西野カナが歌で導いた“魔法の世界” 往年のクリスマスソングカバーも交えて届けたプレミアムな時間
西野カナが12月17日、18日の2日間にわたり『ソニーフィナンシャルグループ presents Kana Nishino Special Live "Christmas Magic"』をKアリーナ横浜にて開催した。クリスマスを1週間後に控え、これまで西野がリリースしてきたクリスマスソングやウィンターバラードを、国内外アーティストの楽曲カバーも交えて存分に味わうことのできる公演となった。本稿では18日の公演の模様をレポートする。
入場ゲートをくぐりアリーナに足を運ぶと、開演前ながらピンク・レッド・グリーンのLEDライトに照らされた煌びやかな空間が待っていた。ステージ奥のスクリーンには、中心に背の高いクリスマスツリーを配置した大きな駅が映し出され、左右のスクリーンにはオスロ、ミラン、ローマ、ニースなどヨーロッパの各都市への運行情報がまとめられた電光掲示板が投影されている。会場が暗転すると、盛大な「カナやん」コールに誘われるように鐘が鳴り、スクリーン中央のクリスマスツリーが点灯し、SEの高まりを受けて真紅のドレスを身にまとった西野カナが登場。この日ならではのオープニングナンバー「Christmas Love」からマライア・キャリーによる往年のクリスマスソング「All I Want for Christmas Is You」のカバーと続き、ステージ前方の生バンドやコーラス、タキシードやドレスに身を包んだダンサーが祝祭ムードを高め、無線制御されたペンライトの移り変わる色彩はKアリーナが位置する横浜・みなとみらい地区のイルミネーションを連想させる光景となった。
「"Christmas Magic"へようこそー! みんな元気ですかー?」と挨拶すると、「早速やけど、金髪になりました。どう?」と6時間かけて染めたという金髪をお披露目した西野。全国47都道府県に加えて台湾・香港の映画館でライブビューイングを開催していることに触れ、「今日はみんなとひとつになって、最高の思い出を作りたいと思います! よろしくお願いします!」と呼びかけた。
"Christmas Magic"のコンセプトについて、「見てのとおり、私たちは今、素敵なデザインの駅にいます。この"Christmas Magic"のライブは『魔法の世界』、そして『列車の旅』がテーマになっていて。みんなと一緒に列車に乗って、『魔法の世界』を旅するような、そんな気分を今日はいっぱい味わってもらえたらと思います!」と語ると、スクリーンに雪が降り始め、「Merry Christmas」からWham!「Last Christmas」のカバーと続く。西野が全方位のオーディエンスに手を振り目くばせする姿に、冷えた身体がほっこり温まっていく。
スクリーン内に映るピンク色の列車に乗り込むようにステージ下手側後方にハケると、幾千の星の下、トナカイに引っ張られたサンタクロースと行き交うように雲の上を走っていく。虹色の流れ星を横目に、山奥の古民家群に到着したところで停車。するとジャケット・スカート・ニット帽・ロングブーツと白一色の装いで西野がステージイン。力強く歌い上げられた「if」では、青白いペンライトが雪の粒ひとつひとつを再現。続く「アイラブユー」ではスクリーン内に暖色のライトが灯り、サビの〈I love you〉のキャッチボールでアリーナを温かく包み込んだ。
そこから「ここのセクションでは、もうちょっと恋人への想いを歌った曲を聞いてもらいたい」と伝え、ステージセットのベンチに腰掛けて「With You」を披露。そしてシンセサイザーで聴き覚えのあるフレーズが流れると、DOMOTO「愛のかたまり」のカバーへ。生バンドによるアレンジが格別で、元は男性ボーカルの楽曲を西野が歌唱することによって、楽曲の持つ二面性やひりひりとした感情的な手ざわりが見事に表現されていた。
リスト「愛の夢 第3番」の調べに惹かれ合う1組の男女。しっとりとしたインターバルを経て、サイバーな雰囲気へと様変わりするとグリーンのワンピースに着替えた西野が登場し、何層ものレーザーがオーディエンスに向けられる。重低音のビートに乗せて「Secret」「ONLY ONE」「MAYBE」をノンストップでドロップし、植物に囲まれた神秘的な空間で「もっと…」、「このシックな雰囲気に合う曲をもう1曲みんなにお届けしたいなと思います」と告げて「会いたくて 会いたくて」を披露。ピュアな恋心の象徴としてスクリーンに三日月が描写され、ラスサビではレッドやオレンジの情熱的な照明が会場を照らすと、ピンク色の列車が決意新たに再出発した。
雪山を走り抜けると、スモークで覆われたステージの下からアイスグレーのワンピースドレスに着替えた西野が登場し、鍵盤のメランコリックな下降形フレーズに導かれてm-flo「Yours only,」のカバーへ。アウトロの情感溢れるギターソロから「EYES ON YOU」につなぎ、紙吹雪が舞うと、一変して西野が今回のライブに合わせてレコーディングしたフィンランド民謡「Ievan Polkka(イエヴァン・ポルッカ)」が流れ、リハーサル映像が映し出される。
そして、Santa Kanaからの「A heart full of love」のおたよりの後に、スター型ミラーパーツのミニドレス・ハイカットブーツ・頭にサングラスの装いで「Dear Santa」へ。ステージはピンク1色のドレスルーム、星形のネオンサイン、天井には華やかなレースカーテン、左右には大きなハイヒールと香水のオブジェ、中央にはグッズのコンパクトミラーを模したオブジェが配置。〈Yeah! Make a wish〉のメッセージが届けられたのも束の間、「YOKUBARI」からスパイス・ガールズ「Wannabe」のカバーと続くダンサブルな展開で、R&Bの素養を兼ね備えたポップアイコンとしての境地を見せつけた。個性豊かなダンサー紹介を挟み、「マジカルスターシャインメイクアップ☆」で“魔法の世界”の高揚感は最高潮に。ペンライトが7色に輝き、ラスサビ前にはピンクのスパンコールミニドレスへの早着替えでドレスアップしてみせた。
「ありがとー! みんな楽しんでくれてますかー!」と投げかけ、この日いちばんの大声援で応えるオーディエンスとともに、「コンパクトクローズ!」「コンパクトアップ!」の合図でステージのコンパクトミラーが動き、“魔法の世界”を体現。「2025年はツアーもやったり、こうしてクリスマスライブもできて、みんなとめっちゃいっぱいいい思い出ができました。本当にありがとう。いつもみんながこうやって応援してくれたり温かく見守ってくれるおかげで、いろんなことに挑戦して、めっちゃいい1年でした。2026年も挑戦する気持ちとワクワクする気持ちを忘れずに、私らしくいきたいと思います! よろしくお願いしまーす!」と高らかに宣言し、「2026年もよろしくね」と告げて本編ラストの「トリセツ」へ。ピンク・ライトブルー・イエローのパステルカラーに包まれながら、生バンドと8名のダンサーとともにこの日ならではの幸福感を演出。演奏後、ピンク色の列車はオーディエンスに見送られる形でスクリーン内のスノードームに帰着。「Magic is always with you.」と結んで締めくくった。
アンコールではグッズのスウェットを着用した西野が登場し、約15年前に「INFINITY 16 welcomez MINMI & 西野カナ」名義で発表された「真冬のオリオン」を披露。ラストにはアリーナ天井にレーザーで“オリオン座”を照射し、「大好きな冬の1曲です。めっちゃ懐かしいよね」とアットホームな雰囲気に。そこから「新曲持ってきましたー!」とカップルの口げんかをテーマにしたという新曲「君のせい」へ。歌唱後には来年2月6日に配信リリースされることも発表し、会場を沸かせた。そして「みんなのボリューム、熱量、めちゃめちゃ最高やと思います! 最後この1曲にその熱量を思いっきりぶつけてほしいんやけど、みなさんいけますかー!」と呼びかけ、アンコールラストに届けられたのはおなじみの「Best Friend」。アリーナ大合唱バージョンでこのひとときを2万人と分かち合い、ハートマークを投げる西野。ラストは新年を迎える瞬間を彷彿させる一斉ジャンプで2時間を超えるクリスマスライブの幕を閉じた。
"Christmas Magic”と銘打ったクリスマスライブで、新旧のウィンターバラードと洋邦カバー曲を織り交ぜた、またとない贅沢なセットリストで魅了し、“魔法の世界”や“列車の旅”というコンセプトのもと数々の景色を見せてくれた西野カナ。その気合の入りようは、2025年が充実した時間となったことを印象付けているようだった。本ライブの模様が来年3月18日=西野の誕生日に円盤化されることも発表され、またひとつ新たな楽しみが増えた、そんな新年を迎える期待をも感じさせたプレミアムな一夜となった。
『ソニーフィナンシャルグループ presents Kana Nishino Special Live "Christmas Magic"』
2025.12.18@Kアリーナ横浜
https://nishinokana.lnk.to/ChristmasMagic_setlist
※一部楽曲は除く