ベスト盤リリース記念! 有識者4名で語り合う“つば男の音楽”の真髄 継承される、聴けるボーイズユニットのDNA

つばさ男子プロダクション(通称:つば男)が、初となるベストアルバム『つば男ベスト』『つば男インストベスト』をリリースした。CUBERS、THE SUPER FRUIT、世が世なら!!!、SHY、POCKET PANiC、峯脇から各5曲ずつピックアップされたほか、現つば男メンバー19名とつば男AP(CUBERS)のTAKAを加えた総勢20名で新録された「Samenaide(つば男 Ver.)」を含む全21曲が収録されている。
本作の選曲には、つば男のチーフマネージャー・堀切裕真に加えて、4名の識者が参加。ラジオパーソナリティ/選曲家としても活動中、著作も多数ある音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏。女性アイドルシーンに精通し、シーンの最前線を追い続ける音楽ライター 南波一海氏。多数のメディアでボーイズグループの執筆を手がける音楽ライター 坂井彩花氏。音楽ナタリー編集部を経て独立し、インタビュー記事を多数執筆する音楽ライター 小林千絵氏が、それぞれの視点からキュレーションしている。
そこでリアルサウンドでは、こちらの4名のキュレーターによる座談会を企画。「1小節も最後の1音まで妥協しない音楽」を標榜するつば男の“音楽”の魅力について、存分に語り合ってもらった。(伊藤聡志)
それぞれの視点で捉える“つば男”の音楽
ーー皆様には、8月6日にリリースされたベスト盤の選曲にご協力いただきました。あらためて、つばさ男子プロダクション(以下、つば男)の音楽と向き合っていただくなかで、その魅力や特徴をどのように感じましたか?
高橋芳朗(以下、高橋):僕はCUBERSのデビュー時からライターとして関わらせてもらいましたが、以降のつば男の後輩グループは熱心に追うことができていませんでした。この機会にあらためて皆さんの音楽を聴いてみましたが、CUBERSが掲げていた“聴けるボーイズユニット”のコンセプトがしっかりと継承されていることがよくわかりました。
ーー今回初めて後輩グループの楽曲やパフォーマンスに触れるなかで、CUBERSとの共通項を感じたと。
高橋:そうですね。ただ、共通する魅力は音楽的な部分よりもそれぞれの佇まいみたいなところに強く感じました。どのグループも無垢で健気で愛嬌があって、良い意味での青くささを漂わせている。自分の子どもが推していても安心して見ていられる雰囲気がありますね。
坂井彩花(以下、坂井):やっぱりシンプルにいい曲が多いですよね。K-POPの流行以降、「難解でテクニカルなものがかっこいい」という空気もあって、それも素晴らしいんですけど、つば男は万人に開けた楽曲が多いとあらためて思いました。特に今回のベスト盤に収録されている楽曲はそんな王道なものもありながら、ジャンルとしても多彩でグループごとのコンセプトも分かりやすい楽曲が揃った印象があります。やっぱりつば男は、日本人に優しい音作りであり、歌詞であるというイメージが強いですね。
小林千絵(以下、小林):とにかく音がリッチという印象もありますよね。私はTHE SUPER FRUIT(略称:スパフル)からつば男に入ったので、高橋さんとは逆で今回初めてしっかりとCUBERSを聴いたんですけど、やっぱりファンクミュージックが基盤にあるということもあって、入っている音の一つひとつが豊か。今回、運営の皆さんが「インスト盤も作りたい」と思った気持ちがめちゃくちゃ分かりました。
ーーしっかりと時間をかけて、こだわりを詰め込んでいることが分かりますよね。
小林:そのサウンドに真っ直ぐなメッセージが乗っているときもあれば、すごく変な歌詞が乗ってるときもあって(笑)。そんな歌詞のうしろでいい音が鳴っているアンバランスさが私はすごく好きだったので、今回選曲するときは、歌詞とサウンドがリンクしているか、逆に全くリンクしていないか、というところを考えながら選んでいました。
ーー最後に南波さんはいかがでしたか?
南波一海(以下、南波):現行のボーイズグループって、K-POPの影響などもあると思うんですけど、クールだったり、マッチョだったりのコンセプトが少なくないと思うんですよ。そんななかで、どんなタイプの楽曲を歌っても“かわいげ”みたいなものがすごく見えるのがつば男なのかなと。だからトンチキっぽい曲を歌っても様になるし、クールな曲を歌ってもそのなかでポロっとかわいげが見えてくる。高校球児が頑張っているところを見ると感動しちゃうみたいな、そんな輝きがありますね。
ーー“つば男らしさ”を表現するなら、どのような言葉になりますか?
坂井:音楽面でいうと“人懐っこいサウンド”と表現できるかもしれないですね。最近は海外のクリエイターに楽曲制作を依頼するグループも多いなかで、つば男楽曲のクリエイター陣って日本の方が中心で。やっぱり日本で暮らして、日本の音楽を聴いてきた方が作る国民的音楽というのがつば男らしさなのかなと。先ほどあった“安心して推せる”みたいな話とも通じると思うんですけど、手の届かないヒーローじゃなくて、クラスメイトが頑張って何かを伝えようと叫んでいるみたいな。そんな距離感から発せられるメッセージというのは、つば男ならではの個性なのかなと思いますね。
南波:やっぱりCUBERSが原点にあるから、「ディスコサウンドがベースにある」という点はつば男らしさですよね。この基準があるからこそ、電波ソングっぽいものをやってみたり、ロックっぽいものをやってみることが、つば男のなかにおけるカウンターになるというか。
小林:“等身大”という部分も重要なポイントだと思います。背伸びをせずに、本当に思っていることだからこそ伝わるんですよね。私はパンクバンド畑出身なので、アーティストの本心と実際に歌っていることが一致している音楽が好きなんです。つば男にはそれがあって、このメンバーたちが歌うからこその意味を感じます。
坂井:グループ系のアーティストには「何もしなくてもいずれ有名になるだろう」という雰囲気や実力のある、洗練されたメンバーもいたりするじゃないですか。でもつば男って見つけてもらう、引っ張り上げてもらうことで初めて輝くメンバーが多いというか。前者のような天賦の才を持つ人が与えられる夢と、そうではない人が与えられる夢って質が違うと思っていて。つば男はある種そんな普通の子たちが夢を叶えていくからこそ、与えられる夢やロマンがあると思っています。



















