YAO「ありふれた世界の果てに」で重ねる幾重もの想い 過ぎ去る日常の価値を問いかける楽曲の力
Viral Hits Focus
話題のバイラルヒット曲を毎週収録するSpotifyによる日本向けエディトリアルプレイリスト「Viral Hits Japan」(※1)。同プレイリストより、本記事ではYAOの「ありふれた世界の果てに (feat. Awich, CHICO CARLITO, ONE OK ROCK & Paledusk)」をピックアップする。
「ありふれた世界の果てに」は、Awich、CHICO CARLITO、ONE OK ROCK、Paleduskによるプロジェクト・YAOが9月4日にリリースした2ndシングル。リリース後にはApple Music Japan「総合トップソング」、LINE MUSIC「ソング Top 100」リアルタイムランキングで1位を獲得。Apple Music「総合グローバルチャート」でも9位まで上昇するなど、大きな広がりを見せている。
彼らが第1弾シングルとして発表した「777」は、HIPHOPとラウドロックをぶつけ合うような楽曲だったのに対し、「ありふれた世界の果てに」で聴こえてくるのは、沖縄民謡を想起させる旋律と、穏やかで大らかなサウンドだ。沖縄音楽の節回しを思わせるメロディを、ONE OK ROCK・Takaが伸びやかなボーカルで歌い上げる。そこにAwich、CHICO CARLITOのラップが加わり、後半ではPaleduskらしいラウドな音像も顔を覗かせる。
一方、歌詞で描かれているのは、家族や仲間、愛する人と過ごす時間、受け継がれていくもの、平和といった、普遍的なモチーフだ。制作の背景には、沖縄にルーツを持つAwichとCHICO CARLITOが発信し続けてきた沖縄の歴史や文化、そして今なお残る過去の傷跡がある。そうした現実と向き合う2人の姿勢に、ほかのメンバーが共鳴したことから生まれたという本曲。それぞれが抱えてきた幾重もの想いを特定の土地だけの物語にはせず、聴き手一人ひとりが自分自身の暮らしや大切な人に重ねられる言葉として開かれている。タイトルにある「ありふれた世界」という言葉も、この視点から捉えると印象が変わる。何気なく過ぎていく毎日、大切な人とともにいられる時間。それらはあまりにも身近だからこそ、普段はその価値を意識することが少ない。しかし、争いや分断によって日常が失われる可能性まで視線を広げれば、“ありふれている”こと自体が決して当たり前ではないことに気づかされる。そんな大きな問いを身近な誰かを思う気持ちまで引き寄せているところに、この曲の強さがある。
そして現在の広がりを考えるうえでは、沖縄を舞台とする恋愛リアリティシリーズ『ラヴ上等』シーズン2(Netflix)の劇中歌として使用され、最終話の花火のシーンを彩ったことも見逃せない。沖縄の景色と出演者たちの物語、そこにこの曲が重なったことで、楽曲単体で聴くのとはまた異なる感情が生まれる。さらに番組をきっかけに曲を知り、楽曲の再生へたどり着くという、新たなリスナーへの導線にもなっているのだろう。
「777」でYAOが提示したのが異なるジャンルの表現者たちがぶつかり合うことで生まれるエネルギーだとすれば、「ありふれた世界の果てに」で鳴らしているのは、異なるルーツや思いに耳を傾け、それを一つの音楽へと結びつける力だ。そして興味深いのは、この2曲を聴いたことで、YAOがこの先どんな音楽を鳴らすのか想像できなくなったことだ。次の1曲がどこへ向かうのか予測できないこともまた、始動したばかりのYAOに惹きつけられる理由になっている。
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※1:https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWZZbpkxU5t9L


























