日本を飛び越えて、音楽で世界を一周するような作品に

　こうして見ると、デビューして間もない友成だが、その音楽性は和風なものからブラックミュージック、ロック、シティポップ、ラテン、伝統音楽など、すでに古今東西の多くのジャンルを吸収し、自身のアウトプットに昇華しているのがわかる。その引き出しの多さ、音楽性の幅広さは目を見張るべきものがあり、そして何より、それらを“J-POP”へとまとめ上げる手腕は見事と言わざるを得ない。

　この多種多様なジャンルを取り入れた本作について、友成は「和風な作風を評価していただく機会が増えましたが、このアルバムは、そのイメージに留まらない、僕の「アンサー」でもあります」（※1）と話す。

　「鬼ノ宴」などが大きなヒットを記録し、それによりある種、固定化してしまったアーティスト像を、自ら更新していこうという意識が本作には表れていると言える。「一つの場所に閉じこもらず、音楽という大きな空を自由に旅したい」（※1）ともコメントしているとおり、本作はまさに日本を飛び越えて、音楽で世界を一周するような作品だ。

　そしてこのアルバムは、ラスト曲「white out」にて、静寂に包まれたサウンドの中で〈だれも知らぬ場所へ／わたしだけの国を探すと〉という一節を呟いて幕を下ろす。張り詰めた空気の中、独白するようにして放たれるその言葉は、切実な響きを持って聴き手に届く。

　幼い頃より“国”を作りたいと考えていたという友成。そこには、生きづらい世の中から、自身の生み出す音楽＝世界へ避難したいという思いがあるのだという。このアルバムには幼少期からのそんな願いも込められているのだろう。日本語ポップスとしての巧みな作曲力を披露し、まさに自分自身の世界を築き上げたこのアルバムは、友成にとって、世の中から逃れるための“居場所”なのである。だからこそ、本作は最初から最後まで、聴いていて何とも言えない居心地の良さがあるのだ。

※1：https://avexnet.jp/news/1028644

■リリース情報
『文明開化 - East West』
11月12日（水）配信リリース

Streaming & Download：https://tomonarisora.lnk.to/EastWest

＜Tracklist＞
1. ACTOR
2. ウィスキー、ロックでひとつ。
3. 睨めっ娘
4. アリババ
5. 咆哮
6. 鬼ノ宴
7. ベッドルーム
8. East West
9. ベルガモット
10. メトロ・ブルー
11. コーヒー - Album Ver.
12. 月のカーニバル
13. 宵祭り
14. white out

■ライブ情報
『友成空 1st ONEMAN TOUR 文明開化』

2025年11月23日（日）大阪 梅田Zeela
開場/開演　16:30/17:00

2025年11月24日（月祝）愛知 新栄シャングリラ
開場/開演　15:30/16:00

2025年11月27日（木）東京 WWW X
開場/開演　18:00/18:30

＜チケット情報＞
チケットぴあ：https://w.pia.jp/t/tomonarisora/
一般チケット：4,000円（税込）
学生チケット：2,000円（税込）
※スタンディング
※未就学児童入場不可

■関連リンク
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