NiziU、挑戦の先で見せた進化 デビューから現在までを笑顔と涙で辿ったアリーナ&ドームツアー
2025年12月にデビュー5周年を迎えたNiziU。2月からはアリーナツアー『NiziU Live with U 2026 “NEW EvoNUtion”』をスタートさせ、デビュー当初のキュートなイメージだけではない、現在、そしてこれからののNiziUを強く打ち出したパフォーマンスで魅了した。そのツアー中にグループとして約3年半ぶりのドームツアー『NiziU Live with U 2026 “NiziU : THE CINEMA”』の開催を発表。これまでのグループの軌跡を振り返り、メンバーやファン、そして家族やスタッフの愛に溢れる“これまで”を大切にするあたたかいものになっていた。本稿ではNiziUの過去と現在、そして未来を描いた2公演を振り返りたい。
“大人なNiziU”を強く打ち出したアリーナツアー『NEW EvoNUtion』
進化した新たなNiziU。2025年から2026年にかけて、ホール、アリーナ、ドームとほぼ途切れることなくツアーを行ってきたNiziUが辿り着いたのは、想像もしていなかった新たな自分と次の未来を切り開いていくグループの姿だった。デビュー5周年という大きな節目にアーティストロゴを一新し、黒を基調としたメンバーのビジュアルもこれまでのイメージとは一線を画す大人なNiziUへ。そのことを強く打ち出したきっかけが、アリーナツアー『NiziU Live with U 2026 “NEW EvoNUtion”』だった。本記事では、今年2月から3月にかけて5都市12公演が行われたツアーの東京・国立代々木競技場 第一体育館の4日間のうちの最終公演を振り返り、今のNiziU、これからのNiziUを見つめていきたい。
本ツアーでNiziUが示したのは、進化であり挑戦。最大の山場はライブ冒頭からやってくる。それが6曲連続、ブリッジとなるVTRを含めれば8曲連続という怒涛の勢いでパフォーマンスしていくタフなブロックだ。誰の色にも染まらない、自分は自分らしくというメッセージが込められた「I AM」でライブはエネルギッシュに幕を開ける。大きな歓声が上がったのが、大サビでメンバー9人が横一列になって花道へと風を切って歩く、“NiziUウォーク”とも言うべき凛々しい姿だ。続く「All right」ではアウトロにてバックダンサーとの激しいダンスブレイクを展開。真っ赤なスクリーンに、見えるのはメンバーのシルエットのみ。ビジュアルではなく、パフォーマンスに重きを置いたステージだ。
驚くのはメンバーがサングラスをかけ始まる「CLAP CLAP」。ツアーのために大胆にアレンジされ進化を遂げた楽曲に、メンバーが“首”を回してリズムに乗り、サングラスをずらしてイタズラにWithU(ファンの呼称)を挑発。後の『KCON JAPAN 2026』でもパフォーマンスされた、今のNiziUを象徴する1曲とも言えるだろう。デビュー前から披露してきた楽曲でもある「Baby I’m a star」ではラストに着ていた制服のジャケットを脱ぎ捨てることで、大人になったNiziUを体現している。
物語性の強かった『NiziU Live with U 2025 "NEW EMOTION : Face To Face"』の幕間映像に対して、今回の映像は至ってシンプル。強くて、かっこよくて、大人っぽいNiziUを見せていくことだ。ハウスミュージックの重低音に包まれる会場。スクリーンにはエレベーターに乗り、ランウェイを颯爽と闊歩するメンバー。MAYAが「N」の文字を指で弾き、花道のステージとして広がる「N」のアーティストロゴが浮かび上がっていく。映像とリンクしているのが2nd EP『GOOD GIRL BUT NOT FOR YOU』であり、そのリード曲の「Too Bad」だ。楽曲には「私たちは私たちの道を切り開いていく」という彼女たちの思いが込められている。強くてかっこいい曲であれば、先述した「I AM」「All right」などもそこに当てはまり、ポイントとなるのは“大人”という要素だろう。「Too Bad」は楽曲自体がこの『NEW EvoNUtion』にて初披露となったわけだが、筆者が初めて聴いて、観て感じたのが、デビューから5年が経った今のNiziUだからこそ表現できる楽曲だということ。これまでにない歌い方のウィスパーボイスに、背中を90度に大きく曲げたダンスもそうだが、そこには洗練された大人の雰囲気、余裕すらも感じさせる。日本のみならず、海外のWithUからの賞賛の声が多く寄せられている「Too Bad」のMVが、グループが新たな世界へと踏み出したことを実感させる証にもなっている。
「Too Bad」と同じくEPに収録の「Dear…」も『NEW EvoNUtion』にて歌唱となった。メンバーが敬愛する西野カナが2009年にリリースしたシングル曲のカバーで、後の
西野カナ feat. NiziUとしてのコラボ曲「LOVE BEAT」へと繋がっていくこととなる。サビパートを担うMIIHI、RIKU、NINAをはじめとした美しく伸びやかなボーカル、さらに大サビにて9色の“虹色”とともにメンバー一人ひとりが映し出され歌われる〈どんなことでも乗り越えられるよ/変わらない愛で繋いでいくよ/ずっと君だけの私でいるから/君に届けたい言葉/Always love you〉という歌詞は、メンバー同士の思い、そしてWithUへの思いとも取ることができ、今のNiziUだからこそカバーすることの意味を感じさせる必然的でもあり、運命的でもある選曲だ。
今回のツアーで特筆すべき点は、「Make you happy」「Step and a step」といったNiziUの初期の代表曲を披露していないことだ。ベストアルバム『Portfolio』のリリースやドームツアー『NiziU Live with U 2026 “NiziU : THE CINEMA”』の開催を控えてとも考えられるが、『GOOD GIRL BUT NOT FOR YOU』の世界観、今の進化したNiziUをより強く打ち出すためではないだろうか。
ライブでは「♡Emotion」「Happy day」「LOVE LINE -Japanese ver.-」といったポップでかわいらしいイメージの楽曲も数多く披露されており、中でもRIKU、AYAKA、MIIHIによるユニット曲「Fairy Magic」はWithUがメロメロになる魔法にかかる甘々な楽曲だ。一方、MAKO、MAYUKA、RIMAによる「VILLAIN」は大人でダークな楽曲で3人の魅力が発揮されており、表情とキレのあるラップに心を鷲掴みにされた。またRIO、MAYA、NINAによる「Too Much」は強くて自信たっぷりなカッコよさが爆発したエッジの効いた楽曲で、サビのインパクトと圧倒的な存在感にずっと胸が高鳴りっぱなしだった。そして、アンコールの最後に歌唱されたのは、EP収録の「Light it Up」。WithUへの思いを込めてメンバー自らが歌詞を書き下ろしたファンソングだ。また、「Paradise」では事前に募集したスペシャル企画として、メンバーの代わりにWithUが映像で歌唱に参加するパートもあり、WithUとの絆と愛を確かめるような部分も多くある。アンコールミッションのダンスチャレンジとNiziUを呼ぶ声援はスマホの画面では伝わらない熱量を強く感じた瞬間だった。WithUがNiziUから生きる希望をもらっているように、NiziUもまたWithUからエネルギーを受け取っている。この日、MAKOが最後のMCで流した涙はWithUの温かさに、感謝と愛、そしてこれからへの決意を示すものだったように思う。
『NEW EvoNUtion』という進化の先にある、新たなNiziUとしての姿。その一つの到達点となるのが3年半ぶりとなるドームツアー『NiziU Live with U 2026 “NiziU:THE CINEMA”』である。まだまだNiziUは進化の過程、ここから。NiziUはNiziUを超えていく。(渡辺彰浩)