稲葉浩志、カバー曲でも薄れない強烈な個性 ヒロイン視点の「タッチ」をどのように表現する?
B'zのボーカルとして、そしてソロシンガーとしても活躍する稲葉浩志が、3月5日より開催される『2026 ワールドベースボールクラシック』Netflix大会応援ソングを担当することが発表され、アニメ『タッチ』(フジテレビ系)のオープニング主題歌「タッチ」をカバーすることが明らかとなった。
『タッチ』はあだち充による漫画をアニメ化した、野球アニメの金字塔的作品として今なお愛され続ける作品。「タッチ」のオリジナルは岩崎良美が歌い、現在でも野球の応援歌として定番ソングであるだけでなく、世代を超えて歌い継がれている楽曲である。そんな「タッチ」を稲葉がカバーするということに、多くの人が驚きを覚えただろう。この楽曲が『タッチ』におけるヒロイン・浅倉南の視点で描かれた歌謡曲の文脈を持つサウンドアプローチであることに対し、稲葉が普段はB'zでハードロックサウンドを基調としていることを踏まえると、やはり意外な組み合わせであることは間違いない。しかし、B'zや稲葉の楽曲を掘り下げれば実は世の中がイメージする“男らしさ”とは一線を画す楽曲を多くリリースしていることに気づく。稲葉の歌う「タッチ」はまだその全貌が明らかになっていないため、どんな楽曲になるのか期待が高まる。
稲葉によるカバーソングと言えば、B'zの松本孝弘がTAK MATSUMOTO名義でリリースしたソロアルバム『THE HIT PARADE』に収録された沢田研二のカバー「勝手にしやがれ」を思い浮かべる(稲葉はフィーチャリング参加)。邦楽楽曲のカバーアルバムとして2003年にリリースされたこのアルバムは稲葉のほかに、ZARD、倉木麻衣といった面々がフィーチャリングアーティストとして参加し、久保田早紀「異邦人」、山口百恵「イミテイション・ゴールド」といった昭和歌謡の名曲をカバー。中でも稲葉をフィーチャリングアーティストに迎えての「勝手にしやがれ」は、オリジナルの硬派な雰囲気を再現しつつも、より疾走感のあるゴージャスなバンドアレンジが施された1曲となっている。とりわけこの楽曲での稲葉は、持ち味のダイナミックな歌唱を存分に活かしつつ、艶も感じさせる歌声を展開。B'zの楽曲の骨格を作り上げている要素のひとつは、やはり稲葉の歌唱なのだと感じられるカバーとなっている。
2024年5月にリリースされたTM NETWORKのトリビュートアルバム『TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-』でB'zは「Get Wild」をカバー。松本はかつてTM NETWORKのサポートギタリストをしていたこともあり、いわば盟友とも言える関係値だ。このカバーのアレンジは中田ヤスタカが担当。「Get Wild」の代名詞であるイントロのシンセサイザーから、エスニックな空気を漂わせるビートに中田らしい打ち込みサウンドが絡み合うアレンジは、一聴するとB'zとは遠い印象も受けるが、稲葉の唯一無二の歌声と松本の技巧が光るギターが本楽曲をB'zたらしめている。稲葉の歌唱の強い記名性を感じさせる名カバーだ。
これまでも様々な場面で歌謡曲のカバーに挑戦してきた稲葉浩志。その卓越した歌唱力で「タッチ」をどのように表現し、『2026 ワールドベースボールクラシック』に華を添えるのか。大会の開幕、そして楽曲の全貌が明らかになるのが今から楽しみだ。