TETORAが“本気”を貫き続ける理由とは 初主催フェスから日比谷野音まで、挑戦尽くしな2025年を振り返る

 2025年もライブを中心に怒涛の日々を駆け抜けたきた3ピースバンド TETORA。初の主催フェス『TETORA presents KAKUSHIN CLUB』を8月に、初の日比谷野外大音楽堂ワンマンを9月に成功させ、現在は来年2月まで続く『HITORIJIME CLUB TOUR』を開催中。上野羽有音(Vo/Gt)曰く、初の日本武道館公演を成功させた2024年を「超えるぐらいいろいろあった」1年とのこと。TETORAはいつも、鬼気迫るほどの熱量で想像以上の“本気”をステージで見せてくれるが、その勢いは来年以降も止まることはなさそうだ。そんなTETORAの3人にインタビューを行い、2025年の様々なライブや会場限定シングル『ミッドナイトカモフラージュ』について振り返りながら、本気のステージに挑み続ける理由を紐解いた。(編集部)

主催フェス『KAKUSHIN CLUB』:初開催のイメージは「深く」「貫く」こと

ーー2025年の振り返りから始めましょう。まず、初の主催フェス『TETORA presents KAKUSHIN CLUB』が8月2日に開催されました。もともと「フェスをやりたい」という気持ちが強かったわけではないけど、サウンドクリエーターにきっかけをもらったという話でしたよね。

上野羽有音(以下、上野):ライブのMCでも話した通り、私が「バンドを組みたい」と思ったきっかけが『京都大作戦』で、『京都大作戦』を一緒に作ってるイベンターがサウンドクリエーターだったので。「そんな人たちと一緒にフェスを作れるなんて」「もしかしたらTETORAのフェスを観て、中学生の頃の私みたいに『バンド組みたい!』って人が出てくるかもしれない」と思って。ワクワクした気持ちで、「やらせてください!」と言いました。

――どんなフェスを作りたいなと思いましたか?

上野:「広く」というよりも「深く」「貫く」みたいなイメージ。自分たちを大きく魅せるようなことはしたくないなという気持ちが、第1回目に関しては強くて。誰かの知名度とかに頼らず、同世代のライブハウスで戦ってきた人たちと一緒に、私らがずっとやってきたライブを、フェスという場所でやれたらと思いました。TETORAだけじゃなくて、私らを取り巻くカッコいいもの全部、来てくれた人に気づいてもらえたらいいなと。そういうものを、私らで新しく作りたいなって。

いのり:食わず嫌いみたいな感じで、“観ず嫌い”ってあるなと思ってて。ライブを観たらカッコいいと思うはずなのに、ネットとかで悪い情報を見て、それだけで判断しちゃってる人も多いのはもったいないなと。目で見たものを信じてほしいなと思いますし、「TETORAが呼んだってことは、このバンドはカッコいいんや」って信じてほしかったというか。

上野:ずっと一緒にやってきたバンドをお誘いさせてもらったんだけど、「ごめん、その日は無理」ってバンドは1組もいなくて。「このバンドと一緒にやりたい」と思ってた人たち、純度100%でやらせてもらったので、ブッキングの面では大変さはありませんでした。当日は大変でしたけど。「最初から最後まで全バンド観たい!」って感じで、お昼ごはんも食べずに走り回っていたから、自分らのライブが終わったタイミングでやっと初めて座ったくらいで(笑)。

いのり:私もホンマにずっと走ってたので、筋肉痛になりました(笑)。始まってから終わるまであっという間だったし、ライブも打ち上げも楽しすぎて。打ち上げ終わって、帰ってきて、お風呂入ってたら、嬉し涙が出てきて。「楽しかったな……」みたいな。

ミユキ:自分たちがフェスをやるなんて思ってもみなかったけど、信頼している仲間たちに助けてもらったりしながら、一緒に作り上げることができて。めっちゃ感動したし、すごく楽しかったです。

上野:「バンドマンにこんなに助けられてずっと生きてたんや」ってすごく実感しました。出店で私らが大好きな「人類みな麺類」っていうラーメン屋さんに来てもらったんですけど、それもいろいろな人に繋げてもらって実現したんですよ。ホンマに、いろんな人に助けてもらってできたフェスでした。

ーー『KAKUSHIN CLUB』は継続していく予定ですか?

上野:来年はやらないんですけど、願望ですが2027年にできたらいいなと思ってます。まだ具体的なことは考えていないんですけど、少し視野広くやれたら。

いのり:同世代のバンドに限らなくてもいいのかもしれないし。

初の日比谷野音公演:みんなが憧れてた場所に立った手応え

ーー続報を楽しみにしています。そして9月には、東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブがありました。上野さんはTHE BLUE HEARTSのライブ映像で野音の存在を知り、憧れていたそうですね。実際にステージに立ってみて、いかがでしたか?

上野:「それって、ここか!」みたいな(笑)。すごかったなぁ……。「私たち、ホンマにギリギリ日比谷野音でやれたんや」っていう驚きと実感の中でずっとライブしてました。ライブハウスと違って椅子があるじゃないですか。モッシュとかダイブができない分、今まで気づけへんかった曲の細かい部分に気づいてくれてるのかな……と、お客さんの表情を見ながら思いました。

上野羽有音

ーーいのりさん、ミユキさんはいかがですか?

いのり:実際に行ったことがなかったけど、映像とかを通じて昔から知っていた場所だったから、改修工事のために一旦閉まると聞いて、なんだか悲しいなと思って。ギリギリ滑り込みで、あんなに大きな舞台に立てて、めちゃくちゃいい経験になったなと思います。工事が終わったらまた出たい。

ミユキ:私も日比谷野音には行ったことがなかったけど、羽有音からもTHE BLUE HEARTSが好きだって聞いてたから、その映像を観たりとかはしていて。実際にステージに立った時、「これがみんなが憧れてた場所なんや」って感動しました。当日、雨が降ったんですけど。それもまたTETORAらしくて(笑)。

――MCで「いい天気やな」って言ってましたが。

上野:雨の日の野音は、伝説のライブになることが多いので。

ミユキ:前に、大阪城の野音(大阪城音楽堂)に出させてもらった時も雨が降ってたんですよ。その時、2人がバーって演奏しながらステーンってコケた瞬間があって。それが結構脳裏に焼きついてたから、この日も、2人がいつコケるかってずっとヒヤヒヤしながら叩いてたんですけど。でも何事もなく、怪我もなく、無事終えられてよかったです(笑)。

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