TETORAが“本気”を貫き続ける理由とは 初主催フェスから日比谷野音まで、挑戦尽くしな2025年を振り返る

MVにも趣向を凝らした「ミッドナイトカモフラージュ」は「胸張ってやれる曲」

――そして、会場限定シングル『ミッドナイトカモフラージュ』のリリースもありました。

上野:このシングルは、私らの企画ライブでしか売っていなくて。今って、音楽も映像も、簡単に聴いたり観たりできるじゃないですか。“手軽”も最高やし、手間かけるのも最高。手軽に触れられるものの良さはみんなもう知ってるから、ちょっと手間をかけて聴くっていう環境を作りたかったんです。このシングルは、好きな人に渡せる用に、1人2枚まで購入可能で。

ーー実際に好きな人に渡す人っているんですかね?

上野:結構いるみたいですよ。ライブ中に「渡しましたー!」って教えてくれた人もいて。「フラれましたー!」って言われた日もあった(笑)

ミユキ:あったなあ(笑)。

――暗闇の中でだけMVを再生できるという特設サイトも、“手間をかけることの良さを知ってほしい”という想いから?

上野:そうですね。自分たちの心が反応すること、「これやったらドキドキするよね」みたいなことを思いついたら言う、みたいな感じで、私がチームの方々と日頃からいろいろ喋っているんですけど。

ミユキ:こういう仕掛け、すごくいいですよね。遊び心をくすぐるし、「夜が来ても誰も一人にさせないMV」って感じがして素敵だし。

いのり:今回のMVのアイデアを聞いた時、「えっ、そんなことできるの?」って思いました。みんなで実際に試させてもらったんですけど、ちょっとでも明るかったらMVが止まっちゃうし、「明るい」って表示されるのが面白くて。「どういう仕組み?」って。

上野:みんなで電気のスイッチをパチパチさせてたよな(笑)。

いのり

ーーそもそも「ミッドナイトカモフラージュ」は、どのような想いで書いた曲なんですか?

上野:スライムとか泥みたいな何かが、自分の頭にうわーっと被さって、身動きが取れなくなってた時期があって。何を食べても、何を見ても、何をやっても心が動かない。体の中全部死んじゃったみたいな感覚になった時に、「もう1回生きたい」ともがきながら作った曲です。

ーー身動きが取れない状態はその後、改善されたんですか?

上野:この曲を作ることによって、一つ覚悟が生まれて。その覚悟を持ってライブしていくことで改善していきました。

ーーその覚悟とは?

上野:「もうバンドしかやることないでしょ」っていう。たぶんバンドがなくなっても、他の仕事とかできる人間だと思うんですよ。だけど、「他のことをできひん人間になろう」「そっちの方がバンドがカッコよくなるな」と思って。保険をかけないというか、「これしかない」っていう覚悟を決めた。そうじゃないと、ちゃんと心からかっこいいバンドはできないなと思いました。

ミユキ

――今の話って、制作の際に2人にもしましたか?

上野:いや、してないです。

いのり:今初めて聞いて「そんなことあったの?」って思いました。

ミユキ:羽有音は普段そういう一面をあんまり見せないから、本心はわからないんですけど、レコーディングで歌詞をパッと見た時に「ああ、こういうこと思ってんねんな」と気づくことは多々あって。2番Aメロの歌詞とか、「その気持ち、わかるな」って思うし。でも、今話を聞いて、改めて思うことがありました。次のライブでは今までとはまたちょっと違った気持ちで、この曲を叩いているかもしれない。

上野:「ミッドナイトカモフラージュ」は、私らにとって胸張ってやれる曲。会場限定シングルの曲やから、まだ知らない人が多いんですけど、「あの曲をやりますよ!」っていう気持ちでいつもギター弾き始めてて(笑)。

いのり:私も似たような気持ち。「みんな聴きたいでしょ?」って(笑)。

ミユキ:めっちゃお気に入りの曲なので、今後もっといろんな人に聴いてもらいたいです。

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