女子大生シンガーソングライター Caity 幼少期、家族、芽生えた夢――シングル『やさしい嘘』に繋がる音楽人生を語る
熊本県天草市出身の女子大生シンガーソングライター Caityが、デジタルシングル『やさしい嘘』をリリースした。繊細な歌唱が光るバラード「やさしい嘘」、リズミカルなギターが印象的な「Candlelight Christmas」と、“クリスマス”をテーマに世界観の異なる2曲が収録されている。
リアルサウンドでは、今年2月にデビューをしたばかりであるCaityの全容に迫るべく、幼少期から現在に至るまでを振り返ってもらうインタビューを企画。ピアノから始まった音楽人生や大きな支えになっている家族とのエピソード、最新作の制作秘話までたっぷりと聞いた。(編集部)
ウクレレ、ピアノ、ギター……さまざまな楽器に触れて育った幼少期
――幼少期から音楽に触れる環境だったとのことですが、どんな音楽に触れていたのでしょうか?
Caity:両親が楽器をやっていたこともあり、生まれたときから家にはピアノがありました。4人きょうだいなのですが、全員ピアノをやっていたんです。小学5年生のときに『アメリカズ・ゴット・タレント』(NBC)というアメリカのオーディション番組で、グレース・ヴァンダーウォールという当時12歳の女の子がウクレレを弾きながら歌っているのを観て、「私もやりたい」と思ってウクレレをはじめました。
――ちなみにピアノはいつからやられていたんですか?
Caity:小学3年生のときから始めたのですが、楽譜を読むのが好きじゃなくて。クラシックもあまりやりたくなかったので、弾き語りを始めたんです。発表会でもまわりがクラシックを弾いているなか、私ひとりだけ弾き語りで。最後の発表会では母がピアノを弾いて、私はそれに合わせて歌いました(笑)。
――聴いていた音楽はどのようなものでしたか?
Caity:ウクレレを始めるきっかけになるグレース・ヴァンダーウォールに出会うまでは、そんなに音楽が好きなわけでもなかったんですが、ウクレレを始めてからは、テイラー・スウィフトやあいみょんを聴くようになりました。あとはお父さんの影響でX JAPANも聴いていて、「Say Anything」(1991年)と「Forever Love」(1996年)の2曲を、小学生のときにカバーしていました。
――X JAPANですか!?
Caity:はい(笑)。当時、歌詞の内容までは分かっていなかったんですけど、何かがすごく刺さって。
――歌うことはお好きだったんですか?
Caity:いや、特にそういうわけではなかったんです。音楽に出会うまでは好きなものとか得意なものがなくて。きょうだいが多いので、サッカーを一緒にやったり、卓球やスイミング、習字、ピアノなどいろいろ習ってきたんですけど、自信を持ってできるものはありませんでした。だからウクレレの弾き語りに出会ってから、自分でYouTubeを観て練習をすることが楽しくて、気がついたら好きになっていたのが驚きです。そこから、『くまレレ。』という九州のウクレレプレイヤーが集まるイベントに出たり、地域のイベントに出たりしていて。小さい街だったので、すぐに広まってみんなが応援してくれたこともあって、そこで人前で歌うのが好きになりました。
――ウクレレはお家にあったんですか?
Caity:なかったので、誕生日に母にお願いしました。でも母も続くとは思っていなかったみたいで、最初は3000円のチューニングもできないようなおもちゃのウクレレを買ってくれて(笑)。でも私がウクレレにハマったので、そのあとにグレードアップしたものを買ってもらいました。
――ギターに移行したのは何がきっかけだったのでしょうか?
Caity:よく家に来る母の友人がある日、ギターをうちに置いて帰ったんですよ。それを見て「弾いちゃおうかな」と思って、あいみょんのカバーを始めたんです。練習しているうちに弾けるようになりました。
――そのご友人は、Caityさんにギターを始めてほしくてギターを置いて帰ったんでしょうか。
Caity:わからないですけど……今もそのギターは使っています。ずっと使っています。
――そうなんですね。きっと今のCaityさんの活躍、うれしいでしょうね。
Caity:そうだと思います。帰省したときにはいつも会いに来てくれて、セッションもします。このあいだ、天草でライブをしたときも会いに来てくれました。
家族の支えで決めたアーティストデビュー
――素敵ですね。そうしてギターも弾けるようになったCaityさんですが、本格的に音楽の道を志したきっかけは何だったのでしょうか?
Caity:コロナ禍だったと思うんですが、私が家で歌っている動画を、私が知らないあいだに姉がTikTokにあげていたんです。学校から帰ってきたら、その動画がバズっていて。「えっ?」みたいな(笑)。本当にびっくりしたんですけど、そこからはTikTokで動画を投稿するようになりました。その後、また姉が「お母さんに内緒で応募してみようよ」と背中を押してくれて、中学2年生の最後のほうに有名な音楽チャンネルのオーディションを受けました。一次選考を通過するとも思っていなかったので本当に内緒で受けたんですが、セミファイナルまで進むことができて。それがきっかけで、音楽の道に進んでみようかなと思うようになりました。
@caity_kt18
――オーディションへの挑戦はいつお母さんに話したんですか?
Caity:Zoom審査の段階で話しました。びっくりしていましたけど、応援してくれました。
――すべてはお姉ちゃんのナイスアシストがきっかけだったんですね。
Caity:そうですね。姉がいろいろときっかけを作ってくれたなと思います。最初に『アメリカズ・ゴット・タレント』を観たのは、兄が「これ、観て」って教えてくれたことがきっかけでしたし。
――オーディションをきっかけとして、本格的にアーティストへの道を歩むわけですが、ご家族の反応はいかがでしたか?
Caity:デビューが高校3年生のときだったので、音楽のことだけでなく、大学受験のこともあったり、いろいろと重なってしまって「どうしたらいいかわかんない」っていう状況でした。そんななかで、父も母も一緒に悩みながら考えてくれて。両親は私のどんな選択も尊重してくれるので、今も応援してくれています。
――楽曲リリース後などに、家族から感想をもらったりしますか?
Caity:くれますね。「お父さんが新曲を聴いて泣いてたよ」とか、母がこっそり教えてくれたりします(笑)。恥ずかしがって直接感想を言ってくれないんですよ。あとライブ前には母から「あの曲、キーが高いんじゃない?」とか「大丈夫? 練習したの?」とか連絡が来たり。なんか私より母の方が緊張しているんです。
――ご家族の愛を感じますね。デビュー後は、作詞や作曲にも携わっていますが、作詞や作曲はいつからやっていたのでしょうか?
Caity:初めて自分で作ったのは「Big Change」という曲で、高校1年生の上京するときに書きました。
――曲を作ろうと思ったのはどうしてですか?
Caity:音楽をやるために東京に来たし、上京という、いいきっかけもあって。書きたいことがたくさんあったので、作ってみました。実際に作ってみると、やはりすごく難しかったですけど、達成感もあったし、楽しかったです。
――曲を作るときは、いわゆるメロディが“降りてくる”という感覚ですか?
B:いや、私は“降りてくる”という感覚はなくて。でも「作るぞ!」って意気込んでもあんまり書けない気もしていて。夜に「眠いなー」って思いながら少しギターを触っているときに、「ちょっとワンコーラスできるかも」と作るような感じです。私はコードを先に決めて、メロディを乗せて、最後に歌詞を考えるんですけど、そのときの感情とかメモしていた言葉とかからイメージして、コードをつけていく流れですね。