Base Ball Bear、結成25周年を前に魅せた現在地 特別なセットリストで届けた『SHIBUYA NONFICTION Ⅱ』

 2025年11月16日、 Base Ball Bearのワンマンライブ『SHIBUYA NONFICTION Ⅱ』が、満員札止めの東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。

 日比谷野外大音楽堂で2009年から2023年まで通算10回にわたって続けてきたシリーズライブ『日比谷ノンフィクション』が、野音のクローズに伴い、一旦終了。会場をLINE CUBE SHIBUYAに移し、『SHIBUYA NONFICTION』と名を改めて、2024年9月21日に初開催された。この日がその2回目、ということだ。

『日比谷ノンフィクション』を経た『SHIBUYA NONFICTION』

 『日比谷ノンフィクション』の頃は、サポートミュージシャンが加わったり、ゲストアーティストを迎えてセッションしたりすることもあったが、『SHIBUYA NONFICTION』にリニューアルしてからは、メンバー3人でステージに上がっている(昨年は橋本絵莉子が影アナを担当したが、姿は現さなかった)。

 つまり、特別な編成でライブを見せることよりも、普段やらない特別なセットリストでライブを行うことに重点を置いている、ということなのだろう。たとえば、1曲目の「GIRL FRIEND」や6曲目の「抱きしめたい」、本編ラストの2曲「Stairway Generation」「PERFECT BLUE」あたりは、近年のライブの定番曲であり、人気曲だ。「ランドリー」や「夏の細部」といった最近の曲を、セットリストに組み込むのも順当である。

 が、たとえば、後半ブロックの12、13曲目で、「海になりたい part.2」と「海になりたい part.3」を続けたり、アンコールで「何才」と「17才」を並べたりするような遊び心は、普段のリリースに紐付いたツアーやフェス・イベント出演時にはなかなか味わえない、『SHIBUYA NONFICTION』ならではのものではないか、と思う。

 ちなみに、5曲目に「SAYONARA-NOSTALGIA」を演奏したのは、19歳の関根史織(Ba / Cho)が出演した映画『リンダ リンダ リンダ』の挿入歌だから。公開から20周年を記念した4Kデジタルリマスター版が作られ、今年8月22日から全国でリバイバル上映され、公開から20年の時を経てDVD/Blu-rayもリリースされたことにちなんで、だと思う。

 さて、以下、オープニングから振り返っていく。ギター独奏から3人でのイントロへ切り替わるや、たちまち響き渡る「オイ!」コールに会場が包まれた「GIRL FRIEND」と、この日最初のダンスビートで客席を揺らした「「それって、for 誰?」part.1」の2曲を終えたところで、最初のMC。小出祐介(Vo / Gt)は「先日我々、11月11日に結成24年を迎えました。皆さんの応援のおかげでございます、誠にありがとうございます」と丁寧にお礼を述べる。「どうですか、ふたりとも」と振る小出に、もうすぐ40歳になる関根は「今日がBase Ball Bearとしては39歳最後のライブ、なので私はサンキューフェアーです」と答える。「なので、今日はめっちゃ感謝を伝えていきたいし、みんなもいつも以上におめでとうおめでとうと言ってほしい」と続けると、小出は「誕生日、まだなのに?」とツッコミを入れた。

小出祐介(Vo / Gt)
関根史織(Ba / Cho)
堀之内大介(Dr)

 「ランドリー」で一旦空気を落ち着かせてから、「動くベロ」「SAYONARA-NOSTALGIA」「抱きしめたい」で、再びオーディエンスをグルーヴの波に乗せていく3人。「SAYONARA-NOSTALGIA」、初めて聴いた当時は「NUMBER GIRL好きなんだろうなあ」と思ったが、今はそんなふうに感じないのが不思議。アレンジなどは、さして変わったわけではないのに。

 去年の『SHIBUYA NONFICTION』は、映像収録と生配信が入っていたが、今年はない、だから非常にのびのびとやらせてもらえる、と小出。関根は「危ない発言とかもできるしね」と同意、堀之内大介(Dr)は「やめろよ」と制止……という愉快なやりとりなどを挟んでから、いわゆる“聴かせる”系の曲が並ぶ中盤のゾーンへ。大小さまざまな白い球体が吊るされているステージセットで、それらの球体が照明とともに色を変えていくのだが、「夏の細部」ではオレンジ一色に染まる。関根もリードボーカルをとる「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」では、間奏で堀之内がハイトーンでシャウトした。

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