超難読バンド・ผ้าอ้อม99999「未来から見たら教典になるかも」 結成、ルーツ、ミームへの偏愛が生む“Junk Pop”を語る

ผ้าอ้อม99999が語るミームへの偏愛

ผ้าอ้อม99999が目指すふたつの夢

――生の演奏にこだわっている理由はなんでしょう?

アブラ:自分がライブを観る側のとき、生演奏が入っている方が観ていて飽きないなと思っていて。DALLJUB STEP CLUBとかgatoも生ドラムが入っていたりして、そういう編成がかっこいいと感じているので。この音楽性でバンドセットっていう見た目が好きなんですよね。あと、やっぱり生のベースとかドラムの方が熱量が伝わりやすい。僕もサンプラーを気合いを入れてやってはいますけど、生楽器の方が魂が出せる。生ベース/生ドラムの音をサンプリングして打ち込みで出すことだってできるけど、それだと見た目がつまんないというか。

CORE-TEX:人力でやる味が好き、というのが大きいです。DALLJUB STEP CLUBとかgatoとか、ああいうのがめちゃめちゃ好きですし。

アブラ:あと石山さんがすごく上手いドラマーなので、それを活かしたいという気持ちはずっとあります。単調なドラムで叩かせるならサンプルでいいってなっちゃうので、せっかく生でやるなら技巧的なことをやらせたいなと。

――1stアルバム『JUNK POP』の最後に、「Junk Pop」という楽曲が収録されていて。この曲は、バンドのステートメントを示しているように聴こえました。

アブラ:「Junk Popとは何か?」という態度を1曲で出そうという考えで作りました。普段はあまりメッセージ性のある曲を作らないんですが、この曲はばりばりメッセージがあります。名刺代わりというか、「俺たちはこれだ」ということを言いたくて。Junk Popの“ポップ”の部分を1曲に詰め込もうと、かなり気合いを入れて作った曲です。

ผ้าอ้อม99999 - Junk Pop (Official Music Video)

――CORE-TEXさんは、この曲の制作で印象に残っていることは?

CORE-TEX:海外留学に行っていたので、制作には全く関わっていません。データが送られてきて、聴いてみると今までの曲と全然違ってめちゃめちゃポップだなと思いました。メッセージ性もあって、でもガチャガチャした感じで、すごくいい曲だなと。

アブラ:作るときに、PAS TASTAが話題に出たんです。PAS TASTAってJ-POPを名乗ってやられていると思うんですけど、すごく攻めた電子音楽なのにちゃんとポップに落とし込んでいるところがすごくて。構成も変なのに、めちゃめちゃ聴きやすいし楽しい。すごく研究しました。この曲は特に、DAWに何も書いていない状態で、リファレンスをいくつか並べてから作り始めましたね。

――逆にリファレンスなしで作る曲もあるんですか。

アブラ:「忙忙忙ー忙・忙ー忙忙」はリファレンスなしで、DAWでわーっていじって出てきた感じです。この作り方のときはボツになることの方が多いんですけど、あの曲はうまくいったと思っていて。反響がいちばん大きかったのがそういう作り方をした曲だったので、この作り方に旨味を覚えすぎないようにしようとは戒めています。

――自分たちのことは「ポップだ」という感覚でやっていますか?

アブラ:はい。たとえば、ベースミュージックをインストでやっていたらポップじゃないと思うんですけど、歌詞があったり、ミームというとっつきやすいポップ要素が入っていますし。サンプルを使うときも、スーパーとかでよく鳴ってる「いらっしゃいませ」のフリー素材とか、YouTuberがよく使う「オウ!」みたいなド定番のサンプルを入れたりするのが好きで。そういうところでポップにまとめているつもりです。

CORE-TEX:形態がめちゃめちゃ変なだけで、曲自体はすごく聴きやすいというか……ドーパミンが出る感じだと思う。テンションが上がる曲だなと思っているので、ポップだと認識しています。

ผ้าอ้อม99999

――すごく直接的に質問すると、売れたいですか?

アブラ:売れたいですね。もちろん、やりたいことをやりつつではあるんですが、売れたくなかったらもっと攻めたことをやっていると思います。自分たちがかっこいいと思うものをちゃんと出して、ちゃんと刺さるように作っています。ちやほやされたいです(笑)。

――ミームって、知らないとわからない部分もあるじゃないですか。聴く人が限られるという側面と、より多くの人に聴いてほしいというのは、ちょっと逆行する面もあるのかなと思うのですが。

アブラ:聴き流されても、意味わからなくても、大丈夫なように提示するようにはしていて。そのうえで、意味がわかった人はめちゃめちゃ好きになる、みたいな。ミームを好む人って、自分だけが知っていることに快感を覚えるじゃないですか。「このミーム、俺しかわかんねえだろ」みたいな気持ちを狙ってはいるんです。意味がわからなくても、歌詞を見なくても「かっこいい」と思ってもらえるように作っているつもりなので、逆行しているようで成立しているのかなと思っています。

――最後に、この先バンドをどうしていきたいか、今考えていることを聞かせてください。

アブラ:ありがたいことに今いい流れをいただいているので、制作はこの調子で進めていきたいです。バンドとしては『コーチェラ』(『Coachella Valley Music and Arts Festival』)に出たいです。あれだけエンタメしているフェスって思い浮かばなくて、そういうところに出られたら、絶対何かが変わると思う。まだやりたいけどやれていないことはたくさんあるので、貪欲に新しいことをやっていきたいです。

CORE-TEX:私はサンリオピューロランドのハロウィンイベントに出たいです、マジで。毎年すごくいいラインナップなので、絶対に出たい!

アブラ:同時に達成できるように足並みを揃えて進んでいきます。

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