パク・ジェボムプロデュース LNGSHOT「Saucin'」バイラルヒット “飾らない美学”が音楽シーンを塗り替える?

Viral Chart Focus

 Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「SpotifyTopSongs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの1月15日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:DrINsaNE「JUST A BOY」
2位:Worldwide Skippa「don't stop freestyle」
3位:King & Prince「Theater」
4位:LNGSHOT「Saucin'」
5位:シエナ・スパイロ「Die On This Hill」
6位:M!LK「好きすぎて滅!」
7位:Zico & Lilas (YOASOBI's ikura)「DUET」
8位:シャキーラ「Zoo (From "Zootopia 2")」
9位:Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ (Concert 2025 Queen of Hearts Special Flush)」
10位:Trooper Salute「天使ちゃんだよ」

 先週、新春を象徴するように1位を飾った宮城喜代子、青木鈴慕の「春の海」や、Juice=Juice、M!LKといった国内勢の祝祭的な賑わいから一転、今週のチャートは急激にその表情を変えた。1位のDrINsaNE「JUST A BOY」を筆頭に、グローバルなストリートの質感がチャートを塗り替える中、初登場4位という鮮烈な足跡を残したのが、LNGSHOTの「Saucin'」である。

 このグループを語る上で欠かせないのは、韓国HIPHOP界のアイコンとして君臨するパク・ジェボム(Jay Park)の存在だ。彼が設立したレーベル「MORE VISION」から誕生した4人組、LNGSHOT。グループ名には、「成功の確率は低いが、形勢を逆転させる決定的な一撃(Long Shot)」という意味が込められているという。アーティスト、経営者として自らの手で運命を切り拓いてきたパク・ジェボムという“逆転の体現者”が名付け親であることを考えれば、この名に宿る覚悟の重さが理解できるだろう。

 彼らのデビューまでの歩みは、従来のボーイズグループの定石とは一線を画していた。正式デビューを前にミックステープ『4SHOBOIZ MIXTAPE』を公開し、さらには2025年末の『Melon Music Awards 2025』(『MMA2025』)という大舞台で、この「Saucin'」のパフォーマンスを披露した。音源が配信される前に、まず“現場”での実力と熱量を見せつけるという手法は、HIPHOPスピリットを重んじるレーベル「MORE VISION」らしい、極めて硬派なアプローチであったと言える。その結果としてSNSを中心に火がつき、今週のバイラルチャートでの躍進に繋がったのだろう。

LNGSHOT - [Saucin’] Official Music Video

 「Saucin'」という楽曲が提示する2026年の洒脱さは、過剰な装飾を削ぎ落とした、ミニマリズムの極致にある。タイトなビートと中毒性の高いベースラインを基盤に、メンバー自らが制作に参加したメロディとリリックが乗ることで、自分たちの言葉としての強度が生まれている。HIPHOP、R&B、そしてポップスをジャンルレスに横断するその手つきは、音の隙間を恐れず、むしろ余裕として楽しむような大人の色気さえ感じさせる。タイトルにある「Saucin'」=“イケてる”というスラングが示す通り、それは単なる格好つけではなく、内側から溢れ出す自信とスタイルの証明なのだ。

 1月13日にリリースされたデビューアルバム『SHOT CALLERS』を聴けば、彼らの音楽的野心がより鮮明に浮かび上がる。夜の静寂を切り裂くような「Backseat」から、チルなビートに乗せてレイドバックした雰囲気で歌う「FaceTime」、そしてエモーショナルな歌唱が胸を打つ「Never Let Go」まで、全5曲の構成には隙がない。重要なのは、音楽制作のみならずパフォーマンスの制作過程にもメンバーが直接関わっている点だ。パク・ジェボムという偉大な先駆者の背中を見ながらも、彼らは決してそのコピーに甘んじることなく、自分たちだけのカラーを構築しようとしている。

 現在の加熱するボーイズグループシーンで、リスナーが求めているのは“飾らない本物としてのあり方”や“作家性”の介在なのかもしれない。LNGSHOTが放つ一撃は、まさにその時代のニーズに合致していると言えるだろう。圧倒的なスキルに裏打ちされた“抜き”の美学。それは、2026年の音楽シーンがより個人の衝動に忠実なものへと変化していく予兆のようにも思える。彼らが放った音楽は、今まさにチャートという標的のど真ん中を射抜こうとしている。次週以降、この勢いがどのように加速し、音楽地図を塗り替えていくのか。私たちは、新たなヒーローの誕生をリアルタイムで目撃している。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2026-01-15

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