Aooo「やりたいのは現象を起こすこと」 バンドの新境地を切り拓く一枚、試行錯誤と遊び心を尽くした『Rooom』を語る
多彩な実験から生まれた楽曲群と、本質を貫く姿勢を込めた曲順
――アルバムの流れ的にも、まずオープニングの「REZO」でガツンとやられて、そのあとの「ポラリス」で一気に開けていくという、最高の幕開けだと思いました。
一同:よかった~!
石野:曲順だけで2、3時間話し合ったんですよ。
やまもと:4人だけでね。2ndアルバムの中でも一番尖った部分(「REZO」)と一番開けた部分(「ポラリス」)、どっちでアルバムを始めるのがいいのかが一番の課題だったんですけど、そう言っていただけて安心しました。
――確かにこれだけいろんなタイプの曲があると、並べ方次第でアルバムの印象がだいぶ変わりますよね。個人的には前作の流れを踏襲した「REZO」始まりで、2曲目から新たな側面を見せていくという構成は、このアルバムでやりたかったことにぴったりだと思いました。
すりぃ:その1stアルバムとの差の付け方で、一番悩んだんです。2ndアルバムだから、「ポラリス」みたいに開けた一面をまず1曲目で見せたいという意図もあって、2、3時間格闘した結果、こういう形になりました。
石野:ノイジーな「REZO」が1曲目に来ることで、最初の時点で好みが分かれちゃうんじゃないかということも含めてかなり討論したんですけど、自分たちがもともと好きなものを歪めず、本質のままいくぞという強い気持ちを持って、「REZO」が1曲目になりました。「ポラリス」スタートの案だと、「REZO」は中盤に置く予定だったんですが、個人的にはそれがどうも引っかかってしまって。強い気持ちで「REZO」1曲目案に引き込みました(笑)。
ツミキ:でも、そういうジャストアイデアというか、「これ!」っていう瞬間的なひらめきも大事だから、結果良かったなと。
――この2曲が並ぶことで、お互いの良さを引き立て合っている印象もありますし。個人的には「ポラリス」の輝きっぷりは驚きでした。
ツミキ:今回は全部シングルにしていいレベルの曲だとは思うんですけど、その中でこのアルバムを象徴する曲を作りたいと思ったのが「ポラリス」で。一番最後に作ったのもあって、アルバム全体像がなんとなく理解できた中で制作することができたんですよ。そういう意味では、ほかの12曲を超えないといけないみたいな使命感もあったものの、とにかくド派手でキラキラした曲が欲しいなというところから作り始めました。
――「ポラリス」から「Yankeee」への流れからも、このアルバムで何を聴かせたいか、何を示したいかが強く伝わります。以降もドキドキ、ワクワクする楽曲がズラッと並びますが、中でも6曲目の「ユメユキ」は予想外の1曲で一番驚きました。
やまもと:嬉しい。Aoooの曲って、今まではギターらしい音、ベースらしい音、そこに生ドラムの音が重なるストレートなサウンドが中心だったんですけど、その制約は守りつつ、どこまで音色で遊べるだろうかっていうのを試すような曲を作ってみたかったんです。イケイケな曲ではギターソロがすごい音をしているんですけど、石野の声ってこういうミドルテンポにもすごく合うなと思っていたので、そういう曲調で、かつ音色ですごく遊んでみたいなと思ったのが「ユメユキ」。なので、ベースもシンセベースのような音をしているんですけど、実はエレキで弾いていて。ドラムもね。
ツミキ:そう、パッドを叩いていて。
やまもと:実は生楽器で構成されていて、打ち込みの音はほとんど入っていないんですよ。同期演奏の数でいうと、アルバムの中では一番少ないぐらいで、石野の歌の力に任せたって感じです。
石野:この曲、実は歌詞を何回も書き直していて、レコーディング本番ギリギリに完成したんですよ。ひかるちゃんが音を作り始めるタイミングで、私も歌詞を書き始めたんですけど、最初はちょっと童心的なピュアネスみたいなものがテーマで。ただ、時間が経ってから歌詞を見直してみると、自分的に納得いかなくなってきて。推敲に推敲を重ね、何回か書き直してできたのが白昼夢の中にいるみたいなニュアンスの現行バージョンなんです。
ツミキ:タイトルも変わったもんな。
やまもと:仮タイトルが5、6回変わって、途中から何について歌っているのかわからなくなってきて(笑)。
石野:タイトルだけ残して歌詞を書き変えることもあったので、余計にみんなを混乱させてしまいました(笑)。
――歌に関しても、ほかの激しめの曲とはまた違った表現が求められるかと思いますが、レコーディングはいかがでしたか?
石野:わりとフラットな状態で臨んで。キャラ的な声質をせずとも、普段の話し声に近いテンションで歌った記憶があります。
やまもと:ほかが勢いで録っちゃう曲が多いぶん、「ユメユキ」は一番細かく録ったと思います。
石野:リズムが結構細かいので、ボーカルもそこに合わせるように歌って。
やまもと:跳ね感とかも一節一節調節して、「ここ、もうちょっと“ルン♪”としたほうがいいかも」とかやりとりしながら、細かく進めていきましたね。
――この曲がアルバム中盤にあることで、ちょっとホッとする感じもありますよね。で、そのあとの「Geeek」で再び熱量が上がっていく。そのあとの「CALL」もアレンジがすごく印象的で、曲冒頭に電話の呼び出し音に似たフレーズがギターで表現されていますが、あれはいいフックだなと思いました。
ツミキ:これは僕とひかるで作ったんですけど、僕の制作スタジオに集まって打ち合わせしながら、ひかるが実際にベースを持って、僕は打ち込みで曲作りを進めたんですけど、最初はなかなかうまくいかなくて。その中で、Zeppツアー(『Aooo Live Tour “RINGRING”』)のタイトルに紐づけてみようということになり、それをヒントにYouTubeで電話についていろいろ検索してみたら、昔の黒電話の呼び出し音が出てきて「あっ、これいいやん! これをモチーフにイントロを作ろうぜ!」というのがスタート。
やまもと:あれだけ長いこと時間をかけても、イントロのタカタカタカタ! ってところしか決まらなかったんだけどね(笑)。
ツミキ:で、そこから何度かラリーしながら徐々に固まっていきました。
やまもと:『Aooo Live Tour “RINGRING”』の1曲目に披露することを想定していたので、歌詞にも〈RINGRING〉ってフレーズが入っていたり、お客さんとの掛け合いパートも入れたりと、ライブをイメージして作った曲でもあります。
――アルバム後半でちょっとした山を作るという意味でも、重要な役割を担った1曲だと思います。また、終盤のクライマックスでは石野さんとツミキさんで制作した「Portrait」が強い存在感を放っています。
石野:歌詞というか自分が書きたいことを、最初に私から投げて、そこから2人で分担してメロディを作ろうとしてたんですけど、なかなかうまいこと進まなくて。それで、1番のメロディをツミキが作って、そこから私が2Aのメロディを書いたりしながら進めていって、歌詞は2人で書きました。
ツミキ:石野とは好きな音楽が結構共通しているので、お互いにリファレンスを出し合ったりしながら進めました。さっき石野が言った「書きたいこと」、漠然としたテーマ性が結構ヒントになって。徐々にサウンドメイクをしていく中でメロディを書いて、それに石野が歌詞を書いて、「次、私がメロディ書くね」と言ったから、僕がそのメロディに歌詞を書くみたいな感じで分担しながら作りました。
――歌詞のテーマ性って、最初はどういったことをイメージしていましたか?
石野:ざっくりと言うと……愛に疲れた、とか(笑)。
一同:(笑)。
石野:相手の理想の私と本当の自分がかけ離れているような気がする、みたいな疑問じゃないけど、そういったことを書こうと思うとツミキに共有して、お互いそこについて考えながら書きました。
ツミキ:そこでひねくれて映らないように、イノセントな部分もちゃんと書かないとな、みたいなことを意識して。そこに関しては、石野の歌詞に引っ張られたところもあるんだけど、自分にはあまりこういう経験がないから、自分の思想以外のところをヒントにして書く作業は面白かったですね。
石野:経験ないですか?
ツミキ:うん、あんまり。
やまもと:ひねくれてるなあ(笑)。
ツミキ:だから、そういう部分が出ないように、できるだけ隠して書きました(笑)。