YUNA、ソロ楽曲がバイラルチャートイン ITZYというブランドの枠を超えて到達した“引き算の美学”
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの4月9日付のTOP10は以下の通り。
1位:超かぐや姫!「Kaguya's Special Voice」
2位:BMFUNK2341「MONTAGEM NATTO GAKKO 2」
3位:HIROMU(INI)「またどこかで」
4位:Shimuda & SlowlyDying「BAD ENDING FUNK」
5位:OXYNOVA, MASON HOME, MILLI, Foggyatthebottom, OSUN, Loco「SSAK (Feat. Loco)」
6位:BTS「2.0」
7位:YUNA「Ice Cream」
8位:Diggy-MO'「爆走夢歌」
9位:Ayane「はるのうた」
10位:Ayane「君と見つけた歌」
今週のSpotify「Daily Viral Songs(Japan)」は、先週までチャートを席巻していたAyaneの「君と見つけた歌」「はるのうた」が順位を下げ、代わってBMFUNK2341やShimuda & SlowlyDyingといった楽曲が上位に食い込むなど、トレンドの移り変わりの速さを象徴する結果となった。そんなトップ10の中で、ひときわ華やかな存在感を放っているのが、7位にランクインしたYUNA(ITZY)のソロ楽曲「Ice Cream」である。
ITZYといえば、デビュー以来、自分らしさを貫くティーンクラッシュの旗手として、パワフルなパフォーマンスでシーンを圧倒してきた。その中で最年少メンバーのYUNAは、その洗練されたビジュアルと天真爛漫なキャラクターでグループの華としての役割を全うしてきた存在だ。その経験を経て今回リリースされたソロ曲「Ice Cream」で見せるのは、ITZYの延長線上にある姿ではなく、一人のポップスターとしてのセルフプロデュース能力の高さである。
本作は、タイトル通りドリーミーでスウィートな世界観が全開のポップチューンだ。特筆すべきは、ユナのボーカルの表現力だろう。ITZYでのエネルギッシュな歌唱とは対照的に、今作では吐息を混ぜたような柔らかな質感や遊び心のあるニュアンスを巧みに使い分けている。〈Time is like ice cream/잠깐인 걸〉(一瞬のこと)という歌詞が象徴するように、アイスクリームは最も美味しい瞬間が短く、すぐに溶けてしまう。それは、恋のときめきやスポットライトを浴びる瞬間の輝きにも似ている。かつてグループでは「自分は自分」と強く宣言していた少女がキャリアを重ね、今この瞬間の美しさを〈딱 한 번뿐인/이 시간을 삼켜〉(たった一回きりの/この時間を飲み込んで)と歌う。そこには、若さゆえの衝動を客観的に捉え、エンターテインメントへと昇華させる達観した大人の余裕が感じられる。
バイラルチャートを賑わせる楽曲の多くは、強烈なフックや過激なサウンドを武器にしている。その中で「Ice Cream」が支持される理由は、王道のポップスとシンセベースがひきつれるレトロ感の融合度と、YUNAというアイコンがまとう幸福なオーラにあるのだろう。サビの〈I wanna be your ice cream〉というフレーズは、一見するとシンプルなラブソングのようだが、彼女の堂々としたパフォーマンスと合わさることで「私を味わい尽くしなさい」という、かつての彼女がITZYとして掲げてきた強固な意志にも通じるメッセージとしても受け取れる。無理に声を張り上げず、楽曲の軽快なビートに身を任せるような歌い口は、数々の大舞台を経験してきた彼女だからこそ到達できた、引き算の美学とも言えるだろう。
ITZYというブランドの枠を超え、自らの魅力を“アイスクリーム”という親しみやすいテーマで再構築してみせたYUNA。今作で見せた変化は、彼女が自身のカラーを自在に操る表現者へと進化したことを証明している。迷っている間に溶けてしまうアイスクリームのようにポップスのトレンドは移ろいやすい。しかし、今作でYUNAが刻んだ甘く、そして強い足跡は、彼女のソロキャリアにおける重要な転換点として長く語り継がれるはずだ。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2026-04-09

























