C&K、「相思相愛」が繋いだ『天文館探偵物語』と地元・鹿児島の縁 王道から外れてこそ近づく“夢”を語る
寺西拓人(timelesz)主演映画『天文館探偵物語』の主題歌「相思相愛 with SOIL&”PIMP″SESSIONS」を11月19日にデジタルリリースしたC&K。“期待の新人18年目”のキャッチフレーズのもと、圧倒的な歌唱力とエンタメ色の濃いステージで注目を集める彼らは、2025年はアニメ『ドラゴンボールDAIMA』のオープニング主題歌「ジャカ☆ジャ~ン」ゼッド feat. C&Kの作曲に参加、歌唱を担当し、大阪・関西万博で開催された『OSAKA MUSIC LOVER EXPO ARENA 2025』など各地のフェスに参戦。
現在は全国津々浦々を巡る全国ツアー『改 日本全国地元化計画 ~歌って踊って喋る喋る!!演出なしのシンプルLIVE!!~』を開催中の彼らに、新曲はもちろんライブについての取り組み、そして来年4月26日に行われる初の大阪城ホール公演『CK無謀な挑戦城!!火攻め、水攻め、ひょうきん攻め!! in 大阪城ホール』への意気込みなど、さまざまな角度から話を聞いた。(古知屋ジュン)
C&Kが語る、舞台裏まで共鳴する“相思相愛”
――「相思相愛」はジャズバンドのSOIL&”PIMP”SESSIONSとのコラボ曲。フェスがきっかけで生まれた曲だそうですね。
KEEN:『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL』という鹿児島のフェスがあって、フェスの発起人のひとりで鹿児島出身でもあるSOIL&”PIMP”SESSIONSのタブゾンビさんと「このフェスだけで聴ける曲を作ろう」という話で盛り上がって制作した曲だったんです。今回、映画主題歌のお話をいただいた時に、ちょうどこの曲が上手い具合にハマったんですよね。作品とのタイアップではありますけど、直しもせず原曲のままで受け入れてもらえたので、ありがたいお話でした。
CLIEVY:フェスでSOILさんと共演するから、ゆくゆくは僕らのアルバムに盛り込める楽曲を一緒に作れたらいいなと思っていて、2024年のそのフェスで披露したあとにしばらく寝かせていたんですよ。今回、たまたま映画主題歌というお話をもらって「実はこういう曲があるんですけどいかがですか?」みたいに話したら、映画の舞台の鹿児島がきっかけで生まれた曲ということもあり、ぴったりだという話になって。
――映画のストーリーにすごくハマっているので、てっきり書き下ろしだと思っていたんですよ。お互いを探り合うようなニュアンスから魂と魂がぶつかり合うようなサビへ展開する流れとか、ハードボイルドな探偵モノにふさわしいテイストですし。
CLIEVY:書き下ろしと言っても過言ではないです!
KEEN:予言みたいなもんですよ。こういうお話がくると思って書いていました、みたいな。
CLIEVY:真面目に言うと、映画のお話を聞いた時に、この曲ならスピード感がハマるというのと、鹿児島が舞台ということで“オイ”(自分)と“ワイ”(あなた)の相思相愛で成り立つ関係性を描いた世界観だとか、すべてがぴったりだと思ったんですよね。これで起用が決まらなかったらスパッと諦めよう、みたいな感じでお話しさせてもらったんです。
――鹿児島が地元のKEENさんは、どんな気持ちでこのコラボを受け止めたんでしょうか。
KEEN:天文館という自分にとっては馴染み深い街が舞台になっているのですごく懐かしい気持ちもあるし、嬉しい気持ちもあるし、あとなんだかちょっとこっ恥ずかしいような感じもありますね。いい意味で複雑な気持ちです(笑)。実家を見られているような……。
――なるほど。天文館って鹿児島の中心地みたいな場所なんですか?
KEEN:まさに鹿児島で一番栄えている場所だと思うんですけど、昔と違って人出が年々少なくなってきてきていて、お店も生き残るのが大変だと聞きますね。映画の舞台になって、また活気づいたらいいなと思いますけどね。
CLIEVY:そうだね、聖地になるからね。
――本楽曲はフェスがきっかけで生まれた曲ということですが、「相思相愛 with SOIL&”PIMP″SESSIONS」の歌詞に込められたメッセージはC&Kのライブコンセプトを表現したものであるとも感じます。先日、ツアーの今治公演に伺ったんですが、市長さんがC&Kのグッズを身に着けて登壇されて今治エール大使「IMABALINA Ambassador」の委嘱式をやったり、ゆるキャラのバリィさんが会場に賑やかしに来てくれたり、地元の人気店とのコラボ商品まで販売されていたり。街全体がノリノリでお二人やファンである四池さんたちを迎えてくれる様子を目撃したんです。土地の方々が愛を持って迎えてくれる相乗効果で、ツアーの1公演がここまで熱いお祭り騒ぎになるんだなと実感しました。「相思相愛 with SOIL&”PIMP″SESSIONS」はお二人がこれまでのライブで積み重ねてきたものを体現した1曲なんだと。
KEEN:その通りです。僕らはずーっと、それだけをやってきていますから。
CLIEVY:たとえば、ステージに立つ僕らと支えてくれるスタッフのみんなの相思相愛の関係がまずあって、それを見に来た人たちが僕らを好きになってくれて、僕らもオーディエンスを好きになって……どっちかの愛に対して、どっちかが愛を返すことが、奇跡的な時間を作るだろうなと。それは人間関係でもライブでもそうだろうと思いますし、フェスであればそんな相思相愛が何重にも重なった結果で開催に至っていると思うので。舞台の表も裏も、すべてがそういう相思相愛であるといいねということを書きたかったんですね。
――“エンタメの理想形”のようなお話ですね。C&Kといえば不定期にライブに登場するAdult Kurimoto Band average 55(ピアニスト・栗本修氏率いる、海外ミュージシャンを含むバンド。通称AKB55)という強力な仲間たちもいますが、SOIL&”PIMP”SESSIONSとのレコーディングはいかがでしたか?
KEEN:全然、苦労はしなかったですね。SOILさんたちはすごくプロフェッショナルな方々なので、僕らがやりたいイメージを汲んでくれつつもそれをさらにブラッシュアップしてくれて、めちゃくちゃかっこいい曲に仕上がりました。もちろんお互いに「負けねえぞ」みたいな感じはあるので、向こうの圧倒的な演奏に「僕らの声も負けてらんないぞ」みたいな気持ちはありました。あと絵面が強い、みたいな。
――MVは2組がスタジオでセッションしている映像ですけど、迫力ありましたね。
KEEN:僕らふたりだけじゃ、あんなにかっこよくならないです(笑)。
CLIEVY:一発勝負の撮影だったので、そういう緊張感もありましたけどね。あとヒゲが多かったね。
――驚異的なヒゲ率の高さでしたね(笑)。ここから現在敢行中のツアーのお話も聞いていければと思います。公演ごとにセットリストが変わったりと“一期一会感”の強さが群を抜いていると思いますが、先ほどのお話の今治公演のほかに、舞鶴ではダンススクールのキッズたち、熊本では地元民謡のハイヤ節の団体とのコラボなど、いろんな企画がありましたね。
CLIEVY:僕らふたりの地元の鹿児島や小山(栃木県)では、そういう試みはよくやってきたんですよ。でも縁もゆかりもない土地で、自治体や地元企業さんとのコラボが広がっていく感じは、今治が初めてのケースなんですね。僕らが勝手に今治タオルをテーマにした楽曲「I.M.A」(2022年)をリリースして、MVを現地で撮ったりしたのがきっかけだったんですけど。地元に全然関係ない人でも、面白がって受け入れてくれるような土地が増えてきたというのもありますね。
KEEN :舞鶴(京都府)もそうで、毎年出させてもらっている『MAIZURU PLAYBACK FES.』がきっかけで、僕らのライブにも地元の人たちがたくさん足を運んでくれるようになって。普段のライブはだいたい遠征の人たちが半分以上、場所によりますけど地元の人たちが2~3割みたいなところですけど、舞鶴は7割くらいが地元の人だったんです。もちろんどなたが足を運んでくれてもありがたいですけど、感動しましたね。
――以前、北九州での『移動式遊園地』(不定期開催の野外イベント)で地元のキッズたちとコラボしていましたが、現地でのリハーサルや手間暇をかけて地元の方々と有機的な形で繋がろうという試みが、C&Kがこれまでのツアータイトルに掲げてきた「地元です。地元じゃなくても地元です」の効果を全国にじわじわ広げていると思います。また、C&Kのツアーは各都道府県の中心地の公演もありますけど、「ここでライブを?」と思うような意外な土地にも毎回行かれていますね。
CLIEVY:場所のチョイスにはこだわりがありますね。その街を歩き回って買い物したり、観光ガイドには載っていないような、自分たちの生きた言葉みたいなものを見つけられる方が面白いなと思ってツアーを組んでいるので。あと最近考えているのが、舞鶴と呉(広島県)と佐世保(長崎県)と横須賀(神奈川県)は“旧軍港都市同盟”みたいな繋がりがあるらしくて。そういう土地でのツアーもアリかなと思っていますね。船で行くとか、ステージは甲板で、とか。
KEEN:船で行くツアーか、いいね。
CLIEVY:佐世保でのライブはやったことがあって、舞鶴、横須賀は今年のツアーでも行っているんですけど、呉だけまだないんですよ。次のツアーで行くか!