『蓮ノ空』、『Bloom Garden Party』の意義とはーー夢破れた者さえも救う“何度でも花咲ける”場所の真価を問う

 5月に全国劇場公開となる映画『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ Bloom Garden Party』。2025年12月に開催された『5th Live Tour ~4Pair Power Spread!!!!~』の「スリーズブーケ presents Clover Stage」Day2にて予告映像が公開され、ライブ直後の熱冷めやらぬファンを感涙させた。

【2026年5月8日全国劇場公開決定!!】映画 ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ Bloom Garden Party 特報

 劇場版のタイトルにも含まれる『Bloom Garden Party』とは、日野下花帆が立案し、105期体制となった『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』(以下、『蓮ノ空』)が、1年かけて進めてきたイベントのことだ。卒業した102期生と結んだ約束から始まり、昨年12月に開催された前哨戦となるイベント『Starring Bloom』の成功を経て、3月の開催がいよいよ現実的なものとなってきた。そこで改めて、劇場版のタイトルにもなっているイベント『Bloom Garden Party』が開催される意義について考えたい。

限られた時間に残した悔いーー卒業生の帰還は“タブー”か”救い”か?

 「誰もが花咲けるステージを実現する」という、壮大な夢を掲げ進行する『Bloom Garden Party』。本イベントはもともと、「卒業生とまたステージに立つ」という約束から始まっている。そのため、当初の目標はスクールアイドルの肩書きを手放した人々でも、“再び戻ることのできる場所”を創造することが目的だった。しかし、いつからかスクールアイドルに留まらず、“誰もが花咲けるステージ”の実現という大層な夢に育っている。誰かの「こうなりたい」という祈りの連なりがスクールアイドルの歴史であるならば、誰かの「花咲きたい」を重ね、その願いのすべて実現しようとする『Bloom Garden Party』は、非常に『ラブライブ!』らしいイベントと言って差し支えないだろう。

 一方で、『ラブライブ!』というコンテンツを知っているほど、このステージに衝撃を受けた者も多いだろう。スクールアイドルとは、基本的に高校3年間という限られた期間だけ活動が許されている。ゆえに、スクールアイドルは限られた時間の中で精一杯輝こうとする存在であり、それが美学とされてきた。そのため、卒業した人々をステージに戻すのは、シリーズが提唱した美学に背く、一種のタブーともとれるかもしれない。しかし、私はむしろ、限られた時間が美しくあるためにこそ『Bloom Garden Party』が必要なのだと考えている。

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 「Bloom the smile, Bloom the dream!」 リリックビデオ(Link!Like!ラブライブ!)

 大前提として、夢を見て、無我夢中で駆け抜ける時間には等しく価値がある。それはたとえ、その時間が実を結ばなくても、だ。その証左に、『ラブライブ!シリーズ』は青春を駆け抜ける少女の姿を通して、その“過程の尊さ”を訴え続けてきた。しかし、それはファンが観測した少女たちがことごとく青春に悔いを残すことがなかったがために成立したに過ぎないのではないだろうか。

 忘れてはいけないのは、ファンがコンテンツを通して観測できるのは、一部だということだ。我々の見えないところで、多くの夢が生まれている。その夢の中には、叶ったもの、叶わなかったものの両方がある。限られた時間の中に、悔いを残してしまった人も大勢いるだろう。そして、悔いがあるからこそ、駆け抜けた時間に足を取られ、前を向けない人もいるかもしれない。

 限られた時間を美しく思えるかどうかにかかわらず、誰しも平等に時間は過ぎていく。だが、悔いのない者と、悔いを残した者が過ごす時間は、決して平等ではない。だからこそ、夢を叶えた者と叶えられなかった者の距離は次第に開いていく。実際、作品のストーリーが描かれる“活動記録”でも『ラブライブ!』大会での優勝を果たして『Bloom Garden Party』という新しい夢へと向かう花帆たちに対し、優勝を逃して後悔を抱えながら1年近く気持ちを整理できず停滞していた襟川つぐみという対比が描かれていた。

 限られた時間に残した悔いは、拭いきれない呪いとなる。ゆえに、夢を叶えられなかった者や悔いを残した者は、再び進み出すために時間がかかってしまう。では、彼女たちはどう明日へ進めばいいのかーー。そのためのきっかけをくれるのが、“誰もが花咲けるステージ”である『Bloom Garden Party』であり“繋がる力”なのだと私は考えている。

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