櫻坂46『そこさく』はなぜキラーワードが生まれるのか 佐藤愛桜、森田ひかるらの名場面から考察

 櫻坂46の冠番組『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京系/以下、『そこさく』)で、また忘れがたいキラーワードが生まれた。4月19日深夜放送の「ウマいクイーン決定戦!」で、佐藤愛桜が放った「うっかりハゲ」である。

『そこさく』、なぜキラーワードが生まれる?

 同回は、以前番組内で披露された謎かけのうまさをきっかけに、ほかにも“ウマいことを言えるメンバー”を発掘していく企画が放送された。「あいうえお作文」に挑戦することになった佐藤がMCの澤部佑(ハライチ)にちなんだ「さわべゆう」のお題に挑戦したところ、最後の「う」で飛び出したのが、「うっかりハゲ」だった。この佐藤の衝撃発言に、スタジオが大きな笑いに包まれた。言葉だけを取り上げれば、あまりにも唐突だが、本人の表情やスタジオの空気も含めて予想外の一言だったからこそ、場の空気を一気に変える力があった。こうした何気ない発言が名場面になっていくところに、『そこさく』の面白さがある。本稿では、これまで番組で生まれてきたキラーワードを振り返りながら、『そこさく』で印象的な一言が生まれやすい理由を考えていきたい。

 『そこさく』で生まれたキラーワードの中でも、小林由依の「知らねぇし」は、やはり忘れがたい。2021年1月放送の「お年玉大盤振る舞い!櫻坂46大新年会」では、メンバーに関するクイズのヒントとして「イカよりタコ派」という情報が出された。そこで小林がぽつりと放ったのが、この一言だった。

 たしかに、クイズのヒントとして「イカよりタコ派」というのは、あまりにも頼りない。イカよりタコが好きと言われたところで、答えに近づける気はしない。しかし、それを正直に「知らねぇし」と一刀両断してしまうところに、小林らしさが滲み出ていた。声を張るわけでも、笑いを取りにいくわけでもない。淡々とした表情のまま、思ったことがそのまま口から出てしまったような温度感が、かえって面白いのだ。

 森田ひかるの「私たちの足跡もアート、それが軌跡」も、『そこさく』ならではの名言めいた一言として印象に残る。これは、2025年6月放送の「12thシングルヒットキャンペーン」で、的野美青が巨大アートに挑戦した際、作業を手伝った森田が感想を求められた場面で放った言葉だ。先生から「足跡もアートになる」と教わったことを受け、そこに自分たちの歩みを重ねるようにして、言葉をまとめたのだろう。森田はステージ上では研ぎ澄まされた集中力を見せる一方、『そこさく』では少し照れながら独特の言葉を残すことがある。このフレーズも、真面目にきれいなことを言おうとした結果、どこか名言風になりすぎてしまったのだ。その微妙なズレが笑いになっていた。

 “ガヤのセンス”という意味で外せないのが、武元唯衣の「詐欺師の匂いがする」だ。2021年4月放送の「不良品大放出 櫻坂46 SHOP CHANNEL」で、井上梨名がキリンとクマの人形を売り込む場面から生まれた。井上のプレゼンは話術でなんとか押し切ろうとする強引さと怪しさがあった。そこに武元が「詐欺師の匂いがする」とやや大げさに言い切った途端、井上の売り込みが一気に“疑わしい商談”のように見えてきたのだから面白い。相手を否定せず、むしろキャラクターを立てながら場面を強くするところに、武元の“ガヤ”のうまさがある。

 三期生以降のメンバーから生まれる言葉には、また違った面白さがあると思う。村井優の「たしかに〜」は、2023年12月放送の「三期生の疑問解決!そこさく学級会!」で印象的なフレーズだった。言葉だけを見れば、日常会話でもよく使う相づちで、強いツッコミでも奇抜なボケでもない。けれど、村井が言うと不思議と耳に残るのだ。相手の話をまっすぐ受け止める存在感、ふわっとした声の出し方、少し遅れてやってくるタイミング。そのすべてが重なって、ただの相づちが村井らしいリアクションになっていたのだ。バラエティで目立つ言葉は、必ずしも派手でなくていい。本人の素直さがそのまま出た一言だからこそ、印象に残るフレーズになった。

 小田倉麗奈の「ゴルフ場買ってほしいな」も、本人の持ち味がよく出た一言だった。これは、2024年1月放送の「クールvsぶりっ子 新春!チーム対抗バトル!前半」で、澤部をニヤつかせるためのぶりっ子対決が行われた中で飛び出したフレーズである。櫻坂46には、菅井友香や関有美子のように、上品であったり、育ちの良さを感じさせるメンバーがいたが、小田倉の一言も、その系譜を思わせるものだった。誕生日に買ってほしいものとして出てきたのが、まさかの“ゴルフ場”。現実離れしているようでいて、小田倉が言うと妙に納得できてしまう。

『そこさく』、メンバーの個性を受け止める器

 こうして振り返っていくと、『そこさく』でキラーワードが生まれやすい理由には、メンバーそれぞれの個性と、それを受け止める番組側の空気があるように感じる。澤部は瞬発的に反応し、土田晃之は少し引いた位置から場を整える。メンバーの発言を必要以上に説明しすぎず、それでいて笑いのポイントは逃さない。MC陣の腕力があるから、メンバーも安心して言葉を出すことができるのだろう。うまく言えなかったこと、少しズレた答え、本人も予想していなかった言葉。それらが、番組の中ではそれぞれのキャラクターを見せる材料になる。佐藤の「うっかりハゲ」も、まさにその流れの中で生まれた言葉だ。

 櫻坂46は、ライブでは緻密で鋭いパフォーマンスを武器にするグループだ。しかし、『そこさく』では真面目さ、天然さ、毒っ気、照れまでもが思いがけない形で出てくる。そこで生まれる言葉は、ただの笑いにとどまらず、メンバーの性格や関係性を知る入口にもなる。次にどんな言葉が飛び出し、そこから誰の新しい一面が見えてくるのか。その予想できなさが、冠番組としての『そこさく』を面白くしている。

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