今までにない形で寄り添う――映画『鬼の花嫁』イメージソング「Ray」 由薫の出発点と「星月夜」にかかる魔法

きっと30歳には30歳にしか表現できないことがあると思う

――インディーズ1stシングル「Fish」のリリース5周年(11月)を目前にそういう意識になれたことは、由薫にとってもかなり大きかったのでは。
由薫:ああ、たしかに。今言われて、初めて気づきました(笑)。でも、5周年を迎えた時点でちゃんと自分のことをわかっていたり、しっかりと実力がついて一人前になっていなきゃいけないというのは、以前から思っていて。まわりの皆さんもそこに対して鼓舞してくれていましたし、そういう意味での考え方の変化もあったのかもしれません。あと、同年代のシンガーソングライターは皆さん言うことなんですけど、これぐらいの年齢になってくると仲間がすごく増えてくるんですよね。私は最初、本当に誰も友達がいないで有名で、ライブハウスの方にも「まだ友達できないの?」ってよくイジられるぐらいでした(笑)。でも、いろんな活動を経て仲間が増えてくると、いろいろ話していくなかで彼らがどんなふうに自分の気持ちを音楽に落とし込んでいるのか、日頃どうやっていろんなチャレンジと向き合っているのかを知って、すごく刺激になるんです。アーティストって特殊な仕事だと思うんですけど、最近は同期とか同僚が初めてできたみたいな気持ちで、それがモチベーションを高めることにも繋がっています。
――最初の5年って、その先続けるのか、諦めるのかの最初の基準になる節目だと思うんです。5年間サバイブできたということは、そこで共有できる意識もたくさんあるでしょうし、相手に対してのシンパシーも芽生えるのかな、と。そんなタイミングに生まれた「Ray」という曲は、先ほどおっしゃったようにここから先の指針にもなりそうですね。
由薫:そうですね。今話していて、急に思い出したことがあって。2023年2月に「星月夜」という曲を発表して、この曲は本当にたくさんの方に聴いていただくことができたんですよね。自分にとってもひとつの大きな夢が叶った瞬間でもあったんです。でも、そこで満足するのではなくて、これからも多くの人に届く曲をいくつも生み出していく挑戦をしないといけないし、「星月夜」を超える曲を作っていかないといけない。そのためにも、あの曲を作った時にかかっていた魔法をもう一回思い出したいんです。あの曲の歌詞、つらつらと書けたんですよね。「それってどうしてだったんだろう?」と思い返すと、私の音楽の原点にたどり着くんです。
――原点ですか。
由薫:はい。私、学生時代に親友と一緒にギターを始めてアコースティックバンドをやったりしていたんですけど、その子に聴いてもらうつもりで「星月夜」を書いて、実際真っ先にその子に聴かせたんですよね。それを今回「Ray」を作っていく過程で思い出して、その親友にも聴いてもらったんです。それによって私が音楽を始めた理由とか、そもそもやりたかったこととか、いろいろ思い出すことができた気がして……私は「たくさんの人に届けたい」という気持ちももちろんあるけど、それ以前に「目の前の人にちゃんと言葉を伝えたかったんだ」って。そういう意味でも、「Ray」は大事なことをもう一度思い出させてくれた特別な曲なんです。
――活動を続けていくなかで、いつの間にか規模感が大きくなっていくことで目に見えない人たちに向けて、闇雲に曲を作っていく思考に陥っていたのかもしれませんね。でも、ある特定の誰かに聴いてほしいという思いが強ければ強いほど、その曲は聴き手にとってより個人的に感じられる一曲になる可能性も高い。
由薫:そういう意味では、私にとってライブはそれを再確認する大切な時間かもしれません。ライブハウスだと目の前にいるお客さん一人ひとりが自分の親友に思えてきて、「私の曲を聴いてくれているのはこの人たちなんだ」って強く実感することができるんです。“They”に対してではなく、“You”に対して曲を書かなきゃいけないんだということは、最近思っていることで。“You”に向けて書いた「星月夜」がたくさんの人に届いているってことは、それくらい自分にとって大事な学びでもありました。
――“They”という不特定多数に向けて書くことで、もしかしたら広く届く可能性はあるかもしれないけど、それよりも“You”に向けて思いを綴ることで一人ひとりに強く刺さりますし、それが連鎖していけば“They”に向けた曲よりもさらに浸透するかもしれない、と。
由薫:そうですね。あと、“They”として意識すると、自分のすべてをさらけ出すのが急に怖くなるんですよね。だけど、たくさんの“You”が集まってオーディエンスになっているんだと思えば、親友に話すのと同じようなテンションで書けることがあるかもしれないなって、最近は思います。
――5周年を迎えると同時に、年齢的にも20代後半にも突入します。そういう意味でも、ここからの5年はさらなる変化を迎えることにもなるのかなと思います。
由薫:私、自分のことを伸びしろしかないと思っているんです(笑)。今までもっと頑張れることがたくさんあったはずなのに、そこで半分くらいにしか向き合わなかったからこその伸びしろがまだあるんじゃないか、って。なので、5年経とうとしている今、その見過ごしてきたことと向き合って磨いていくという意味でも、ここからがまた新たなスタートだなと思うんです。日本では年齢のことが話題になりがちですし、自分も意識していることではあるけど、きっと30歳には30歳にしか表現できないことがあると思う。自分がその年齢に追いついて、年齢にふさわしい成長をしていきたいなと思います。

■リリース情報
Digital Single『Ray』
配信中
配信URL:https://lnk.to/yu-ka_ray
■公演情報
『由薫 Ray in the Night vol.2 -Nightscape Live-』
2026年6月1日(月)神奈川・象の鼻テラス
OPEN 18:45 / START 19:30
<チケット>発売中:ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス
自由席(整理番号付/特典付き):5,500円(税込)
由薫 オフィシャルサイト:https://yu-ka.jp/
X:https://x.com/yukayu_ka79
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