ぐことだと思っています。ソーシャルメディアでバズったものをテレビのような影響力のある媒体に持っていって、より広く世の中に届けていくことが大事なのかなと。テレビのような伝統的な媒体とソーシャルメディアをミックスすることが、僕らが今後やるべきことだと思っています。
ーー中川さんが過去におっしゃっていた「バズった日がリリース日」という考え方ともつながりますね。従来の音楽プロモーションでは、作品のリリース日に向けて施策を仕掛けていくやり方が主流でしたが、アソビシステムは“バズを起点にプロモーションを広げていく”。
中川:そういう考え方に至ったのは、「この店、美味しい」という広告宣伝よりも、友人から「この店、美味しいらしいよ」と口コミを聞いた方が信憑性があるなと気づいた時ですね。いいクリエイティブを無理に押し付けるのではなく、自然に世の中に知られたタイミングで出すことが、幅広い人に知ってもらえるチャンスになるのではと。熱量が高まったところでテレビに出るとか、「これいいね」みたいな声がジワジワと出てきたタイミングが仕掛けるべきタイミングだと思っています。そういう感覚は大事にしていきたいですね。


















