旅の中で見つけた、EXILEが存在する理由 LDHの“祭り”――スペシャルゲスト満載の東京ドーム公演1万字レポート

ここ数年、ライフワークのようにライブレポートを書き続けているアーティストがいる。近年のダンスボーカルグループブームの先駆けとも言えるグループ、EXILEだ。“放浪者”という名を背負った彼らは、幾度もメンバーの出会いと別れを経験し、時には新たな音楽性に挑戦しながら長い“旅”を続けてきた。そして彼らは昨年、『WHAT IS EXILE』、『THE REASON』というテーマを掲げた2本のツアーを実施。その中で掴んだ自分達の存在理由を噛みしめるように、4月21日・22日、東京ドームにて『EXILE LIVE 2026 “THE REASON”~PERFECT YEAR Special~』を開催した。
昨年開催した2本のツアーに引き続き、本公演にはEXILE ATSUSHI、EXILE AKIRA、EXILE TAKAHIRO、橘ケンチ、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、 EXILE SHOKICHI、EXILE NAOTO(EXILE/三代目J SOUL BROTHERS)、小林直己(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS)、世界(EXILE/FANTASTICS)、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)というメンバーが集結した。THE RAMPAGEの陣、神谷健太、山本彰吾、岩谷翔吾、浦川翔平、藤原樹、FANTASTICSの澤本夏輝、堀夏喜、木村慧人も、STARTING MEMBERとしてドームに臨む。さらに旧友のDOBERMAN INCや、『PERFECT YEAR Special』にふさわしいスペシャルゲストとして、2015年にEXILEのパフォーマーを卒業したレジェンドメンバー・EXILE MATSU、EXILE ÜSA、EXILE MAKIDAIも参戦。オープニングアクトには、世界を舞台に活躍するBALLISTIK BOYZ。NEO EXILEからも、LIL LEAGUE とKID PHENOMENONがサポートアーティストとして新たに仲間入りし、開演前から、LDHを挙げた“祭り”になることが確定していた。
それもそのはず、本公演のタイトルにある『PERFECT YEAR』は「あらゆる可能性に向けて挑戦する1年」として、LDHが6年に1度開催している祭典のことであり、現在はその4度目となる『LDH PERFECT YEAR 2026』の真っ最中。グループや先輩後輩の垣根を越えた一体感が強まっているのだ。
『LDH PERFECT YEAR 2026』に向けて動き始めた頃、筆者は前回の『LDH PERFECT YEAR 2020』、2021年に迎えたEXILEデビュー20周年の節目、未曽有のコロナ禍から不死鳥のごとくステージに舞い戻ったメンバー達の勇姿に想いを馳せた。
例えば、少人数の観客を招待して『CL 1st Anniversary Live 2021』を配信した際、「私とEXILE」というお題でファンから集まった思い出エピソードを受け取り、笑いながら涙を拭うSHOKICHI。2022年、アルバム『PHOENIX』のリリースインタビューで「今回は僕らも、もう本当にダメなんじゃないの?っていう雰囲気さえ感じるほど、追い込まれることになったんです。でもだからこそ、“もとの生活に戻せるように、0からリスタートして完全復活するんだ!”という気持ちが強まって」(※1)と意気込む橘の瞳。『EXILE LIVE TOUR 2022 "POWER OF WISH"』の東京ドーム公演で「皆様と最高な時間を取り戻すことができたのは、まずは皆様が会場のルールやマナーを一丸となって守ってくださりながら、共にEXILE ENTERTAINMENTを築き上げてくださり、そして何より、共にLDHエンタテインメント完全復活を“願い”続けてくださったからこそです」(※2)と丁寧に語りかけるAKIRAや、電撃勇退を経て、『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” ~Christmas Special~』でEXILEに完全復活したATSUSHIに向けた、相方・TAKAHIROの嬉しそうな「おかえりなさーい!」。そういった場面が鮮明に浮かんできた。
当時の自分は、その言葉や表情を誠実に伝えることで必死だった。時には卒業していくメンバーとの“別れ”を、半泣きで記事にしたこともある。でも、その1つひとつの出来事があったからこそ、今こうして『LDH PERFECT YEAR 2026』が開幕し、『EXILE LIVE 2026 “THE REASON”~PERFECT YEAR Special~』に辿り着いた。改めて振り返ってみると、この数年だけでもずいぶん遠くまで歩いてきたものだ。EXILEも、彼らと共に生きる我々も。
今回の公演でオープニングアクトを務めたBALLISTIK BOYZ(2019年デビュー)は、それまでボーカルとパフォーマーの分担が明確に分かれていたEXILE TRIBEにおいて、全員がマイクを持つ“7マイクグループ”として新風を吹かせたグループだ。デビュー当時はそれが新鮮だったが、全員が歌って踊るボーイズグループが群雄割拠し、世界を舞台に活動することが当たり前になっている今、BALLISTIK BOYZがLDHに与えた影響は大きいはず。彼らが1曲目に選んだのは、セクシーな香りを纏ったR&Bナンバー「Animal」。誘惑するようにそっと近づき、すかさずエネルギッシュな「CRASH」と「PASION」で一気に加速すると、東京ドームは彼らのホームと化していた。なおBALLISTIK BOYZは、EXILEに憧れてアーティストを志したメンバーや、幼少期からEXPG STUDIOに通っていたメンバーで構成されており、“Jr.EXILE”を体現しているという一面も。小学生の頃にEXILEの「Someday(こどもバージョン)」のMVでATSUSHI役を務めていた経験を持つ砂田将宏は、「憧れのEXILEさんの東京ドームでのスペシャルなライブに、どうにか自分達も参加させていただけないかと、オープニングアクトとしての出演を直談判させていただきました!」と声高らかに報告。温かな拍手に包まれる中、最後は吐息交じりのボーカルが交差する最新曲「All you need is me」を初披露し、EXILEにバトンを渡した。

EXILEのブロックは昨年の『THE REASON』ツアーと同じく、ツアーのテーマソングである「Reason -Planet Earth Ver. -」から始まった。ステージスクリーンには生命の起源から海、山、地球、宇宙……とスケールアップしていく映像が映し出され、その先に光る球体を手にしたキッズダンサーが登場。まるで進化の過程を表すかのように、センターステージにSTARTING MEMBERとEXILEが姿を現すと、凄まじい歓声が充満する。同曲は、ATSUSHIが作詞した「Reason」をNESMITHとSHOKICHIを交えた4ボーカルで再構成したものであり、2人の歌声やSTARTING MEMBERのダンスが重なることで、より深いメッセージを放った。繰り返される〈笑ってほしい〉は、メンバーの素直な願いだろう。その一方で、「これから始まるステージは、あなたにはどう見える?」「あなたにとって、EXILEはどんな存在?」と問いかけられているような気持ちにもなった。
だが、2曲目「Choo Choo TRAIN」のイントロが流れ出した途端に、思わず笑みがこぼれた。「Choo Choo TRAIN」の有名な冒頭のロールダンスは、その日の主役メンバーなどが務めることもあり、そのどれもが特別な意味を持っているが、“Mr.EXILE”ことAKIRAを先頭にしたこの日のロールダンスは、何度観ても「これが“今のEXILE”のベストだなぁ」と個人的にも思ってしまう。「このEXILEが観たかった!」と、心が躍り出す。と言っても、筆者もかつてはいつも最前列で踊るMATSUを観て「これがEXILEのベストだなぁ」と思っていたのだから、今後もメンバー編成が変わるたびに“ベスト”が更新されていくのだろう。
「Choo Choo TRAIN」で縦一列になったと思えば、ファンキーなダンスチューン「DANCE INTO FANTASY」では、EXILEとSTARTING MEMBERの総勢20名が横一列に並び、シンクロダンスを披露。ATSUSHIが活動を休止していた2021年に「真ん中で1人、踊らずに立っているというのも実は結構プレッシャーを感じるんですよ(笑)」(※3)と話していたTAKAHIROも、大好きな仲間に挟まれてノリノリで踊る。続く「Heads or Tails」の間奏では、足の怪我で『WHAT IS EXILE』ツアーに出演できなかったTETSUYAを筆頭に、パフォーマーによるダンスソロが繰り広げられ、“1つの形に留まらないEXILEの生き様”を身体で示した。

その変動し続けるスタイルは、次のブロックでより彩度を上げる。2021年にTAKAHIRO、SHOKICHI、NESMITHをボーカルとする新体制で臨んだ「RED PHOENIX」のイントロが流れ始めたのだ。自ら同曲を制作し、当時のEXILEを牽引したSHOKICHIは、メインステージに堂々と立ち、「EXILEは、形を変えて進化してきました」と語り始めた。自身がEXILEに夢をもらったように、EXILEや夢を未来(後輩)に受け継ぐために、現状を打破し続けてきたというSHOKICHI。その熱い想いを受け取ったSTARTING MEMBERは、高い身体能力を活かした変幻自在のダンスで、EXILEの一員としての決意を表明していく。彼らの迫力に圧倒されたのも束の間、「今夜、EXILEの歴史が再び動こうとしています。東京ドームのみんな、手を挙げてくれ!」と煽り、レジェンドパフォーマーのMATSU、ÜSA、MAKIDAIを呼び込むと、大きな歓声が3人を迎え入れた。
そんな豪華メンバーで届けるのは、長年EXILE TRIBEで受け継がれてきた「24WORLD」。MATSU、ÜSA、MAKIDAIが3人でパフォーマンスする姿や、先輩後輩が仲良く寄り添う姿に、度々嬉しい悲鳴が上がる。歌唱面に関してはTAKAHIRO、SHOKICHI、NESMITHに加えて、THE RAMPAGEの派生ユニット・MA55IVE THE RAMPAGEのメンバーである神谷もボーカルを担当。山本と浦川もマイクを握り、オリジナルのラップで新たなEXILE像をクリエイトした。
THE RAMPAGEのパフォーマーとしてデビューしたが、もともとはボーカル志望だったという神谷。EXILEの先輩パフォーマーと同じように、EXPG出身ではなく、ストリートダンサーからLDHに飛び込んだ山本。幼少期は天才キッズDJとしても活躍し、今なおマルチな才能を発揮している浦川――。異なるルーツを持ちながらも、EXILEという共通の憧れを追いかけているSTARTING MEMBERが、EXILE勇退後、俳優やDJといった道を切り拓いたレジェンドと肩を並べている様は、ひと際眩しく映った。ステージで力強く大旗を振るEXPG生の中には、かつてEXILEのツアーで旗振り役を担い、その頑張りがメンバーに認められた陣のように、意外な形でチャンスを掴む人もいるのだろうか。客席で楽しそうに身体を揺らしている人や、一心にステージを見つめている人の中にも、次世代のEXILE TRIBEがいるのかもしれない。そう思って場内を見渡せば、あらゆる場所に“夢”が広がっている。
続いて、TAKAHIROが「ここからは、もっともっと1つになっていきましょう!」と呼びかけた「BE THE ONE」は、EXILE20周年の節目にTAKAHIROとSHOKICHIが制作した楽曲。この曲の歌詞には、これまでにEXILEがリリースした作品タイトルやキーワードが散りばめられており、フロートに乗ったメンバー達は、思い出の欠片と笑顔をキラキラ振りまきながら観客の傍へ。今、10年前には想像もつかなかった夢のコラボが実現しているのだから、〈10年後何をしてるだろう〉の答えも、きっと今の私達の想像を超えたものなのだろう。

楽曲によってメンバー編成を変えながら、EXILEの歴史を紐解いてきた前半戦。本編中盤には、EXILE以外のグループによるステージも用意されていた。まずは、タキシード衣装が馴染んでいるEXILE THE SECOND(橘、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、AKIRA)が、遊び心溢れる演出で観客をエスコート。パーティーチューン「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」で、早くも夏を呼び込む。さらに「SUPER FLY」では、STARTING MEMBERも個性豊かなコスチューム姿で登場。ミュージカルのような世界観で、“ケイコちゃん”こと美女に姿を変えた木村をめぐる恋物語が展開されていく。……と思いきや、周りを見てみると、スタイルのよさゆえに、どうしても王子様にしか見えないマジシャン役の“なつなつコンビ”(堀・澤本)や、囚人役の陣を追いかける“ポリス藤原”など、ツッコミどころが満載。EXILE THE SECONDのワンマンライブに行くと、時折“エディネスミス”(エディ・マーフィーのモノマネをしたNESMITH)が現れることがあるのだが、EXILE TRIBEのライブでよく見るカオスな芝居は、もしかしたらココが起源なのかもしれないな……と、アニキ達のはしゃぎぶりを見て感じた。























