新着MVランキング:Snow Man「悪戯な天使」に滲む“大人”の魅力、『音故知新』MV群に宿るクリエイティブ
MV Chart Forcus
毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV Chart Focus」。11月14日〜11月20日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:Snow Man「悪戯な天使」MV
2位:優里 「最低な君に贈る歌」MV
3位:星野源「いきどまり」MV
4位:BABYMONSTER「SHEESH」THE FIRST TAKE
5位:初恋サイダー「Buono!」from『Buono! Festa 2016』
6位:米津玄師&宇多田ヒカル「JANE DOE」×『チェンソーマン レゼ篇』MV
7位:ちゃんみな「i love you」MV
8位:Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」THE FIRST TAKE
9位:KEY TO LIT「A・RA・SHI」from『Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL」
10位:Hey! Say! JUMP「メロリ」MV
今回取り上げるのはSnow Manの「悪戯な天使」。11月5日にリリースされた5作目となるアルバム『音故知新』に収録されている楽曲のMVだ。コンクリートとガラスを基調とした、大都市の縮図のように冷たく輝くセットを背景にしたダンスパフォーマンスと、ラグジュアリーな空間でカジュアルな姿を見せる各メンバーのソロショットの対比が印象的な今回の映像だが、暖色系の照明がクールな空間にだんだんと親密さを加えていく、じんわりとしたクライマックスもキマっている。
『音故知新』からのMVをおさらいしておこう。ファンキーな楽曲に映画へのオマージュが詰まった「SERIOUS」、ジェットコースターのような展開とインパクト大のサビで話題を呼んだ「カリスマックス」などのシングルも印象的だった彼らだが、アルバムのリード曲として発表された「TRUE LOVE」は曲調もパフォーマンスも抜群に華やかで、映像ではエンターテインメントに全力をかけるメンバーの姿がユーモラスに描き出された。続く「BOOST」はまったく対照的。ハードなビートを押し出したワイルドな楽曲に、多くのダンサーを従えた振り付けでフィジカルなパフォーマンスに焦点を当てたストイックなビデオになっていた。という具合に、『音故知新』のこれまでのMVは、ジャンルからビジュアルまで同アルバムの幅の広さを感じさせるものだった。
そんななか、R&Bテイストの濃厚なAOR調のしっとりとした楽曲もあいまって、「悪戯な天使」にはSnow Manの“大人”な一面が表れている。振り付けもメロディのゆるやかな流れに合わせて設えられていて、快活さや力強さとはまた違う、たおやかなパフォーマンスの魅力を伝えている。また、シティポップリバイバルに代表される懐古趣味やレトロな都会のイメージをほんのり漂わせつつも、お決まりのイメージに頼らない(たとえばメンバーたちが踊っている空間はコンクリートとガラスに囲まれていかにも現代的な都会を思わせるけれど、どこか抽象的で結局ここがどこなのかはわからない)演出も気が利いている。
“Snow Manらしさ”なんて簡単に言うのは難しいけれど、「悪戯な天使」はもちろん、『音故知新』収録曲のMVを観ていくと、グループに寄せられた期待に正面から応えてみせるようなパフォーマンスとクリエイティブが貫かれていることがたしかに窺える。それは同時に、CDデビューから5年を経た彼らの、グループとして脂が乗った姿を映し出すものでもある。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly