「BE:FIRSTは“音楽人間”の集まり」 バンマス Ryo'LEFTY'Miyataが語る、『MTV Unplugged』の舞台裏とメンバーの進化

BE:FIRSTが今年3月、神奈川・ぴあアリーナMMにて開催した『MTV Unplugged: BE:FIRST』。その本編と、本番までの密着ドキュメントであるメイキング番組が、6月21日にMTVにてリピート放送される。
『MTV Unplugged』は1989年にニューヨークで初めて開催されて以来、エリック・クラプトン、Nirvana、Oasis、BTSなど、100組を超えるアーティストが出演してきた歴史ある音楽番組。今回BE:FIRSTは、フルバンド、ストリングス、ホーンを含む豊かなアンサンブルを従え、ダンスパフォーマンスとは異なる角度からグループの新たな表情を見せた。
その全曲のアレンジを手がけ、バンドマスターとしてステージにも立ったのが、Ryo'LEFTY'Miyata。エレクトリックなプロダクションやダンスパフォーマンスと強く結びついたBE:FIRSTの楽曲を、生演奏のグルーヴとアンサンブルによってどのように再構築したのか。『MTV Unplugged』の制作過程、各曲のアレンジに込めた意図、さらに初のスタジアム公演『BE:FIRST Stadium Live 2026 We are the BE:ST』へとつながっていったBE:FIRSTの現在地について話を聞いた。(黒田隆憲)
BE:FIRSTへの理解度が高いバンドだからこそ生まれた自由なアイデア
――『MTV Unplugged』というと、一般的にはアコースティックなイメージがありますが、今回はむしろオーガニックな生楽器によるアンサンブルという印象でした。
Ryo’LEFTY’Miyata(以下、LEFTY):事前に『MTV Unplugged』のガイドラインを伺ったんですが、番組収録も兼ねているということで、演出に関わる細かなレギュレーションがあったんですよね。そういう制約がある上で、できることを考えていきました。
――参考にした『MTV Unplugged』ライブはありました?
LEFTY:いろいろな『MTV Unplugged』を観たんですけど、Bastilleの『MTV Unplugged』がお気に入りですね。例えば彼らの代表曲「Pompeii」は、原曲ではみんなでシンガロングするようなフレーズがあるんですけど、それが全然違うフルートの旋律になっていたんです。「なんて自由でかっこいいんだろう!」と興奮したのを覚えています。一番大事なフレーズも、音楽的に解釈して昇華できれば何をしてもいいんじゃないか。そこから勇気をもらいました。

――ぴあアリーナMMという大きな会場だったことも、今回ならではの特徴だったと思います。
LEFTY:『MTV Unplugged』としては規模が大きいですよね。ぴあアリーナMMは鳴り方も含めて好きな会場なので、「ここで鳴らすならこういうスケール感かな?」というイメージはある程度持ちながらアレンジを詰めていきました。
楽器編成に関しては、プロデューサーの日高(光啓/SKY-HI)くんからリクエストがあったので、それをもとにまずメンバーをアサインしました。とはいえバンドで合わせる前に、すべてを細かくプリプロしていたわけではなくて。日高くんはプロデューサーとして、自分の中で鳴っている音があるタイプの人なので、「この曲はギターをちょっと立たせたい」といったリクエストをヒアリングしつつ、僕の方でも「こういうことをやったら面白いかな」というアイデアを持っていく感じでした。それにドラムのSoyくんとベースの越智俊介くんは、いつもBE:FIRSTのバンドで一緒に演奏しているメンバーなので、曲への理解度も高いんです。彼らの中にも「こういうことをやったら面白いんじゃないか」というアイデアがあって、バンドのジャムに近い形で作っていけた部分もありました。そこはすごく助かりましたね。
――オープニングの「I Want You Back」は非常にゴージャスで、一気に『MTV Unplugged』の世界に引き込むアレンジでした。
LEFTY:最初に「I Want You Back」に入る前の前奏を少し足したんですけど、そこであまり「I Want You Back」を予期させないアンサンブルにしたいと思っていました。曲中も結構遊んでいて、例えばスティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke」をサンプリング的に入れてみたり、AORに対するリスペクトや時代感を混ぜ込んだりしています。
――「Betrayal Game」も、生演奏ならではのスリリングさや緊張感が際立っていました。
LEFTY:ベースラインが印象的な曲なんですけど、そこをウッドベースでやってみたりしました。あと、曲と曲のつなぎにもかなりこだわっています。その前の「Milli-Billi」から「Betrayal Game」へシームレスにつなげたいというアイデアがあって、そこは日高くんのアイデアもかなり入っています。フォーリズム(ピアノ、ギター、ベース、ドラム)でセッションしている現場に日高くんが来て、一緒に作っていきました。

スタジアムライブにも活かされた『MTV Unplugged』の経験
――特に大きく変えた手応えのある曲はありますか?
LEFTY:「Grateful Pain」ですね。ピアノバラードなんですけど、2番からはほとんど別の曲というくらいに変わっていて。原曲は基本的に4コードのループで展開していくんですけど、2番のサビに行くまで、まったく違うコード進行になっているんですよ。SHUNTOもMCで言っていたように、この曲は彼らのストーリーの中でも重要な曲。なので言葉と、それを歌っているメンバーに対して、適切なコード感で伴奏することを考えました。一度アカペラの状態の歌と向き合って、そこから再構築しているんですよね。
あとは「Guilty」もそうですね。基本的にはマイナーのワンコード的な曲なんですけど、サビのエモーショナルさをもう少し出すために、サビはコード進行を展開させています。しかも、この曲は弦のプロダクションが素晴らしくて。僕がある程度デモを作ったものに対して、ストリングスのセクションリーダーの門脇大輔さんに「“2CELLOS”ならぬ“4CELLOS”みたいな感じでお願いします」とお伝えしたんです(笑)。そうしたら、こちらが頼んでもいないのに弦のスコアを全部書き換えてくれて。それがめちゃくちゃよくて、「このままいきましょう」となりました。
――「Blissful」もストリングスの響きがとても印象的でした。
LEFTY:原曲ではリードのフレーズをシンセが弾いてるんですけど、僕の中では最初から結構イメージがあって。例えばBlack Eyed Peasの「Where Is The Love?」とか、Sugar Soulの「Garden」みたいに、弦で押していくアンサンブルにしたら絶対にいいなと。それを基軸に作っていきました。そうしたら、最初からこうなることを計算されていたんじゃないかと思うぐらいハマりましたね。その後にスタジアムライブがあったんですけど、日高くんも「素晴らしかったから、あれでやりたい」と言ってくれて、スタジアムでもストリングスのダブルカルテットを呼んで同じような形で演奏しました。逆に、次からその形じゃないとダメなんじゃないかと思うぐらいハマった曲のひとつです。

――ストリングスやホーンのメンバーも、もともと関係性のある方々だったんですか?
LEFTY:門脇さんはSuperflyやOfficial髭男dismの現場でもご一緒している方で、僕にとっては第一候補のセクションリーダーですね。レコーディングの時も、僕が作ったデータを送って、それを添削して譜面に起こしてくれるような関係性です。今回も同じように対応してもらいつつ、曲によってはさらにアレンジを加えてくれました。ホーンセクションは、Official髭男dismでもずっと一緒に吹いてもらっているFIRE HORNSです。何曲かは僕ひとりで作りきるのが難しかったので、「ちょっと丸投げしていいですか」とホーンアレンジをお願いした曲もあります。それに対しても、めちゃくちゃ音楽的に打ち返してくれました。
――そうだったんですね。
LEFTY:本当に、このメンバーでできてよかったと思っています。タイトなスケジュールではありましたけど、みんなそれを理解してやってくれた。その中で最大限のことができたと思います。
――全体を通して、特に難しかった曲はありますか?
LEFTY:「SOS」はオリジナルとどう差異をつけるかが難しかったです。あとは「Salvia」ですね。最終的に少しレゲトン風にしているんですけど、イントロでもう少しフックを作りたいなと思って、フルートやフリューゲルホルンのソロを入れたりしました。フォーリズムだけだと原曲に忠実な再現系になってしまいそうな曲も、ストリングスやホーンのバリエーションがあったことで乗り越えられた部分は多かったです。

――今回の『MTV Unplugged』で生まれたアレンジは、その後のスタジアム公演にもつながっていますか?
LEFTY:めちゃくちゃつながっています。例えば「Grow Up」は“ディスコストリングス×コーリー・ウォン”みたいな音作りでやろうという話になって。シティポップの要素も入れたら、さらによくなるだろうなと思いついたんですけど、ハマった時はすごく気持ちよかったですね。結局同じアレンジで、スタジアムでやっています。
演出チームとも話していたんですけど、このタイミングで『MTV Unplugged』ができたことは我々にとって本当に財産だったねと。スタジアムの打ち上げでも、みんなで「本当に感謝だね」と話していました。



















