杏子、今見つけたBARBEE BOYSとの向き合い方 「ずっと自分探し」――音楽を通して追い続けた存在理由を語る

 BARBEE BOYSの歌姫でありソロシンガーとしても30年を超えるキャリアを重ねてきた杏子。ビルボードライブでの恒例公演は6回目、『Just Today』シリーズとしては3回目となる今年は、『Kyoko Billboard Live 2025 “Just Today Vol.3”〜KYOKO EXPO〜』と題して10月28日に大阪、10月31日は東京のビルボードライブのステージに立つ。

「『EXPO』って今年使えるワードだなと思って(笑)。これまでは、最新作『VIOLET』を踏襲した新しい自分を、とか考えてやってきたんだけど、今回は今までのアルバムを全部聴き直して、今までやってきたものを全部探って、何か面白いライブを作ろう、って。だから、新旧問わずいろいろなところから曲を選んで構成します。でも、古い曲は今は使っていない機材で演奏していたものもあるから、それを今の形にしていくのが結構大変で。それをメンバーと試行錯誤して再現する感じがいいですね」

 吉川理(Gt)と坂本暁良(Dr/Mani)とはビルボードライブでは恒例の付き合いになるが、毎回息の合った演奏を聴かせてきた。

「ステージの途中に映像を挟むのが自分でも“よき”で、そこで衣装チェンジしたりして。今回は前半はしっとりしたバラードが多くて、後半ガツンと行く構成。今回は、『Stationhead』というアプリのリスニングパーティーで作ったプレイリストで、ライブのセトリを全部じゃないけど、“約!セトリ”ってことで発表しているのね。私もどっちかというとセトリがわかってライブを観るほうが好きなんですよ。前にThe Rolling Stonesのワールドツアーをスコットランドに観に行った時も、事前に調べて『こんな感じなのね』って行ったから」

 もちろん事前情報などなく新鮮な気持ちでライブを楽しむのもいいが、セットリストがわかっているからこそライブならではの演奏を余裕をもって楽しめたりするのはたしか。さらに杏子はサプライズを用意するという。

「視覚でも聴覚でも楽しんでもらえるように。それに、衣装が結構大変で、早着替えの練習をしたり。今回のライブで着ようと思っているあるブランドの衣装を家のクローゼットに入れずに、いつでも見えるところにずっと置いてイメージトレーニングをしてるんだけど、実際に自分で着てみると『あれ?』って(笑)。パリコレに観に行った時に『これだ!』って決めたはずなんだけど、ブロンドヘアのモデルさんが着てるイメージが残ってて、自分が着るとなんか違う(笑)」

 ざっくばらんに裏話をバンバンしてくれる杏子だが、それだけライブに向けて想いを高めているということだろう。こんな時は、BARBEE BOYSのことは忘れているのだろうか。

「自分のソロのステージをやってる時は、さすがに気持ちのうえではセパレートだけど、去年夏の『Augusta Camp 2025』ではイマサが参加してくれて、11月のビルボードライブではイマサ&エンリケが出てくれました。昨年はBARBEE BOYSのデビュー40周年だったから、エンリケが『蜂の四十年 俺のROCK自由祭』というイベントをCLUB CITTA'でやって、そこにイマサと私を呼んでくれたりして」

 BARBEE BOYSは、KONTA(コンタ/Vo/Sax)、いまみちともたか(イマサ/Gt)、エンリケ(Ba)、小沼俊明(コイソ/Dr)の4人が組んでいたバンドに杏子が加わる形で、1984年にデビュー。コンタと杏子のツインボーカルで当時のバンドシーンに新風を吹き込み、「女ぎつね on the Run」「目を閉じておいでよ」などヒットを飛ばした。1992年に解散したが、その後も何度かライブを行う機会があり、2019年に29年ぶりの新作『PlanBee』をリリースして活動を再開した。

「やっぱりあの時に一回区切りをつけておかないと、収まらない何かが……。それぞれ問題点は違うと思うんですけどね。あのままだったら、私もソロにはなり得なかったと思うし。解散してからは、自発的というよりは何かしらのイベントでお声がけいただき。たとえば、2003年のエピックレコード25周年(『LIVE EPIC 25』)を祝いませんか?と言われて、『やります』。その次は、『SMAP×SMAP名曲歌謡祭』(フジテレビ系)で『いかがですか?』と言われて、『やります』と(笑)。そのへんから、ちょっと能動的な感じになったのかな。でも、『スマスマ』はTV番組だから3分という短い時間だったので、リベンジしたいなと思って、私が『スマスマ』のあとにバカなふりをして、『ねえ、フェスに出ない?』って言ったら、みんなぽかーんとしてた(笑)。でも、それも『なくはない』みたいな感じだったから、スタッフが動いてくれて、『ライジングサン』(『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO』)に出ました。ステージで音を出した瞬間に地鳴りみたいなのが起きて、すごい衝撃を受けました」

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