小森隼「自分の歩んできた道のりを詰め込んだ」至高のワンマンショー EXILE TETSUYAらも登場した豪華ライブで魅了

小森隼、多彩な経験が結実したステージ

 小森隼がワンマンショー『HAYATO KOMORI Presents QUEST LIVE TOUR 2026 "ON and OFF”』を開催。自身のこれまでの活動で培ってきたあらゆるエンタテインメントへの造詣や体験を武器に、自身プロデュースの全く新しいステージを東京、福岡、大阪、愛知の4カ所で展開した。本稿ではツアー最終日となった6月26日の愛知県・アマノ芸術創造センター名古屋で行われた公演の模様をレポートする。

 開演前の会場ではサカナクションの「ティーンエイジ」やKlang Rulerの「Teenage Blue」といった小森の愛する邦楽ロック、それも10代をテーマとした楽曲が多く流されており、小森のキャリアの中でもとりわけ印象深い『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)の文脈を感じさせる。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「マーチングバンド」のアウトロと共に会場は暗転。暗闇の中でラジオ番組における本番スタートのカウント出し風のナレーションが流れると、ステージの中央にはラジオ番組のスタジオを模したセットが現れ、このライブが小森のライフワークでもあるラジオを軸として進んでいくことが明らかとなる。この小森がパーソナリティを務める架空のラジオ番組「ON and OFF」は、このラジオ番組のリスナーであるDREAMERS(GENERATIONSのファンの呼称)から寄せられたリクエストに応えていくチャレンジングな内容。早口言葉や全力疾走などバラエティ豊かなDREAMERSからのリクエストに応えつつ、軽快な語り口で進行していくステージはまるでラジオの公開収録のようなムードだ。

 そんなチャレンジに続いてリスナーから届いたリクエストは「シカゴ・フットワークをヤマト兄さんと一緒に踊ってほしい!」というもの。アメリカ・シカゴで誕生したストリートダンスであるシカゴ・フットワークは小森の原点であり最も得意とするダンスジャンル。シカゴ・フットワークのプロフェッショナル集団であるCreation Globalにも所属していた。YamatoもまたCreation Globalの一員なのだ。そんな同志であるYamatoを招いて届けたのは「absolute」、そしてサカナクションの「新宝島」。シカゴ・フットワークの特徴である超高速ステップ、そして小森とYamatoの息の合ったパフォーマンスに会場は大盛り上がり。曲が終わると小森とYamatoはお互いのダンスを称え合うようにハグをしてダンスアクトを締めくくった。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真
Yamato、小森隼

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

 ステージは再びラジオ番組「ON and OFF」パートに。GENERATIONSのメンバーの似顔絵に挑戦してほしい! というリクエストに応えた小森は数原龍友の似顔絵を披露。こうしたバラエティ感溢れるコーナーもエンタテインメントを標榜するLDHの文脈を感じさせる。そんな似顔絵チャレンジに続いて披露されたのは小森脚本の芝居「忘れ物」。小森演じる夢を諦めたタクシー運転手と劇団EXILEの八木将康が演じる夢を忘れ仕事に追われる乗客という2人の登場人物が織りなす夢をテーマにした切実な芝居は、普段から音楽活動やラジオを通して人々の背中を押し続けている小森の自己批評を内包しつつも、それでもなお誰かの背中を押し続けたいという願いも込められた内容に。八木の渋みのある演技も相まって真に迫るようなものになった。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真
小森隼、八木将康

 続いての「ON and OFF」パートではリスナーからのリクエストで小森が九九の暗唱に挑戦。ステージ上という環境もあってなのか、上手く暗唱出来ない小森に対しオーディエンスからは新鮮なリアクションが届けられ、このやり取りひとつとってもライブの醍醐味が存分に感じられる。続いてのリクエストは小森の好きなLDHダンスパフォーマンスメドレーが見たいというもの。ダンスが出来るというラジオスタッフを呼び込むと、その正体はBALLISTIK BOYZの日髙竜太と砂田将宏。3人の息の合ったパフォーマンスでEXILEの名曲「Someday」やBALLISTIK BOYZの「Animal」からGENERATIONSの「ANIMAL」になだれ込む“ANIMALメドレー”を披露。曲の度に沸き立つオーディエンスの姿は、小森個人はもちろんグループの垣根すらも超え、もはやひとつのジャンルとなったLDHへのファンからの愛情を感じさせる。そんなBALLISTIK BOYZの冠番組であり小森がMCを務めた『バリバリ! バンドやろうぜ!!』(日本テレビ系)を踏まえ、小森がベースを、砂田がギターを携えて披露したのはBALLISTIK BOYZの「Stardust Forever」。ポップパンクの要素を取り入れた原曲の良さを活かしたバンドパフォーマンスで会場を魅了すると、引き続きベースを携える小森。次の曲は3曲の候補曲の中から観客の拍手の大きさによって決定されるという、こちらもオーディエンスと小森のやり取りが愛らしい時間に。オーディエンスの支持で決定された演奏曲は「ヒラヒラ」。ダンスや演技だけでなく楽器まで演奏してしまう小森の武器の幅広さに改めて舌を巻くような気持ちにさせられる。原曲からベースのローが効いたサウンドが印象的な「ヒラヒラ」に生のベースが合わさることで一層骨太なパフォーマンスとなった。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真
日髙竜太、小森隼
小森隼 ワンマンショー ライブ写真
砂田将宏

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

 いよいよライブも終盤。ここからは各会場毎に異なるシークレットゲストが登場していた。東京公演ではGENERATIONSから片寄涼太が登場するなど、各会場を大いに沸かせてきたこのコーナー。千秋楽の名古屋にはバンド・Gacharic Spinのマイクパフォーマーでありながらソロ名義のaillyとしても活動するだけでなく、ラジオパーソナリティとしてもマルチに活躍するアンジェリーナ1/3が登場。アンジェリーナ1/3と小森は『SCHOOL OF LOCK!』のこもり校長、アンジー教頭(現校長)として1年半に渡り共に毎晩生放送を勤め上げてきた盟友と言えるような存在。お互いを知り尽くしたかのような息の合ったトークに、2人が過ごしてきた1年半という時間の重みを感じる。そんなアンジェリーナ1/3がギターの弾き語りで演奏したのは高橋優が提供した「ダイナミクス」。柔らかさと確かな力強さを両立する「ダイナミクス」でオーディエンスを魅了すると、続いて小森が再びベースを携えて演奏するのは「Radiory」。アンジェリーナ1/3にとって、そして小森にとっても欠かせない存在であるラジオをテーマとしたこの曲でのコラボレーションは、同じくラジオをテーマにした本ツアーとも共鳴するようなパフォーマンスに。向かい合い、目線を合わせながら歌い演じる2人の姿はまるでラジオブースで語り合うようにも見える。そして最後には『SCHOOL OF LOCK!』こもり校長退任前、SUPER BEAVER 柳沢亮太が楽曲提供をした2人にとって大切な1曲であるGENERATIONSの「本心」をコラボパフォーマンス。2人の絆を感じさせる歌と演奏で観客の心を打った。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真
アンジェリーナ1/3、小森隼

 アンジェリーナ1/3をステージから送り出した小森は「自分は恵まれている」と語る。ここまで登場したゲストや「本心」を作り出したSUPER BEAVER・柳沢との縁に感謝を告げると、今回のツアー開催に際して「隼のツアーってなにをやるの?」と周囲から声をかけられたことを明かす。自身が何を伝え、届けるべきなのか確固たるものが無く悩みながらツアーを制作したこと、そして出来上がったものを振り返れば自分の歩んできた道のりを詰め込んだツアーとなったと話す。そんな中でツアーのために楽曲を制作したと観客にサプライズ。そんな新曲「95-26」は小森の人生譚のような楽曲に。タイトルの「95-26」は小森が生まれた1995年から2026年の現在までを示しており、がむしゃらに歩んできた自身の半生を象徴するような歌詞をホールいっぱいに響かせた。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

 最後に観客に向けて「また会いましょう」「絶対に生きてこそです」と語りかけると「DREAMERS」を力強く演奏。最後の「ON and OFF」パートでも「また会える日まで生き抜いて」とオーディエンスとの再会を誓って本編の幕を下ろした。

 この日はアンコールではなく出演したゲストを迎えてのアフタートークを実施。Yamato、八木、日髙、砂田、そしてアンジェリーナ1/3とのフリートークが計40分近くに渡って展開された。ツアーの閉幕を惜しむように振り返ったり、ツアー中に起こったエピソードで観客を大いに沸かせたりと、自然でゆったりとしたトークはこの夜の締めくくりに相応しいムードであったことが印象的だ。とりわけBALLISTIK BOYZの日高、砂田との朝ランを巡るやり取りではこの日一番の笑いが起こっていた。またアンジェリーナ1/3が先日受賞したギャラクシー賞ラジオ部門のDJパーソナリティ賞のトロフィーを披露する一幕もあり、全体を通して穏やかで贅沢な一時となった。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

 すべてのゲストのアフタートークが終わり、ライブを締めくくろうとする小森の声を遮るように登場したのはEXILE TETSUYA。小森のツアー完走を称えるサプライズとしてケーキと共に登場したTETSUYAは小森を「常にONであり続けている」とライブタイトルに絡めて称し、そのストイックさを尊重しつつも「ONもOFFもひっくるめて愛してほしい」と観客に向けてメッセージを届けた。TETSUYAを見送った小森は観客に「気をつけて帰ってね」と最後まで心配りを忘れずに声をかけながらステージを後にした。

 ラジオという大きなテーマで一本太い線を引きながらも、ダンスに演奏、芝居にエンタメとバラエティに富んだステージを魅せた小森。これはひとえに小森の多岐に渡る経験や興味があってこそ成し得たステージだったと言えるだろう。自分らしさを全開にすることでエンタテインメント性に満ちた2時間半となった小森の初ソロツアーは大成功の内に幕を下ろした。オーディエンスが誓い合った通り、きっとまたすぐに小森は次の一手を我々に届けてくれるだろう。より小森らしく進化したエンタメショーを楽しみに待ちたい。

小森隼 ワンマンショー ライブ写真

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