Soala、大きな挫折を乗り越えて立つ憧れの舞台 Zepp DiverCityに響かせた未来への強い意志

Soala、万感の思いで臨んだZepp公演

 幼い頃から音楽に親しみ、中学生のときにそれを職業にしたいという夢を抱いたSoala。自己表現のためにボーカルレッスンに励み、ギターの練習もした。高校生になると自ら作詞・作曲を始め、路上ライブから活動をスタート。夢を現実とするため地元である愛知から上京、アーティストネームをSoalaとして精力的な活動を展開していく。だが、東京で大きな挫折を経験したことを機に、自分のことを知る人がほとんどいない場所である大阪で第2のスタートを切る。そこからは路上ライブを月に10回以上行い、オリジナル楽曲を多数配信リリースしていくことで、Soalaの音楽を多くの人たちへと届けてきた。

 「歌を通してツラい状況にいる人を救いたい。みんなが感情を吐き出せる居場所になりたい」という強い思いを抱きながら約5年、Soalaとして走ってきた現在。彼女の楽曲の総ストリーミング再生数は2億回を超え、α世代を中心に強い支持を獲得している。

 そんなSoalaにとって、一つの大きなチャレンジとなったのが3月24日に開催されたライブ『Soala ONE MAN LIVE 2026 ~Aile~』だ。会場となった東京・Zepp DiverCityはSoalaにとって最大規模のキャパシティであると同時に、もうひとつ大きな意味を持っていた。それは、恩師と交わした“約束の場所”であるということ。高校時代、Soalaは先輩のバックダンサーとしてZepp DiverCityのステージに立った経験がある。その際に学校の恩師に対して、「次は私がメインでこのステージに帰ってきます!」と誓ったのだという。自身にとって大切な場所での初ライブ。そこでSoalaは、これまでの歩みを総括しつつ、未来に向けた強い意志を注いだ歌声を響かせた――。

 “翼”や“羽ばたく”といった意味を持つライブタイトル「Aile」になぞらえ、白い羽根が舞う印象的なオープニング映像を経て、ステージに現れたSoalaは「Alive」でライブをスタートさせた。「みんなが今日、ここに来てくれたこと、絶対に後悔させません。Soalaの音楽を全力で受け取ってください!」。そんな言葉の後、「Prolog」「Bluem」と連続で届けられる楽曲たちは、どれもこれまでの活動の中で味わった苦悩や葛藤を赤裸々に紡ぎつつ、それでもなお歌い続けるという確固たる決意を込めたもの。ライブ冒頭でこれまでの“Story”をまずしっかりと提示したところに、この日のライブの持つ重要な意味を感じた。

「イヤな感情、苦しい感情を全部吐き出してSoalaにぶつけて欲しいなって思います。みんな、いい? ここには敵は誰もいません。味方しかいないから。Soalaも感情をぶつけるし、みんなもぶつけてきて欲しいです」

 次のパートではSoalaの大きな持ち味のひとつであるラブソング、中でも失恋をモチーフとしたせつないナンバーが並べられていた。感情を溢れさせ、まるで泣いているような歌声がオーディエンスの胸を打つ。「君が悪いのに」「Lie」に続き、「これでサヨナラ…」と題された新曲が初披露されたのもファンにとって嬉しい贈り物となった。

 自身が演じる失恋後の悲しい日々を描いたショートムービーを挟み、黒いドレスに衣装チェンジをしたSoalaが登場。TVアニメ『真夜中ハートチューン』エンディングテーマとして注目を集めている最新楽曲「声の軌跡」を届ける。さらに人気楽曲「自分勝手」「すれ違い」はアコースティックバージョンで披露されたことで、Soalaの感情を揺さぶる歌声の魅力を存分に味わえた。

 MCでコール&レスポンスをし、会場の一体感を高めた後は、アッパーな楽曲を並べてテンションを沸騰させていく。フィメールダンサーらとともに迫力のあるパフォーマンスを見せた「Boon」「Dead or Love」、打ち上がる色とりどりの花火の映像が楽曲への没入度を高めた「恋花火」を連続で届けてくれた。

 Soalaが平成ギャル“そあぴ(17)”に扮したコミカルな映像で会場を笑顔で満たした後は、全員でタオルを振り回して盛り上がった「青春ロックンロール」「COODINATE」を。メインステージからせり出したセンターステージでのパフォーマンスで客席との距離を縮めながら歌われた「D.I.E.T.」では、曲中のワードをオーディエンスが高らかに叫び、Zepp DiverCityが目に見えてひとつになっていく。

 興奮冷めやらぬ客席に向け、Soalaが静かに話し始める。「私はみんなにキレイな声を届けたいのに、届けられない自分がすごく悔しいです」と、昨年から続いている自らの声の不調について涙ながらに告白する。続けて、「でも、私はどんなことがあってもこのステージに立ったら、声が枯れてもみんなに全力で音楽を届けたい思いがあります。届いてくれていたら嬉しいです」と素直な気持ちを吐き出した。そして、様々な出来事があった約5年の活動を振り返りながら、「この先もこの声が続く限りずっと、私がみなさんを救いたいという思いで音楽を続けていることは忘れないでください。お願いします」と吐露し、客席からは大きな拍手が贈られた。

 不登校になってしまった友人の妹に向けて、自らの経験を投影して高校時代に作ったという「顔晴れ」でライブはあたたかなムードに包まれながらクライマックスへと向かって行く。過去を振り返りながら今の自分を支えてくれているすべての人への感謝を歌う「Story」では幸福感に満ちたワイパーが客席で自然発生する。力強くスケール感のあるサウンドで会場を揺らした「HOPE」では、聴き手の背中を押すメッセージを高らかに響かせ、それに呼応するように大合唱が巻き起こった。そして、「これからもSoalaは、Soalaの音楽でみんなのことを救い続けます」と自らの信念をあらためて伝えた後、「Glorious」を熱唱。ライブ本編は感動的に幕を閉じた。

Soala

 眩しいほどの光に包まれる中、始まったアンコール。ライブTシャツをアレンジした衣装で登場したSoalaは、跳ねたリズムが楽しい「あの子」を飛び切りの笑顔でキュートに届ける。その後、「重大発表が2つあります!」と告げると、期待に胸膨らませた客席が大きくざわめく。そこで発表されたのは、Soalaが2026年秋にユニバーサル ミュージックジャパンからメジャーデビューすることと、この日のライブが映像作品としてリリースされること。その嬉しいトピックに客席からは割れんばかりの歓声とともに「おめでとう!」の声が飛び交った。

「ありがとう! 私は東京で大きな挫折をして、人のことを信じられなくなりました。人間不信になりました。そこから何に対しても疑っちゃったり、人のことなんてもう信じないと思いながら活動してました。でもこうやってみんなと出会って、今いてくれるスタッフさんたちと出会って、この人たちと一緒にもっと大きいステージに行きたいと思いました。誰かのことを救いたい、みんなの居場所を作り続けるという私の思いを一番に尊重してくれるスタッフさんたちです。だから、Soalaは何も変わらないです。安心してください。みんなと一緒に、これからも一歩ずつ大きいステージに進んでいきたいです」

 喜びの涙をにじませながら今の、そして未来への思いをしっかり伝えたSoalaはラストに「君に夢中」のリミックスバージョンを全力で届け、この日のライブをエンディングへと誘った。

 3度の衣装チェンジや6人のフィメールダンサーの参加、Soalaの音楽世界を鮮やかに彩るセットや照明効果など、リッチな演出で繰り広げられた最高の一夜。かつて約束を交わした恩師も観にきていたというこの日のライブは、Soala自身にとっても、Soalove(ファンの呼称)たちにとっても、忘れることのできない大切な記憶として刻まれることとなったはずだ。決して順風満帆ではなかった歩みの中、音楽の力を信じてひたむきに進んできたからこそ育まれた強さがSoalaにはある。今秋に控える新たな門出に向け、そしてまだ見ぬ未来に向け、彼女はここからさらに大きく羽ばたいていくのだろう。

Soala、「声の軌跡」と自身の歩んできた道を語る 新世代ラブソングの旗手はなぜ求められるのか?

Soalaがアニメ『真夜中ハートチューン』(カンテレ/フジテレビ系)エンディング主題歌「声の軌跡」をリリースを。楽曲について、こ…

新たな歌姫の誕生――“感情の履歴”を残す恋愛ソングの最新形 Soalaの歌は何がすごいのか?

Soalaが、2026年の第1弾シングルとしてTVアニメ『真夜中ハートチューン』(カンテレ・フジテレビ系)のED主題歌「声の軌跡…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる