LOVE PSYCHEDELICOはなぜ今、初期衝動を鳴らし直したのか 『NAKED SONGS』で提示した“本当の完成形”

LOVE PSYCHEDELICO『NAKED SONGS』全曲解説

 活動休止前最後のツアーとして開催された『LOVE PSYCHEDELICO 25th Anniversary Tour』は、25年の歩みを感傷的に振り返る場というより、むしろこのバンドが最後まで“現在進行形”であり続けていることを鮮やかに示すものだった。各地でソールドアウトが相次ぎ、東京・NHKホールで追加公演が決定したことからも、その熱量の高さは明らかだろう。4月21日にリリースされた『LOVE PSYCHEDELICO NAKED SONGS』は、そんなツアーであらためて浮かび上がった彼らの生々しい演奏感覚を、スタジオワークという角度からも捉え直すことのできる作品である。

LOVE PSYCHEDELICO(撮影=Viola Kam (V'z Twinkle))

25年目のセルフリミックス、脳裏に描いた理想の響きへ

 本作は、NAOKI(Gt)自身の手によって既発曲9曲を“Naked New Mix”として再構築した、デビュー25周年記念のセルフリミックスアルバムである。ここで重要なのは、これが単なるリメイク集でも、現代的な解釈を加えたアップデート盤でもないということだ。資料によれば、LOVE PSYCHEDELICOの初期曲の中には、学生時代のデモテープ用に録音した音源がそのまま作品化されたものもあり、今回はそうした音源を中心に、「当時脳裏に描いていた本来の、本当の完成形」に辿り着くべく、一からミックス作業を行ったとNAOKIは説明している(※1)。

LOVE PSYCHEDELICO / Talking about『LOVE PSYCHEDELICO NAKED SONGS』Vol.1

 その方向性は、冒頭の「Free World」からすでに明快に表れている。全体にかかっていた空間系のリバーブが抑えられたことで、各楽器の輪郭が立ち上がり、アンサンブルの芯がくっきりと現れる。とりわけ左チャンネルでメロディに絡むギターの存在感は印象的で、音の奥行きの中に埋もれていたニュアンスが、ぐっと前へせり出してくる。

 続く「Your Song」では、既発版においてヴァースとコーラスが、まるでサンプリングの断面のように鮮やかに切り替わるのが特徴的だった。一方、Nakedバージョンでは、その移行がややスムースになっている。特にマンドリンの入り方や音量の処理に変化があり、楽曲全体がより“ライブらしく”、“バンドらしく”響くようになった。リバーブを整理したことで、KUMI(Vo/Gt)のダブルトラックが生む倍音、2回目のヴァースで浮かび上がるコーラス、中盤のギターソロも、以前よりはっきりと耳に届くようになっている。

 「Last Smile」では、既発版で強調されていたリンドラム風の硬質なスネアがやや後退し、代わって前景化するのがKUMIの声だ。ややローファイ気味に処理されていた歌は、ここではアーティキュレーションを伴った生々しい質感へと変わり、耳元に迫ってくる。ミドルテンポのビートにしなやかに乗るフロウ、そのグルーヴィーでキレのあるリズム感には、改めて驚かされる。地声から裏声へ切り替わる一瞬や、息継ぎさえメロディの一部として機能していることも、今回のミックスによってより明確になった。

 また「Hello」は、本作における“定位の再設計”が、単なる聞こえ方の違いではなく楽曲そのもののグルーヴ解釈にまで及んでいることを示す一曲だ。Nakedバージョンではアコースティックギターが右寄りに配され、既発版以上にそのリズミカルなカッティングが明瞭になっている。結果として、この曲に潜んでいたパーカッシブな推進力がよりくっきりと引き出された。KUMIのダブルトラックも、こちらのほうがよりイーブンなバランスで立ち上がっており、声の輪郭を過剰に浮かび上がらせるのではなく、バンドサウンドの中に自然に溶け込みながら存在感を保っている。

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