Maverick Mom、『前日譚』で刻んだメジャーへの決意 変幻自在な“カオスポップ”が鳴らす新時代の産声
熱狂の最高地点を目掛けてラストスパートへ、メジャーデビューや全国ツアー発表も
ラストスパートを前にしたMCで、「自分たちが初期衝動で作った楽曲や誰かに届けたいと思った楽曲が、みんなに届いていると再認識できるのが、ワンマンライブだったりフェスだったりするわけですよ。だから最近は、そういった空間をひしひしと大事に噛みしめながら、ステージに立たせていただいております」と胸のうちを零す南出。そして「だからこそ、僕らでしか作ることのできない、書くことのできないメッセージを、みんなと一緒に歌にできたらなと思います」と口にし、「夜明けの足跡」へ。安定感のあるリズム隊、ポロポロと弾けるギター、語り掛けるようなボーカルが合わさり、穏やかなムードが形成されていく。柔らかな温度で〈傷ついた心 癒えるように/歩きだせるように〉と奏で、慈愛に満ちたエールを送ったのだった。
ここからは、〈いつか芽吹くあなたの前日譚を〉と紡ぐ「ジーニアス」をトリガーに、いよいよ終盤戦だ。南出に煽られ、オーディエンスのクラップもさらにボルテージが上昇していく。全体重の乗ったパフォーマンス、呼応する観客、高まる一体感、チームMaverick Momの快進撃は、もう誰にも止められない。熱狂の最高地点を目掛けて、高揚感満載の新曲「Shower!!!!!」をドロップ。MCとDJが編み上げるような、阿吽の呼吸でのみ成り立つセッションを実現させ、軽やかにポテンシャルの高さを誇示した。躍動に身を任せるままに、Maverick Momきってのヒットチューンである「儚夏」へ。イントロを耳にして息を呑むオーディエンスの様子は、いかにこの曲が待ち望まれていたかを映し出す。エモーショナルかつエネルギッシュに、それぞれの中に眠る最後のパッションが解放されていった。ラストの「青く、春」になると、ラスサビを前に〈革命起こせ 若きこの世代で〉の特大シンガロン。世界平和の源流になりそうなチームワークを生み出し、希望の光に包まれたフィナーレを締めくくった。
本編が終了すると、ほどなくしてMaverick Momの軌跡を感じさせる意味深なVTRがスクリーンに映し出された。そして、ビクターエンタテインメントからのメジャーデビューとアルバムのリリース、全国ツアー、ファンクラブの開設が伝えられたのである。想像を上回る報告だったのか、客席の至るところから祝福の歓声が沸き上がった。再び姿を現した南出は「今後メジャーに行ったとしても、自分たちのやりたい新しい音楽、届けたい音楽っていうのは変わらないと思うので。また新しく出会ってくれた人を温かく迎えいれて、大海原をグワッっていくような、すごく大所帯なバンドにしていきたいと思いますので。今後とも皆さん、お力添えのほど、よろしくお願いします」と一言。
改めて「アルバムの中から、まだ披露していない新曲をやりたいと思います」と仕切り直すと、インディーズ時代の集大成ともいえる「孤独に解く」を誘った。テクニカルなフレーズやドラマチックな展開、歌心のあるメロディは、まさにMaverick Momの真骨頂だ。さらには、ひとつの完成形と対比するかのように、彼らの始まりの曲である「Monster」を投下。南出がハンドマイクのスタイルで歌声を響かせる一方で、中野・タイゾー・ONの3人は三者三様のソロプレイを堂々と披露する。それぞれが“自分らしさ”を存分に開花させ、晴れやかにアンコールの幕を下ろした。
本来であれば、ここで終わる予定だったのだが、会場の熱量に押されて急遽Wアンコールへ。バンド結成初期からライブで磨き上げられてきた「Super Face」とともに、最後の一押しを突っ走る。メンバーも興奮が冷めやらなかったのか、なんと南出が客席を練り歩きながら歌唱する一幕も。端から端まで全員の鼓動をひとつに束ね、幸福感に包まれた『前日譚』を結んだのだった。
「大きな船出になると予感させるライブにしたい」という願いを宿した『ONEMAN LIVE 「前日譚」』。テクニカルかつマニアックな表現を大切にしながらも、ポピュラリティにも真正面から向き合い、結果として彼らは「どんな人だって置いていかない、愛と優しさに溢れたバンド」として成長し続けていることを証明してみせた。とはいえ、本公演は『前日譚』。今はまだ、大きな物語が始まる前の序章に過ぎないのだ。唯一無二の新しさを体現し続ける彼らが、メジャーというステージでどんな姿を見せてくれるのか――。チームMaverick Momの理想郷へ向かう旅は、ここから始まっていくのである。
■セットリスト
Maverick Mom『ONEMAN LIVE 「前日譚」』東京編
2026年3月3日@東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
M01.アルカディア
M02.イエローメッセンジャー
M03.ZONE
M04.アスニヒカル
M05.Fancy
M06.少年とパレット
M07.傍惚れ
M08.ポラリス
M09.旅立日記
M10.スイセン
M11.徒花
M12.Transcend even God
M13.夜明けの足跡
M14.ジーニアス
M15.Shower!!!!!
M16.儚夏
M17.青く、春
EN1.孤独に解く
EN2.Monster
Double EN.Super Face