BE:FIRST SHUNTO、曲ごとに歌声の質感や空気感を自在に変える表現力 「Want it」で際立つボーカルの真価

 7月1日にリリースされたBE:FIRSTの10thシングル『Missing』に、SHUNTOのソロ曲「Want it 〜One of the BE:ST-06 SHUNTO〜」(以下、「Want it」)が収録されている。コンセプトシングル『Masterplan』以降、BE:FIRSTはソロ楽曲を通してメンバーそれぞれの個性を提示してきたが、「Want it」はSHUNTOというボーカリストの魅力を改めて浮き彫りにした一曲だ。SHUNTOといえば、唯一無二のエッジボイスやラップスキルが注目されることが多い。しかし、同曲から見えたのは、楽曲ごとに感情の温度や空気感を変えられる表現力ではないだろうか。

「Want it」「夢中」「Missing」から紐解くSHUNTOの“歌い方の設計”

 「Want it」は、一目惚れから始まる大人の恋を描いたR&Bテイストのナンバー。リリックもSHUNTO自身が手掛けており、歌声からも主人公の心情が自然と伝わってくる。冒頭は肩の力を抜いた柔らかな発声で始まり、息をたっぷりと含ませた歌い方が印象的だ。もちろん細かな歌唱テクニックは随所に散りばめられているものの、決して難しく聴かせない。Bメロからは息遣いや発声のタイミングによって一気にグルーヴを生み出し、全体を通してややレイドバック気味に歌うことで、余裕や余白を感じさせる。その余白が、感情を過度に押し付けない大人の色気につながっているのだろう。中でも注目したいのは、SHUNTOが歌唱力を誇示するために歌っているのではなく、楽曲が求める空気を最優先に考えて発声していることだ。自分らしさを押し出すのではなく、作品の世界観を成立させるために歌声の質感やリズムの置き方までコントロールする“歌い方の設計”は、ソロ曲だからこそより鮮明に伝わってくる。

Want it ~One of the BE:ST-06 SHUNTO~

 “歌い方の設計”という点に注目して、ほかの曲を見てみよう。「THE FIRST TAKE」で披露した「夢中」は原曲とは異なり、ピアノだけをバックに歌うシンプルなアレンジ。だからこそ、SHUNTOの歌唱力も際立っていた。声はあえて細く使い、囁くような息遣いを交えながら、高音も張り上げることなく優しく前へ届ける。恋をする主人公の揺れ動く感情を丁寧に描くような歌唱は、「Want it」で見せた余裕や色気とはまったく異なる表情だ。同じボーカリストとは思えないほどの変化からは、SHUNTOが感覚だけではなく、楽曲ごとに歌声を選び取っていることがわかる。

BE:FIRST - 夢中 / THE FIRST TAKE

 また、10thシングル表題曲「Missing」ではさらに違った声色を見せている。同曲はUKダンスポップらしい滑らかなグルーヴが特徴であり、メロディを心地よく流していくことが重要な楽曲だ。そんな中、SHUNTOは必要以上に個性を主張することなく、メンバーとの声のリレーを意識しながらフレーズを自然につないでいる。リズムもトラックに寄り添うようにタイトにコントロールし、自身が前へ出るというよりも、楽曲全体の一体感を支える役割を果たしているように聴こえる。ソロ曲では自分だけの色を描き、グループ曲ではあえて個性を引き算する。その柔軟さもまた、SHUNTOならではの魅力と言えるだろう。

BE:FIRST / Missing -Music Video- (Move ver.)

 もちろん、エッジボイスやラップはSHUNTOを語る上で欠かせない武器だ。しかし、楽曲ごとに歌声の質感や感情表現を自在に変えられることも彼の大きな魅力。ソロ曲では自分だけの世界観を描き、グループ曲では作品全体を引き立てるために自らの存在感を調整し、「THE FIRST TAKE」のようなライブ感が重視される場では感情を伝える。この振れ幅こそが、SHUNTOというボーカリストの最大の強みなのだ。SHUNTOは、どんなジャンルでも楽曲の世界観を成立させられる。ソロ曲「Want it」は、そんな表現力の幅広さを改めて証明した一曲と言えるだろう。

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