乃木坂46のユニット曲はなぜ愛される? 孤独兄弟、からあげ姉妹、いもうと坂……組み合わせによる無限の可能性

「無口なライオン」「Threefold choice」……ユニ曲を振り返る上で欠かせない楽曲たち

 9thシングル『夏のFree&Easy』に収録された「無口なライオン」は、楽曲の世界観とMVの物語が重なることで、メンバー同士の関係性がより深く伝わってきた。西野をセンターに、生駒里奈、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、星野みなみ、堀未央奈、若月佑美が歌唱。MVでは、西野と若月を中心に、転校を控えた少女と仲間たちのひと夏が描かれている。

乃木坂46 『無口なライオン』Short Ver.

 2ndアルバム『それぞれの椅子』に収録された「Threefold choice」は、齋藤飛鳥、星野、堀の3人による王道のアイドルソングだ。3人の中からひとりを選んでほしいと迫る歌詞だが、かわいらしさの見せ方はそれぞれ異なる。どこか小悪魔的な雰囲気を漂わせる齋藤、柔らかな甘さを持つ星野、まっすぐな言葉が似合う堀。同じ相手に思いを向けながらも、3人それぞれの歌声には異なる魅力が表れている。それに、1期生の齋藤と星野、2期生の堀という顔ぶれも印象的だった。その後の歩みを考えると、「Threefold choice」は当時の乃木坂46が持っていた“次世代”のイメージを切り取った1曲にも思える。ユニット曲には、その時々のグループの姿を記録する役割もあるのだろう。

Threefold choice

 ほかにも、感情をぶつけ合うような伊藤万理華と井上小百合の歌声と表情が楽曲の切実さを際立たせた「行くあてのない僕たち」、大園桃子、久保史緒里、山下美月、与田祐希による“いもうと坂”と呼ばれた4人の初々しさを活かした、明るく軽快なアイドルソング「言霊砲」など、乃木坂46のユニット曲は、メンバーの個性や関係性に合わせてさまざまな表情を見せてきた。

行くあてのない僕たち
言霊砲

 その視点で42ndシングルの3曲を見ると、ライブで披露を重ねる中でどのようなユニット曲へ育っていくのかも楽しみだ。「Kissのタイミング」を歌う井上と菅原は、5期生の中心としてともに歩んできた2人。2人の関係性まで含めて親しまれる楽曲になれば、「孤独兄弟」のように歌唱メンバーと強く結びついた1曲になっていくだろう。「ひとつ手前のインターチェンジ」は、4期生の筒井と弓木、5期生の川﨑と冨里という、これまであまり見られなかった組み合わせから、どんなユニット像が生まれるのか期待が膨らむ。「おまえら」は、声質も表現の方向性も異なる五百城、奥田、中西が揃ったことで、ライブで歌そのものを聴かせる楽曲に育つ可能性もある。歴代のユニット曲がそうだったように、この3曲もパフォーマンスを重ねることで、現在の乃木坂46を振り返る上で欠かせない楽曲になっていくかもしれない。

 「偶然を言い訳にして」から現在まで、乃木坂46のユニット曲は、表題曲や期別曲ではなかなか表立つことのない歌声の相性や、メンバー同士の関係性を伝えてきた。数年後に振り返ったとき、その組み合わせが当時のグループを象徴するものになることもあるだろう。42ndシングルの3曲もまた、現在の乃木坂46だからこそ生まれたメンバーの組み合わせと、新たな魅力を楽しめる楽曲になりそうだ。

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